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平成三十年十二月四日提出
質問第一〇八号

再審請求における証拠開示制度の法制化に関する質問主意書

提出者  矢上雅義




再審請求における証拠開示制度の法制化に関する質問主意書


 かつては「開かずの扉」と言われていた再審の状況に変化が生じている。二〇〇五年以降、日弁連が支援する著名再審事件だけでも一一件で再審開始決定が出され、うち四件で再審無罪が確定した。地元熊本の松橋事件でも本年一〇月一〇日に再審開始が確定し、同事件に続くべく、鹿児島の大崎事件、滋賀の湖東事件など、高裁で再審開始が認められた事件が続々と最高裁での確定を待っている状況である。
 これらの中には、捜査機関の手の内に隠されていた無罪方向の証拠が再審段階で初めて開示され、その証拠が決め手となって再審開始・再審無罪に結びついた事件が少なくない。しかし、現行刑事訴訟法では再審に関する条文は一九しかなく、審理手続についてはわずかに第四四五条で「事実の取調」ができると規定されるのみである。一方、通常の裁判については「証拠の一覧表」の交付制度などが新設された二〇一六年改正刑事訴訟法の内容を議論した法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」において、再審請求における証拠開示についても議論がされたにもかかわらず、法制化は見送られた。もっとも、このとき改正附則第九条第三項には「政府は、この法律の公布後、必要に応じ、速やかに、再審請求審における証拠の開示(中略)等について検討を行うものとする」と定められたことから、現在関係機関による非公式協議などが開催されていると聞く。また、再審をめぐる実務・学界における議論が活発化し、マスコミや世論の注目も高まりを見せる中、今まさに再審における証拠開示の法制化は喫緊の課題である。
 したがって、次の事項について質問する。

一 現行刑事訴訟法における再審制度の目的は「無辜(無実の者)の救済」であることは前法務大臣の上川陽子氏も衆議院法務委員会の答弁で認めている(平成三〇年四月四日)。では、現行刑事訴訟法の施行後七〇年間にわたり一度も改正されていない再審手続に関する規定は、目的実現のために必要十分のものと言えるか、政府の認識を示されたい。
二 再審では審理方法を定めた規定がないことから、証拠開示に向けた訴訟指揮を行うか否かは裁判官の裁量に委ねられ、証拠開示によってえん罪を晴らすことができるか否かが裁判官の「さじ加減」で決まってしまうという「再審格差」の問題が指摘されている。この点についての政府の認識を示されたい。
三 大臣は「証拠開示に向けた勧告などを行うかどうかについては事件によって裁判官が適切に判断している」と答弁されたが、同じ事件、しかも後に再審開始に至った事件で、かつて裁判官がまったく証拠開示に向けた訴訟指揮をしないまま再審請求を棄却した事件があるのを承知しているか。
四 再審制度は、有罪判決を受けた無実の者がえん罪を晴らすための、文字通り唯一にして最後の手段である。多くの事件で再審段階に至るまで捜査機関に無罪方向の証拠が隠されていたことが「証明」されているのに、再審段階での証拠開示手続を定める法制度がないということでは、一定程度えん罪が発生し、それを晴らす手段が十分でないことを容認することになる。それでは死刑制度を存置することの正当性を担保できなくなるのではないか。政府の見解を示されたい。
五 再審における証拠開示を法制化すると、有罪判決を受けた本人の申立てで、明らかに再審理由のない再審請求が数多くあると言われている現状のもとで、裁判所の審理が立ちゆかなくなるという懸念があると聞いている。再審における証拠開示制度を作る一方で、一見して明らかに再審理由のない再審請求について、いわゆるスクリーニング規定を置くといった検討はされていないのか。政府の見解を示されたい。
六 証拠開示が機能するためには、その前提としての証拠の適切な保管、管理が必要になると考えられる。アメリカでは有罪判決を受けた者がDNA鑑定などの鑑定資料にアクセスする権利がすべての州で制度として認められている。これに対して我が国では、有罪判決を受けた者の権利としての証拠保存、証拠開示という視点が欠けているのではないか。そもそも公費を用いて捜査機関が収集した証拠は誰のものなのか。政府の認識を示されたい。
七 現行法のもとで再審請求を行っている事件のほとんどは刑事訴訟法第四三五条第六号を理由とする再審である。この条文は、再審請求を行う段階で「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」を提出することを求めている。しかし、多くの事例で捜査機関が収集した証拠の中に無罪方向の証拠が存在することが明らかとなっている現状から、一定の条件のもと、再審請求の前段階で、再審請求をしようとする者やその弁護人に対し、証拠の閲覧を認める制度も必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。
八 以上質問した内容に照らし、再審における証拠開示の法制化は喫緊の課題であると考えるが、関係機関による非公式協議の進捗状況はどうか。法制化までのタイムスケジュールをどのように考えているのか、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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