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平成三十年十二月四日提出
質問第一〇九号

IPCC「一.五℃特別報告書」についての政府の対応に関する質問主意書

提出者  長尾秀樹




IPCC「一.五℃特別報告書」についての政府の対応に関する質問主意書


 地球温暖化に伴う気候変動の激化は異常気象や自然災害の形で国内外に大きな被害をもたらし、様々な化学物質による汚染は目に見えないところで拡大するなど、私たちの生命や社会・経済活動の基盤である「環境」の悪化はますます深刻さを増している。また、福島第一原子力発電所の過酷事故は、全世界に原発の危うさと私たちの文明の「豊かさ」に対する根源的な議論を投げかけた。さらに、世界を見渡せば、環境の破壊のみならず、貧困、格差、紛争、移民・難民の大量発生など社会・経済上の諸問題もますます危機的様相を深めており、このままでは人類社会の存続さえも危ぶまれる状況にある。
 これらの問題は、これまでの私たちの価値観や暮らし方、技術、社会経済システムに起因している。特に今日私たちが依存している経済は、科学技術の絶え間ない進展を前提に、地球の有限性や真の豊かさなどを考えることなく、経済の規模の拡大と効率性の追求に明け暮れるものであり、多くの人と組織が、過去もそして現在もこの道を志向し続けている。
 しかし、世界人口が七十億人台の半ばに達し、今後も毎年八千万人前後の増加が見込まれることに加え、一人ひとりが物質的に豊かで快適な生活を求めている中では、かつては無限と考えられていた地球の環境やそこに存在する各種資源は、二十世紀後半から劣化の兆しを見せ始め、今では、専門家のみならず良識ある市民なら誰でも認識できるまでに悪化している。
 そのため、問題解決に向けては、現状追認型の小手先の取り組みでは到底不十分である。科学的根拠に基づく倫理的で政治的な判断と、人間の叡智に基づく大きな社会変革を伴う根源的な取り組みが不可欠である。
 二〇一五年パリ協定が批准され、世界は脱炭素社会へと舵を切った。しかし、残念ながら国内では、根源的な政策転換は遅々として進まず、持続性をないがしろにした短期的な経済重視の政策が優先され続けている。
 こうした中で、去る十月八日、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)「一.五℃特別報告書」が発表された。
 これに関して、以下質問する。

一 十月八日、IPCCはいわゆる「一.五℃特別報告書」を発表したが、その報告書の中では「現状程度の対策のままでは、早ければ二〇三〇年にも一.五℃上昇に達してしまう」とし、そのためには、「二〇三〇年までにCO2排出量を二〇一〇年レベルに比べて約四十五%削減する必要がある」とし、さらに「二〇五〇年頃までにはほぼ正味ゼロにする必要がある」とも述べている。このことは承知しているか。
二 日本政府が現在持っている中長期の目標は二〇一三年比で温室効果ガス総量で二〇三〇年二十六%削減、二〇五〇年では八十%削減となっており、世界から「緩すぎる」と批判されている。先進国の一員である日本が、一.五℃目標達成に対し、もっと本腰を入れてCO2などの削減努力に努めなくてよいのか。IPCCの特別報告書を受けて、日本の目標(二十六%、八十%削減)を早急に引き上げるべきではないか。
三 IPCCでは昇温を一.五℃に抑えるには、すべての部門での排出量削減、様々な技術の採用、行動様式の変化、低炭素への投資などをこれまでにないスケールで展開することが必要としている。これらの指摘に対して、政府は、どう対応しようとしているのか。
四 温室効果が削減に非常に効果あるということで、炭素に価格をつけるカーボンプランシングがあり、多くの国がすでに導入して効果をあげている。日本でも三十年近く、こうした議論があるが、一部産業界の反対でいまだに導入されていない。現在、中央環境審議会でもこの議論が進められているようだが、その進捗状況はどうか。また、このままでは世界から大きく後れをとることになるが、なぜ効果があるのに導入に踏み切れないのか。

 右質問する。



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