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平成二十八年十一月二十四日提出
質問第一六五号

沖縄県東村高江のヘリパッド建設工事に反対する住民・県民を警備するため派遣された大阪府機動隊員による差別発言に関する第三回質問主意書

提出者  仲里利信




沖縄県東村高江のヘリパッド建設工事に反対する住民・県民を警備するため派遣された大阪府機動隊員による差別発言に関する第三回質問主意書


 沖縄県東村高江のヘリパッド建設工事に反対する住民・県民を警備するため派遣された大阪府機動隊員による差別発言に関しては、十月二十五日付質問主意書第八三号で質問を、また十一月十日付質問主意書第一三二号で再質問をそれぞれ行い、十一月四日及び十一月十八日付でそれぞれ答弁を得たところである。その際行った質問及び再質問に対する政府の答弁や委員会での発言では当初「発言は不適切だ」とか「差別用語に当たる」、「発言は許すまじきことだ」とかしていた。さらに事案の発生直後に沖縄県警が謝罪し、大阪府警は発言した警察官二人を懲戒処分するなどして事態の収拾に奔走していた。しかし、その後も沖縄県民の憤りが全く沈静化せず、また本職を始め質問主意書の提出や委員会での質疑が相次いで追及の手が一向に緩まないことが明らかになると、今度は一転して強権的に押さえつける方針に転じたものと思われる。その最たるものが本職の質問に対する鶴保庸介沖縄担当大臣の「言論の自由はどなたにもある」とか、県民を傷つけたかは「私が断定できるものではない」とかの発言であり、また菅義偉官房長官の「差別と断定できないのは政府の一致した見解だ」とかの一連の答弁・発言である。
 これらの答弁や発言に対して、翁長雄志沖縄県知事や県内の市町村長から極めて厳しい「遺憾の意」が示
 され、また沖縄県議会や市町村議会で相次いで抗議決議が可決され、政府に直接抗議するなど波紋は広がり続けている。また沖縄県内や全国各地では相次いで集会が開催されるとともに、連日新聞の投書欄への市民の抗議の声が寄せられており、政府の態度に対して県民の不信と憤りは益々高まる一方である。
 そこで改めてお尋ねする。

一 菅官房長官は、警察官の暴言に対して「許すまじきこと」と述べながら、差別的発言の表れとの指摘に対しては理由を全く示さずに「全くないと思う」とし、本職が質問主意書で「理由を明らかにされたい」と要求しても「当該発言は極めて遺憾である」としか答弁しない。警察官の暴言が本当に「許すまじきこと」であり、「遺憾である」ならば、その理由をきちんと解明して是正すべきである。そして、暴言の根底には「差別意識がある」ことは明らかであり、決して単なる「思い付き」や「偶然」による発言ではないのは誰が考えてみても明らかではないか。政府の認識と見解を答えられたい。
二 本職が警察官の暴言の理由を質したところ、政府は「「感情が高ぶる」などした結果、暴言に及んだ」と答弁して本職の質問に真面に答えようとしない。しかし、「感情が高ぶれ」ば「暴言に及んでいい」のか、そして「高ぶった感情の根底」には「沖縄県民に対する差別意識や偏見」及び「警察組織で植え付けられた教育の結果、沖縄県民に対する偏見や差別意識」があるのではないか。政府の認識と見解を答えられたい。
三 本職が鶴保大臣の発言を質したところ、政府は鶴保大臣が「本件発言を人権問題と捉えるかどうかについては、言われた側の感情に主軸を置いて判断すべきであり」と発言していると答弁した。この発言は一見すると「極めて客観的な立場に立って物事を判断すべきである」と主張しているが如くに感じられるが、十月十八日の事案発生直後ならいざ知らず、既に一カ月余が経過した後になっても全く同じような発言を繰り返していることや、沖縄担当大臣として率先して事実関係の究明に当たり、顛末を明らかにすべき立場であることを鑑みると、到底鶴保大臣の釈明は言い訳や詭弁にしか過ぎないと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
四 質問三に関連して、鶴保大臣が「言われた側の感情に主軸を置くべき」との考えを持つならば、現場で直接警察官にののしられた市民が「差別である」及び「人権問題である」と捉えていることや、翁長雄志沖縄県知事や県内の市町村長、沖縄県議会、市町村議会、沖縄県内の市民や全国各地の国民による集会と新聞への投書でも同様に捉えていることからして、言われた側の沖縄県民は正しく「県民への差別」として、また「人権問題」として捉えていることは明らかである。よって、政府は、言われた側の沖縄県民の感情に基づき、今回の暴言を「沖縄県民への差別意識や偏見」と「人権問題」として政府の一致した認識と見解とすべきではないか。政府の認識と見解を答えられたい。
五 質問三及び四に関連して、鶴保大臣が「人権問題と捉えるかどうかも含め、個別の事案についてはつぶさにこれを注視していくことが重要である」との考えを持つならば、事案発生から既に一カ月余が経過していることや事実関係が既に明らかになっていること等に鑑み、現時点における「注視の結果」と、それに基づいて「今回の暴言が差別意識の表れ」と「人権問題」であるかについての政府の認識と見解を答えられたい。
六 鶴保大臣は県民を傷つけたかは「私が断定できるものではない」とし、菅官房長官は「差別ではないとは一言も言っていない」としながらも「断定する立場にないと言っている」としている。まるで口裏を合わせて暴言を否定しようとしているかのように思えて残念でならない。しかし、本職の質問主意書や、十一月二十一日の衆議院決算行政監視委員会での民進党の大西健介議員の質問でも明らかなように、今回の暴言が、政府の従来の「「土人」という言葉が差別用語に当たる」との見解に反していることや、事案発生後に大阪府警が素早く懲戒処分を行ったこと、さらには沖縄県警察本部長が陳謝を表明していること、法務大臣が「差別用語に当たる」との見解を即座に示したことなどを鑑みると、政府が率先して事態の収拾に奔走したことは明らかであり、「断定できない」との発言は正しく詭弁ではないか。よって、政府は、本職の質問主意書に対して「差別と断定できない」としたことや、「鶴保大臣の発言は閣内不一致ではない」としたこと、「鶴保大臣は発言を謝罪したり罷免されたりする必要性はない」との閣議決定を改めるべきではないか。政府の認識と見解を答えられたい。
七 本職は、警察官の暴言もさることながら、政府の二転三転する答弁や発言、閣議決定を鑑みると、やはり政府や本土側の市民の根底には「沖縄に対する蔑視や差別」が未だに根強くあり、それが「土人」や「シナ人」という暴言に発露されたのではないかと考えている。本職のこのような考えについて政府の認識と見解を答えられたい。
八 本職は、政府が閣議で「差別と断定できない」と決定したことに対して強い憤りと不信感を覚える。なぜならば警察官による今回の暴言を「差別と断定できない」とすることは、とりもなおさず「土人」や「シナ人」の暴言を容認することに他ならず、琉球処分から始まった「沖縄県民への差別と蔑視」の延長線上にあると言わざるを得ないからである。本職のこのような考えについて政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



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