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答弁本文情報

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平成二十八年十月二十八日受領
答弁第七六号

  内閣衆質一九二第七六号
  平成二十八年十月二十八日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員福田昭夫君提出政府が日銀の金融政策の有効性を疑っている事に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員福田昭夫君提出政府が日銀の金融政策の有効性を疑っている事に関する質問に対する答弁書



一、五及び八について

 先の答弁書(平成二十八年十月七日内閣衆質一九二第一八号。以下「前回答弁書」という。)一及び十について及び四、八及び九についてでは、国債の価格や長期金利は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであるとした上で、日本銀行は、二パーセントの「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」(平成二十八年九月二十一日日本銀行政策委員会・金融政策決定会合決定)を継続するとしている旨を述べたものである。したがって、お尋ねのような「日銀の政策は無効であり、日銀の目標にも拘らず、金利が暴騰し国債が暴落する可能性」や「日銀の金融政策は無効だという主張」を述べたものではなく、また、内閣の「日銀に対する不信の表れ」や「黒田総裁を再任する意思がない事の表れ」とは認識していない。

二について

 「外資が長期国債の売りを仕掛けたとしたら」とのお尋ねについては、仮定の御質問であることからお答えすることは差し控えたい。「日銀が買う事が出来る限界は何兆円までと考えているのか」とのお尋ねについて、日本銀行による金融政策の具体的な手法については、同行の金融政策運営に関するものであり、同行の自主性を尊重する観点から、お答えすることは差し控えるが、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に沿って、同行が適切に対応されるものと認識している。

三について

 前回答弁書二についてにおいて「我が国の財政については、極めて厳しい」とお答えした趣旨は、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれるなどの状況にある旨を述べたものである。

四について

 お尋ねの「様々な改革」の意味するところが必ずしも明らかではないが、これまで成長戦略において、様々な分野で改革を断行してきた。
 例えば、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律(平成二十七年法律第六十三号)により、農業協同組合制度を抜本的に改革し、企業が農業に参入しやすくした。環太平洋パートナーシップ協定では、原署名国になった。観光では、査証緩和措置に加え、継続的な訪日プロモーション、免税店や免税対象品目の拡大等観光客誘致のための取組等を実施しており、昨年、訪日外国人観光客は、過去最高となった。加えて、電力の小売市場を全面自由化した。さらに、法人実効税率を二十パーセント台に引き下げた。
 今後の潜在成長率を向上させるための焦点は、働き方改革と第四次産業革命を通じた「Society5.0」の実現である。国民生活を豊かにしながら、企業の生産性を向上させるため、必要な改革をちゅうちょなく断行してまいりたい。

六について

 前回答弁書七についてでは、一般に、利子が付されておらず、かつ、元本の償還が約束されていない債券には経済的価値が認められないことを踏まえ、先の質問主意書(平成二十八年九月二十七日提出質問第一八号)七において御指摘の「コンバート」を行えば、財政運営及び通貨に対する信認を著しく損なうおそれがある旨を述べたものであるが、御指摘の国債の価値については、仮定の御質問であることから、お答えすることは差し控えたい。

七について

 前回答弁書十一についてでは、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第五条第一項において、「日本銀行は、その業務及び財産の公共性にかんがみ、適正かつ効率的に業務を運営するよう努めなければならない」としており、同条第二項において、「この法律の運用に当たっては、日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない」とされていること等について述べたものである。
 また、金融政策について、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、平成二十五年一月二十二日に政府及び日本銀行が共同で公表した「内閣府、財務省、日本銀行「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」」(以下「共同声明」という。)を踏まえて、二パーセントの「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために必要な施策として決定されたものと認識している。
 デフレ脱却と持続的な経済成長の実現は、政府及び同行共通の重要な政策課題であり、引き続き、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて、同行とも緊密に連携しつつ、金融政策、財政政策及び構造改革を総動員し、一体となって取り組んでいく。

九について

 消費税率引上げや原油価格の変動が名目GDPに与える影響については、消費税率引上げや原油価格下落等による物価変動だけではなく、それらに伴う需要の変化や政策対応による変化等が複合的に影響し合って発生すると考えられることから、一概にお答えすることは困難である。

十について

 先の答弁書(平成二十八年五月十三日内閣衆質一九〇第二五五号)八についてでは、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれることを述べたものであり、「表現が適切でない」とは考えていない。

十一及び十三について

 政府としては、共同声明にもあるように、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組んできたところであり、こうした安倍内閣の経済財政政策により、デフレではないという状況となり、雇用・所得環境も確実に改善していると考えている。
 また、御指摘の外国人投資家の認識について政府としてお答えすることは差し控えたい。

十二について

 お尋ねの発言については、石原国務大臣が政治家としての見解を述べたものであると承知しており、政府としてお答えする立場にない。

十四について

 御指摘の「十月三十一日〜十一月一日に開く金融政策決定会合」で議論される内容を前提としたお尋ねについてお答えすることは差し控えたい。
 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、総括的な検証を行った上で、金融緩和強化のための新しい枠組みとして導入されたものであり、二パーセントの「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために必要な施策として決定されたものと認識している。
 政府としては、共同声明にもあるように、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組んでまいりたい。

十五について

 御指摘の「日銀内から黒田日銀はレームダック(死に体)だという声がもれた」との事実を承知していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。いずれにせよ、日本銀行は、二パーセントの「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続するとしており、平成二十八年十月十二日の衆議院予算委員会において、黒田東彦日本銀行総裁は、経済、物価及び金融情勢を踏まえ、必要な場合には追加緩和を行う旨の答弁をしているものと承知している。

十六について

 安倍内閣としては、経済再生と財政健全化の両立を目指しており、成長戦略の実行等を通じて、民需主導の持続的な経済成長を実現していくとともに、財政健全化の取組を進めることとしている。



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