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平成二十九年六月五日提出
質問第三六二号

国鉄の分割・民営化三十年に関する質問主意書

提出者  宮崎岳志




国鉄の分割・民営化三十年に関する質問主意書


 国鉄の分割・民営化から三十年が経過しているが、昨年十一月にJR北海道は全道路線の約半分にあたる十三線区千二百三十七キロメートルを「単独では維持することが困難」と経営の限界を公表した。分割・民営化の現状は、JR北海道の経営実態に象徴されるように国鉄改革の根幹が問われる実態となっている。今国会の二月八日の衆議院予算委員会で、「JR北海道の現状について」問われた麻生副総理は「この話は、国鉄という商売のわかっていない方で、やはり学校秀才が考えるとこういうことになる典型です」とし、「七分割して、これが黒字になるのは三つで、ほかのところはならないと当時からみんな言っていた。鉄道関係者なら例外なく思っていた」と答弁している。この発言は、分割・民営化の是非、破綻の現状を認めた答弁であると考える。
 そこで以下質問する。

一 当時の国鉄再建監理委員会から政府に提出された「国鉄改革に関する意見」の「改革の基本的考え方」の中で「公社という自主性の欠如した制度の下で全国一元の巨大組織として運営されている国鉄の現状の下では鉄道事業の取り巻く環境の変化に的確に対応し、地域のニーズをくみ上げこれに即応した経営の変革や生産性の向上を自主的に進めて行く事は極めて困難であり、この事が国鉄経営の破綻をもたらした最も大きな原因である。そしてこの点にメスを入れなければ過去数次にわたって経営改善計画に於いて採られたような長期債務の処理やその他の施策を講じたとしても真の意味での再建は不可能であり、将来にわたって健全な活力ある経営を続けて行く事が出来る姿に再生したことにはならない」として、「このような考え方に基づき構造的に経営形態を変革するための『分割・民営化』を提言している」と述べている。
 また、日本国有鉄道監査委員会作成の「日本国有鉄道監査報告書 昭和六十年度」では、「この悪循環による財政破たんを断ち切る為に、一日も早く国鉄改革を行う必要がある。今回の改革は分割民営化を行い新しい事業体として健全な経営基盤を速やかに確立することによって我が国の基幹的輸送機関としての鉄道事業を再生・活性化し、これを二十一世紀に引き継ぐという国民的課題であり国鉄の事業再建にとって今や最後の機会であると考える。国鉄改革関連法案の成立が遅れることは、国民生活に重大な影響を及ぼす事に鑑み国会における当該法案の審議の促進と早期成立を切に望むものである」と述べられている。
 上記の麻生副総理の衆議院予算委員会での答弁は、「国鉄改革に関する意見」や「日本国有鉄道監査報告書 昭和六十年度」に基づき政府が実施した国鉄改革とは大きな矛盾が生じていると考えるが、政府としての見解を示されたい。
二 分割・民営化の背景には、赤字の元凶ともいわれた全国一元運営の問題、経営責任の明確化から、六つの旅客会社に分割し、全国一社の貨物会社を設立したが、JR北海道の現状を見れば、地域分割の矛盾は大きく露呈している。その結果が、JR本州三社は膨大な利益を計上し完全民営化を果たす一方で、JR北海道、JR四国及びJR貨物会社に至っては、その展望も見出せない経営状況になっている。この地域分割の現状と今後の対策について政府の見解を示されたい。
三 国鉄の長期債務、約三十七兆円について、JR等が十一兆六千億円を継承し、残る約二十五兆五千億円について国鉄清算事業団で処理することになっていたが、土地の高騰による売却の見合わせ、株式上場等の遅れでスキームは破綻している。一九九八年の「国鉄清算事業団債務処理法」により、新たな枠組みで債務処理を行っているが、長期債務は国民負担となり、二〇一三年度末時点で約十八兆一千億円の長期債務が残っていることについて政府の認識を示されたい。
四 今年度から、経営安定基金の運用益に対する鉄道・運輸機構の利益保証が終了し、全額自主運用になっているが、公共輸送機関の経営を市場の動向に委ねることは、国鉄分割・民営化のスキームにも矛盾すると考えているが、政府の見解を明らかにされたい。
五 国鉄の分割・民営化の最終目標は株式上場・完全民営化であるが、JR北海道、JR四国の現状を踏まえれば、どのような道筋で完全民営化を目指すのか、政府としての考え方を示されたい。

 右質問する。



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