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平成二十九年二月十日提出
質問第六〇号

組織犯罪処罰法改正案の提出を目論む政府の真意と同法案の危うさに関する質問主意書

提出者  仲里利信




組織犯罪処罰法改正案の提出を目論む政府の真意と同法案の危うさに関する質問主意書


 政府は、今国会に組織犯罪を計画段階で処罰できる「共謀罪」の構成要件を変えた「テロ等準備罪」の新設を柱とする「組織犯罪処罰法改正案」を提出するとのことである。
 同法案は、捜査機関の拡大解釈や乱用、恣意的運用が懸念されたことから、世論の猛反発を受けて過去三回廃案となった、いわくつきの法案である。
 今回、政府は名前を「共謀罪」から「テロ等準備罪」に変更してイメージ刷新を図り、提出するわけであるが、刑法の性質を変える危険性は変わらないため、性懲りもなくまた提出するのかと言わざるを得ない法案である。
 また、これまでの質疑や質問主意書で明らかになった問題点や、今国会の衆議院予算委員会における政府答弁の危うさ、さらには議員の質問を封じようとしているとしか思われない政府の思惑も垣間見えることから、同法案の提出を断念することを政府に強く求めていくべきであると考えているところである。
 これらを踏まえて、以下お尋ねする。

一 今回、政府が同法案を提出しようと目論む理由を改めて鑑みると、ひたすら戦前回帰という思いを募らせているのではないかと思われるところである。というのは、我が国では、江戸時代までは「民は之に由らしむべし之を知らしむべからず」との統治方針と機構により庶民の権利をことごとく無視し法治主義と無縁であった時代があったからである。そして、戦前及び戦中までは治安維持法により体制批判者の取り締まりや、合法的大衆団体の言論弾圧・粛清、一般民衆の生活の隅々までの監視が行われていた時代があったからである。この二つの世代に共通することは「政府の独裁」と呼ぶべき進め方である。翻って、今回政府が提出しようとしている同法案の内容をみると、正しく江戸時代の統治方針・機構と戦前・戦中の治安維持法の無法さが重なり合ってくるが、本職のこのような歴史認識と考えについて政府の認識と見解を答えられたい。
二 質問一に関連して、沖縄でも、およそ法治国家とはいえない江戸時代の統治方針・機構や無法としか言いようがない戦前・戦中の治安維持法が適用されたが、全国に比べて沖縄ではひときわ苛烈であった。なぜならば当時の政府は、武力で琉球を鎮圧し、我が国のひとつの県として処分・併合したが、統治に当たっては植民地としての沖縄を維持するため、庶民に対してことさら厳しく接し、江戸時代までに行われていた統治方針と機構をそのまま踏襲したのである。そのため、沖縄では公に政府を批判できなかったし、意見や疑問を出すことも出来なかった。また、住民同士が監視し合うといういびつな光景も見られた。とりわけ象徴的なことは、学校で「アメリカ兵の目はヒージャー目(山羊の目)だから遠くは見えない。力も弱いので竹やりで簡単に刺し殺せる」とか、相次ぐ負け戦を「連戦連勝」とか、「日本は負けることはない」とかの教育が徹底的に実施され、真実を伝えようとしなかったことである。また、本職は、戦前に生を受けて皇民化教育を受け、さらに住民が日本軍の盾とされ、多大な犠牲を強いられた沖縄戦を身をもって体験するなどしたため、政府による言論の統制や弾圧が如何に恐ろしい事態と悲惨な結果を招くかを十分承知しているものである。そのため、本職は、同法案を知れば知るほど、そして政府の説明を聞けば聞くほど、政府が江戸時代や戦前・戦中のこのような危うい体制を今回の法案で再びよみがえらせようとしているのではないかと強く危惧しているところである。本職のこのような歴史認識と危惧について政府の認識と見解を答えられたい。
三 政府は、今国会での代表質問や委員会での答弁で、同法案が「市民団体や労働組合、一般国民に適用される恐れはない」とか「国民の思想や内心まで取り締まるという概念は全く根拠がない」とか主張する。ところで、逢坂誠二衆議院議員は平成二十九年一月二十日付の質問主意書第六号で「一般の方」として例示した「団体や幹部、個人」が対象となり得るのか質問した。その中に「沖縄で在日米軍基地建設の反対運動を行っている団体の幹部やメンバー」が含まれていたが、政府は「法案を現在検討中であり、現時点で答えることは困難である」と答弁し、回答を避けた。しかし、このような答弁を行うことは本来おかしなことである。同法案が同様な内容を過去三度も提出し廃案となっていることや、法案として提出までに至っているならば、想定されるあらゆる事態や関係団体・個人に対処できるようにすべきであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
四 今回の法案は、政府の強い否定にもかかわらず、未だに「共謀罪」との位置づけが拭えない。その最大の理由は、捜査機関の拡大解釈や乱用、恣意的運用が強く懸念されているからである。ところで、その「共謀罪」を早くも先取りしているのではないかと巷で指摘・批判されているのが平成二十八年十月十七日に公務執行妨害等容疑で逮捕され、未だに勾留が続いている山城博治沖縄平和運動センター議長の事案である。この巷の指摘等の所以は、辺野古新基地建設反対運動のリーダーである山城議長を狙い撃ちした政治的で恣意的なものであることや、沖縄における米軍基地の閉鎖・撤去運動を葬り去り、政府の言うなりに物事を進めたいとする政府の思惑が透けて見えることなどである。このように、山城議長の逮捕・長期勾留が「共謀罪の先取り」であり、「沖縄米軍基地反対運動潰し」だとする巷の指摘等について政府の認識と見解を答えられたい。
五 政府は、今回の法案提出の理由に東京オリンピック・パラリンピックのテロ対策を挙げる。一方、識者は同法案が「特定秘密保護法」と「安保法制」に続く安倍政権の総仕上げであり、これにより「日本を戦争のできる国」並びに「戦争をする国」にしたいからだと指摘する。本職は、この識者の指摘に「沖縄の米軍基地撤去運動を始めとする市民運動潰し」と「政府に刃向かう沖縄を始めとする地方自治潰し」を加えるべきであると考える。なぜならば、政府が同法案でやろうとしていることは、国民を監視し、政府に都合の悪い意見や運動があれば、その構成員を摘発して、政府の言うなりにしようとしていることに他ならないが、そのためにも取り急ぎ対応しなければならない課題は「米国と約束」した「辺野古新基地建設」であり、その実現のためには「建設工事に反対する市民団体やその幹部とメンバー」を「共謀罪」で排除することであり、「翁長雄志沖縄県知事が唱える地方自治」を司法判断で打ち砕くことであろうと考える。本職と識者のこのような考えと指摘について政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



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