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平成二十九年十一月二十九日提出
質問第六八号

訪問介護における「生活援助」の提供回数の制限及び「生活援助」の「緩和した基準」に関する質問主意書

提出者  柚木道義




訪問介護における「生活援助」の提供回数の制限及び「生活援助」の「緩和した基準」に関する質問主意書


 二○○○年度にスタートした介護保険制度は、二○一五年度現在、介護が必要と認定を受けた者は六二五万人、サービスを利用しているのは五一八万人と報告されている。
 一年間に一度でもサービスを利用したことがある年間実受給者数でみると、利用者の八五パーセントは在宅サービスを利用している。
 在宅サービスで最も利用されているのは、福祉用具貸与、通所介護及び訪問介護となっている。
 介護が必要な者はひとり暮らし、高齢夫婦世帯が年々増加しており、ホームヘルパー(訪問介護員)が各家庭を訪ね、日常生活を支える「生活援助」は不可欠のサービスとなっている。
 一○月二五日、財政制度等審議会財政制度分科会(以下、「財政審分科会」という)は、「社会保障についてA(各論)」において、「生活援助中心型」の利用状況の調査結果を示し、一人当たりの平均利用回数は月一○回程度だが、月三一回以上の利用者が二万四七四八人いるとして、なかには月一○○回を超えて利用しているケースをとらえ「必要以上のサービス提供を招きやすい構造的な課題」とした。
 また、要介護一・二の利用者三六万七○○○人の「利用回数の分布」を示し、九割までが月二○回までの利用としている。
 そして、「改革の方向性(案)」として、一定の回数を超える生活援助を提供する場合は、地域支援事業の包括的支援事業に位置づけられている地域ケア会議で、ケアプランの検証を行うことを要件とすべきとした。
 しかし、月一○○回の訪問とは、一日三回程度となり、ホームヘルパーが食事介助と服薬管理に訪問するだけでも、当然の訪問回数と考える。
 一一月二二日、社会保障審議会介護給付費分科会(以下「社保審分科会」という)第一五二回において、厚生労働省は財政審分科会の「改革の方向性(案)」に呼応する形で、「訪問介護(生活援助中心型)の回数が、通常の利用状況と著しく異なるケアプランは、市町村が確認・是正を促していくことが適当」とし、「一定の回数を超える生活援助中心型を位置付ける場合は、市町村にケアプランを届け出ることとし、市町村が地域ケア会議の開催等により届け出られたケアプランの検証を行う」とした。
 また、届出対象の範囲を二○一八年四月に示した上で、六ヶ月の周知期間を設けて一○月から施行するとしている。
 厚生労働省は第一五二回社保審分科会において、「訪問回数の多い利用者への対応(自治体調査結果)」を公表している。
 調査対象は四八件と少ないが、うち四六件は「適切な利用」と自治体が判断している。
 また、財政審分科会が指摘する要介護一・二は一五件で、三割に過ぎず、要介護一・二であっても、「認知症高齢者の日常生活自立度」がUbとなる者が四件ある。Ubとは「服薬管理ができない、電話の対応や訪問者との対応などひとりで留守番ができない等」とされている。
 また、調査では「独居」が八割で、家族がいる場合でも要介護認定を受けている高齢の配偶者がほとんどである。
 七割を占める要介護三以上の者は、「認知症高齢者の日常生活自立度」がVa以上となり、「常に介護を必要とする」者で、在宅生活を維持できていることこそが、評価に値すると考える。
 政府は『ニッポン一億総活躍プラン』で「介護離職ゼロ」を掲げ、二○二○年代初頭までに介護のために離職する者をゼロにするため、介護保険サービスの充実をめざすとしている。
 しかし、ひとり暮らしで重度の認知症の者が頼りとしている「生活援助」の訪問回数の制限をすることは、親の介護のために離職を決断する労働者を増やすことにしかならない。
 また、身寄りのない認定者であれば、「生活援助」の制限は、セルフネグレクトを加速させ、孤立死やゴミ屋敷問題をこれまで以上に拡大する可能性が大きいと考える。

一 政府は、ひとり暮らしや重度の認知症で、在宅生活を営む者たちの「生活援助」に制限を加えることを適当と考えているのか。
二 二○一八年度の介護報酬改定に向けて現在、社保審分科会が審議を行っている。
  一一月一日に開催された第一四九回社保審分科会において、厚生労働省は「訪問介護の報酬・基準について」として、「生活援助中心型の担い手の拡大(基準の緩和)」のため、生活援助中心型を担当するホームヘルパー(訪問介護員)を現行の初任者研修(一三○時間以上の研修)ではなく、「新研修」により緩和すると提案した。
  研修条件を緩和した「新研修」であれば、受講者が増え、人材確保につながるとの説明だが、現行基準を緩和することは、介護報酬の引き下げに連動することが当然予想される。
  介護人材が不足していることはかねてから指摘され、政府は『ニッポン一億総活躍プラン』で「介護離職ゼロ」を掲げ、介護保険サービスの充実のため、介護労働者の処遇改善をはかるとしている。
  介護労働者は、認定者の自宅などを訪問するホームヘルパー(訪問介護員)と施設などで働く介護職員におおきく分けられるが、ホームヘルパーは初任者研修の修了者であることが要件とされ、在宅介護の質を一定程度維持してきた歴史がある。
  ホームヘルパーは女性が八八・六パーセントと圧倒的であり、女性労働が在宅介護を支えてきた歴史的経過を踏まえ、『すべての女性が輝く社会づくり』をめざす政府へ以下質問する。
 1 ホームヘルパーの養成研修を修了した者は累計三八三万人にのぼるにもかかわらず、実際に従事している者は四二万人で約一割に過ぎないが、この理由は何か。
 2 ホームヘルパーは六○歳以上が三割を超え、後継者が育成できていない課題があるがこの原因は何か。
 3 ホームヘルパーの任用条件を緩和する前に、なぜ、従事者が少ないのか、その理由を明らかにすることが必要であり、合理的な課題の解決を探ることが、今後も増え続ける在宅サービス利用者の安心・安全につながると考えるが政府の見解を伺いたい。

 右質問する。



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