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平成二十八年十月二十日提出
質問第七六号

政府が日銀の金融政策の有効性を疑っている事に関する質問主意書

提出者  福田昭夫




政府が日銀の金融政策の有効性を疑っている事に関する質問主意書


 日銀は、長期金利を〇%程度とする金利目標を発表したのだから、もはや国債暴落は起こり得ないのではないかという質問主意書(質問第一八号)に対する答弁書(答弁第一八号、以下答弁書という)の答弁は、長期金利は日銀ではなく市場が決めるということであった。
 これに関連して質問する。

一 答弁書の一及び十についてでは、国債の価格は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものと述べている。これは日銀の政策は無効であり、日銀の目標にも拘らず、金利が暴騰し国債が暴落する可能性を述べたものか。
二 例えば外資が長期国債の売りを仕掛けたとしたら、日銀は対抗して買う事ができず、金利は三十%とか五十%とかに跳ね上がるということか。日銀が買う事が出来る限界は何兆円までと考えているのか。
三 答弁書の二についてで、我が国の財政については、極めて厳しいとある。これは政府が国債を売っても、誰も買い手がつかず、財政が破たんするという意味か。しかし、財務省のホームページには「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」との記載がある。実際には長期国債までも〇%以下の金利となっており、事実上タダでいくらでも資金が調達できる状態である。それでも財政が厳しいとは、何を意味するのか。
四 答弁書の三についてで、かつて構造改革と称して様々な改革を行ってきたが、潜在成長率は上がってきていないのはなぜか。今後も同じ失敗を繰り返すつもりか。
五 答弁書の四、八及び九についてで、「経済財政モデル(二〇一〇年度版)」(平成二十二年八月内閣府公表)において公表している乗数表では、御指摘の「国債の発行を増やせば増やすほど、国の借金の対GDP比は減って行く」とのケースは示していない。となっている。しかし、この六頁のAには公共投資を五兆円継続的に削減した場合の乗数があり、増やす場合は符号を変えればよい。この場合、公債残高の対GDP比は一.六五%PTだけ減少するとなっている。金利固定ならもっと減る。更にこの当時より債務残高は更に増加していることから、現在はもっと減少幅は大きくなる。「長期金利は、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものである」と答弁しているが、日銀が、長期金利を〇%程度とする金利目標を発表したが、それは全く金利に影響を与えない、つまり日銀の金融政策は無効だという主張か。それでは二〇一四年に始まった大規模金融緩和で長期金利さえもマイナスになったのはどう説明するのか。
六 答弁書の七についてで、無利子・無期限の国債は価値がないと述べている。政府発行の国債の価値がないと発言してもよいのか。政府発行の貨幣も日銀発行の紙幣も無利子・無期限だから価値がないと言えば価値がないし、誰もが価値があると思えば価値がある。国債も同様である。無利子・無期限の国債も政府が価値を認め、必要ならいつでも額面で買い戻すと宣言すれば価値がある。日銀が市場に売る場合でも、何年後に一定の利子をつけて買い戻すと言って入札を行えば買い手は出るのだから通常の国債と、価値の面では何ら変わらないのではないか。
七 答弁書の十一についてで、日銀の財務の健全性に関しては日銀に丸投げをし、また日銀のイールドカーブコントロールや十年物国債の利回り〇%維持方針を否定しており、日銀は無能であると宣言しているが、日銀総裁・副総裁は、日銀法第二十三条に基づき、国会の同意を得て内閣が任命しているわけで、内閣が全く責任を負わないというのはおかしくないか。
八 本主意書冒頭で、「日銀は、長期金利を〇%程度とする金利目標を発表したのだから、もはや国債暴落は起こり得ないのではないかという質問主意書(質問第一八号)に対する答弁書(答弁第一八号、以下答弁書という)の答弁は、長期金利は日銀ではなく市場が決めるということであった。」と述べた。これに関して、答弁書の答弁は内閣の日銀に対する不信の表れであり、すなわち、黒田日銀総裁の任期が満了する平成三十年四月以降、内閣には黒田総裁を再任する意思がない事の表れであると受け止めて良いか。
九 答弁書の十三についてで行われた答弁は問題のすり替えである。アベノミクスで名目GDPが二十七兆円増加したという主張は国民を欺くものである。例えば平成二十八年五月十八日に内閣府から発表された平成二十八年一〜三月期四半期別GDP速報を見ると、平成二十七年度の名目GDP成長率は二.二%だが、そのうち外需が一.七%、内需が〇.五%となっていて、外需の大部分は原油価格の値下がりからくる。よってこの年の名目成長率の多くは原油価格の値下がりから来るのであり、アベノミクスの成果ではない。また平成二十七年十二月二十二日に内閣府から発表された「平成二十八年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」の八頁には「物価関係指数の変化率」が示されており、消費税率引上げの影響を機械的に除いたものも示してある。消費税率引上げにより税率分だけ物価が上がり、その分だけGDPが膨らむ。これは国民にとっては、迷惑な膨らみであり、アベノミクスの成果として自慢すべきものではないと考えるが同意するか。アベノミクスで名目GDPが増えたと自慢したいのなら、消費増税による迷惑なGDP増加分と原油価格の下落によって生じたGDPの増加分を除いた数字を示さなければ国民を騙したことになると思うが同意するか。当然のことながら、将来消費税率の引下げがあったり、原油価格の上昇があったりすれば、見かけ上増えているように見える部分は消えるのである。
十 答弁書の十五についてで、「我が国の財政状況については、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれる」という表現は適切でないとすでに以前の質問主意書で指摘した。二倍が三倍、四倍に増えていく事を意味しているように思えるからである。それに対して答弁書の五についてで、「先の答弁書(平成二十八年五月十三日内閣衆質一九〇第二五五号)八についてでは、累増が見込まれるのは国・地方の債務残高であることを述べたものである。」と答弁している。そうであれば、誤解が生じないような表現になぜ変えないのか。全く異なる質問に全く同じ文で答えるのは不誠実と思わないか。しかも表現が適切でないと指摘を受けた文を再度使うべきではないと考えるが同意するか。
十一 日銀は「量」で失敗し「金利」に金融政策の目標を転換したが、その長期金利の制御は不可能だと政府は主張し、また政府の経済財政諮問会議では歳出削減を検討しデフレを加速しようとしている。このことで、第一の矢も第二の矢も失敗に終わり、アベノミクスは失敗を宣言したらどうか。
十二 石原伸晃経済財政・再生相は十月五日「消費税は十%では賄いきれない。次は十二%、十四%、十五%という形で上げる事を国民に問いかけていかなければならない」と発言したが、この考えに同意するか。
十三 外国人投資家による株の売越額は六兆円を超え、一〜九月としてはこれまでの最高だった。これはアベノミクスに失望したからだと言われているが、このことをどのように考えるか。
十四 日銀は十月三十一日〜十一月一日に開く金融政策決定会合で物価見通しを下方修正しようとしている。これにより黒田日銀総裁の任期中に物価上昇率二%の目標は難しくなった。これもアベノミクスの失敗を意味しているのではないか。
十五 九月の総括的な検証の直後、日銀内から黒田日銀はレームダック(死に体)だという声がもれたが、これに同意するか。
十六 FRBのフィッシャー副議長は十月十七日のニューヨークでの講演で、先進国が低金利・低成長から脱するには「政府支出の拡大と減税による財政政策が重要だ」と指摘したが、これに同意するか。

 右質問する。



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