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平成三十一年二月六日提出
質問第二一号

ネオニコチノイド系農薬等に関する質問主意書

提出者  川内博史




ネオニコチノイド系農薬等に関する質問主意書


 昨年六月八日、農薬取締法の一部を改正する法律が成立し、同法による改正後の農薬取締法の目的として、「農薬の安全性その他の品質及びその安全かつ適正な使用の確保」が明記された。また、国際的動向等を踏まえ、定期的に安全性等の再評価を行う制度も導入されることとなった。
 農薬の安全性に関する国際的動向は、農薬の使用削減も入れてさらに踏み込んだものとなっている。国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)の世界行動計画には「もっとも有害性の低い農薬の調達を優先させ、過剰または不適切な化学物質(農薬)の使用を避けるための最適な手法を用いるべき」、「害虫管理について効果的で化学物質を使用しない代替方法と同様に、よりリスクの低い農薬の開発と使用及び、高度に有害な農薬の代替を推進すべき」とあり、過剰な農薬の使用を避け、農薬を使用しない代替方法を推進することが求められている。EU農薬指令は、農薬を殺生物剤で毒物として扱い、予防原則に基づき、農薬使用が人の健康及び環境に及ぼす危険性及び影響力を減少させることを基本理念に掲げ、IPM(総合的有害生物管理)及び農薬に依存しない方法の利用を促進することによって、農薬使用を最小限化するための枠組みを整備している。農薬暴露は、子どもの健康な発達、ことに脳発達を阻害する可能性が高いので暴露を極力抑えるよう、二〇一二年米国小児科学会や二〇一五年国際産婦人科連盟は公式勧告を出している。
 日本では二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピック、二〇二五年に大阪万博が予定され、国産の農産物の安全性が海外からも国内からも注目されつつある。他方、我が国の耕地面積当たりの農薬使用量は、他のOECD諸国よりも圧倒的に多く、多量の農薬が使用されているのが現状である。国内でも有機・無農薬農産物を求める国民は急増しており、農林水産省の発表では利用中の国民が十八%に加え、希望する国民が六十五%となっている。
 これらのことから、改正農薬取締法において再評価を進めることは急務である。
 以上に鑑み、以下質問する。

一 農薬の中でもネオニコチノイドの残留基準は、海外に比べて桁違いに緩いものが多い。国内の農産物のネオニコチノイドの残留農薬は、平成二十六−二十八年に農林水産省で発表された値を見ても、EUでは基準超えをするものや未登録の農薬が多くある。東京オリンピック・パラリンピックに向けて、世界から日本の農産物の信用を得るには、農産物のネオニコチノイドなどの農薬残留基準を、EUの基準など世界レベルの基準と同等以上に厳格化し、日本GAP(農業生産工程管理)認証にも早急に適用する必要があると考えるが、政府は、日本の農産物のネオニコチノイドなどの農薬残留基準を、EUの基準など世界レベルの基準と同等以上に厳格化する考えはないのか。政府の見解を求める。
 また、EUの基準など世界レベルの基準と同等以上に厳格化しないのは何故か。その理由を明らかにされたい。
二 国内の農薬残留基準は一日摂取許容量(ADI)の八十%を超えなければ安全としているが、その基準となる無毒性量以下の投与でも、動物実験で行動異常を起こす報告が複数ある(アセタミプリドを無毒性量七・一r/s/day以下の一r/s/dayを妊娠マウスに投与すると、生まれた雄仔マウスに行動異常を起こすことが、二〇一六年国立環境研究所から報告されている。クロチアニジンは無毒性量九・七r/s/day以下の五r/s/dayを雄の成獣マウスに投与すると、不安行動など異常を起こすことが二〇一八年神戸大学から報告されている)。
 ことにアセタミプリドは農薬評価書の推定摂取量が、小児でADI〇・〇七一r/s/dayの六十五%にも達し、EUでは二〇一六年、発達神経毒性の懸念ありとしてADIが約三分の一の〇・〇二五r/s/dayに引き下げられているので、日本の小児の推定摂取量はEU基準では超過している。
 @ ネオニコチノイドはハチを含む生態系への影響が科学的に確認されていると考えるが、この点についての政府の見解を求める。また、特に、ネオニコチノイド系農薬は、ミツバチの大量死・大量失踪の原因として因果関係も明らかになっていると考えるが、政府の見解はいかがか、回答を求める。
 A 政府は多くの野菜や果実等の花粉交配・受粉に大きな役割を果たすミツバチの大量死・大量失踪を防止するために、ネオニコチノイド系農薬の使用を禁止あるいは規制する考えはないのか、政府の見解を求める。
 B さらに、ネオニコチノイドは、ヒトでも発達神経毒性が懸念され、予防原則のもと、EUなど世界で厳しい規制が進行している。政府は、EUなどで、ネオニコチノイドのヒトへの発達神経毒性が懸念されているという事実を承知しているのか、回答を求める。
 C 日本政府は、ヒトの健康について、予防原則の考え方を導入するつもりはないのか。予防原則の考え方を導入しないのであれば、何故導入しないのか、その理由を明らかにされたい。
三 現在、ドローンでの農薬空中散布が急速に進められようとしている。その中には、空中散布で許可される農薬の種類を拡大し、さらに、希釈倍数の基準を大幅に緩和する内容が含まれている。平成三十年十一月八日付の政府の規制改革推進会議による「農業用ドローンの普及拡大に向けた意見」には、「わが国では、一九八〇年代に無人ヘリコプターで農薬散布を行う際の航行と農薬に関する安全を確保するためにつくられた仕組みが、今や最新型ドローン活用の阻害要因となっている。農業の成長産業化に向け、ドローン技術の進歩に遅れることなく、スピード感を持った規制・制度の見直しが必要」と記載されている。
 安全性の規制緩和、すなわち、経済を優先して安全を犠牲にするということは決してあってはならないと考えるが、政府の見解はいかがか、回答を求める。
四 平成三十年十一月八日付の規制改革推進会議の意見では、ドローンによる農薬の空中散布には、航空法に基づく規制、農薬取締法に基づく規制、電波法に基づく規制、の三つが関係するとし、それぞれの現行制度と問題点及び実施すべき事項を指摘している。
 @ 政府は、ドローンによる農薬の空中散布について、航空法、農薬取締法、電波法それぞれに基づく規制のどこに問題点があり、それらをどのように、どのような方法で変更・実施すべきと考えているのか、具体的かつ詳細な説明を求める。
 A 特に、農薬取締法に基づく規制について、規制改革推進会議は、「陸上散布において認められている農薬のドローン散布に当たっては、希釈倍数要件の緩和が不可欠である。このような農薬の希釈倍数の変更にも、あらためて農薬メーカーの登録・表示が必要とされ、そのために独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)による検査が必要となる」「この検査においては農薬残留データを一から取り直すことが求められるため、数千万円のコストがかかり、ドローンで利用可能な農薬の種類の拡大を阻んでいる」と指摘している。政府は、数千万円のコストのために、安全性を確認するための農薬の作物残留試験を不要とするつもりなのか、明確な説明を求める。
五 一方、ドローンによる農薬空中散布により、ドリフトの影響を調べる調査は全く無視されている。農薬の空中散布は大気中にドリフトを起こし、害虫以外の生態系や人間へ予想外の暴露を起こすことが懸念されている。経口で農薬を暴露した場合、肝臓で解毒作用を受けるが、経気経路で暴露すると、血中に農薬がそのまま入り、全身に送られてしまうので危険性が高まる。ましてや、国土の狭い日本では農地の周囲に必ず人家や保育園、幼稚園、学校などがある。国土交通省の発表では、ドローンの落下事故も多く報告され、その中には農薬散布のドローンも含まれる。
 @ 政府は、ドローンによる空中散布を行った際の経気経路での暴露による影響および農薬散布用のドローンの落下時の環境および健康影響についてどのような評価を行っているのか、具体的かつ詳細に説明されたい。また、経済を優先して、安全性についての規制を緩和し、生態系やヒトの健康に悪影響を与える危険性が高い、ドローンによる農薬の空中散布は推進するべきではなく、禁止すべきものと考えるが、政府の見解はいかがか、回答を求める。
 A 特に、ミツバチの大量死・大量失踪の原因となり、浸透性・残効性・神経毒性が強く、人、特に子どもの発達神経毒性が懸念され、予防原則のもと、EUなど世界で厳しい規制が進行しているネオニコチノイド系農薬の、ドローンによる空中散布は、即刻禁止すべきと考えるが、政府の見解を求める。
六 農産物の輸出は日本にとって重要な産業政策であるが、海外と日本では登録農薬や残留基準が大きく異なるために、農産物輸出が制限されることがある。ことに有機リン系やネオニコチノイド系などの浸透性農薬は、生態影響や健康影響から登録を外れる傾向が大きい。例えば現在、世界各地で抹茶ラテが流行し、日本産茶葉(抹茶)の輸出が伸びている。ところが、日本産茶葉(抹茶)には、ジノテフランの残留が認められているが、EUでは、ハチや生態影響のためにジノテフランは登録されておらず、農作物への残留は認められていないため、ジノテフランの検出により、EU加盟国の税関でリジェクトされているものが数年来、複数見られる。
 @ 農作物の輸出を増やし、日本産の安全性をアピールするためにも、国内で登録されている農薬の種類を早急に見直し、危険度の高いものから登録を外して国際レベルに通用するよう変更する必要があると思うが、政府の見解はいかがか、回答を求める。
 A 登録されたものの中でも残留基準については、ネオニコチノイドを含み農薬の残留基準が海外に比べ、日本の残留基準値が極めて緩いものが多い。海外の国の気候条件など考慮しても、日本の残留基準の再評価が必要と思われるが、政府の見解を明らかにされたい。
 B 登録農薬や残留農薬の再評価にあたっては、諸外国において、使用が認められていないという事実や残留基準の低い値を、今後どのように考慮されるのか、回答を求める。
七 世界の動向では、農薬は殺生物剤であり基本的に毒物として扱い、予防原則を適用して、生態系や人間に危険性の高いものは極力使用を減らすことが求められ、有機農業の推進が進められている。諸外国の有機農業の市場規模は年々増大し、欧州では総売上四兆円、米国では四・八兆円、中国では二〇〇九−一三年で三倍の伸び、韓国でも年三十六%増加している。一方日本では有機食品の市場規模は約一三〇〇億円と欧米より一桁小さい。
 東京オリンピック・パラリンピックや大阪万博を控えている日本では、有機農業を推進し、農薬使用を極力下げる措置を行わないと、世界での信用を失いかねない。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、いつまでに、どのように改善するのか、具体的かつ迅速な提案を示されたい。
 また、有機農産物を求める海外選手団のニーズの把握および対応状況はどのようになっているのか、回答を求める。
八 農薬の毒性試験に発達神経毒性や内分泌かく乱作用を取り入れることについて
 @ 日本の農薬の毒性試験には、発達神経毒性や内分泌かく乱作用が入っていない。発達神経毒性については、昨年の国会で川田龍平議員の質問主意書に対し、答弁書第一八一号で検討中と提示されたが、その後の経過と今後の予定について、政府の回答を求める。
 A 内分泌かく乱作用についても、上記答弁書では検討するとしているが、その後の経過はどうなっているのか、政府の回答を求める。
九 農薬やプラスチック成分の内分泌かく乱作用は、科学的知見が蓄積して、ことに発達期の子どもや生殖系への影響が懸念されている。WHO(世界保健機関)では二〇一二年に「内分泌かく乱化学物質の科学の現状」を公開し、内分泌かく乱物質が子どもの発達に重大な影響を及ぼすことを警告した。
 EUでは内分泌かく乱作用のある化学物質は既に厳しい規制が始まっており、農薬も内分泌かく乱作用のために登録抹消されたものも多い。有機リン系フェニトロチオンやピレスロイド系ペルメトリンなど複数の農薬が登録抹消されているが、日本国内では使用が続いている。ネオニコチノイド系農薬も、ヒトの細胞で女性ホルモンのかく乱作用が報告されて海外でも注目されている。
 農薬の毒性試験に発達神経毒性や内分泌かく乱作用を入れることは日本人の健康を守るために極めて重要なことであり、世界の動向に鑑みても急務と考えるが、政府の具体的な対応策を明らかにされたい。
十 農薬評価書、農薬抄録は、農薬が登録・使用後、公開されるとしているが、実際には公開に非常に長い年月がかかるケースがある。例えばネオニコチノイド系チアクロプリドは、劇物であり代謝物の毒性が毒物指定のニコチンよりも高いものがあるにも関わらず、二〇〇一年に登録されてから、二〇一八年十月にようやく評価書が公開された。抄録については未だに公開されていない。さらに評価書や抄録の毒性試験結果は極めて曖昧で実際のデータが記載されない場合も多く、未公開となっているものも多い。国民が、使用されている農薬の安全性の確認を求めるのは極めて正当な権利である。また全ての抄録は、単語を検索できない画像版になっているのも問題である。
 @ 農薬評価書、農薬抄録の公開は、単語を検索できる文字コードを含むPDF版で出す必要があると考えるが、政府の対応はいかがか、回答を求める。
 A 農薬評価書、農薬抄録の公開について、その迅速性、毒性試験結果の実際のデータの公開、未公開のものも積極的に公開するなど、政府の基本的な考え及び具体的な対応を明らかにされたい。
十一 環境省で毎年公開している日本人における化学物質の暴露のモニタリング調査が、二〇一六年で一旦休止となった。このモニタリング事業は、有機塩素系農薬など残留性有機汚染物質、内分泌かく乱化学物質、毒性のある重金属類、農薬類など幅広い化学物質の汚染状況を示す価値ある調査であった。日本では、平均寿命は延びたが、子どもの発達障碍やアレルギーが急増し、成人ではがん、高血圧、心疾患、アルツハイマー病など精神疾患も急増して、その原因として農薬など有害な環境化学物質暴露が疑われており、モニタリング調査は重要である。
 実際に、日本人は多種類の化学物質に複合暴露しており、長期的な調査は必須であると考えるが、政府は、どのように考えているのか、見解を求める。また、今後、どのように日本人における化学物質の暴露を把握するつもりなのか、政府の対応や今後の方針を具体的に明らかにされたい。

 右質問する。



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