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平成三十一年三月二十日提出
質問第一〇五号

東京福祉大学における留学生所在不明事件を受けて留学生受け入れ政策の見直しに関する質問主意書

提出者  早稲田夕季




東京福祉大学における留学生所在不明事件を受けて留学生受け入れ政策の見直しに関する質問主意書


 政府の進める「留学生三十万人計画」について、昨年十一月、私は二本の質問主意書を提出し、まるで危機感のない、従来の取り組みを漫然と続けるという趣旨の政府答弁書を受け取ったところであるが、今般、東京福祉大学における杜撰と断じざるを得ない留学生の在籍管理事務が発覚したので、以下あらためて質問する。

一 先の質問主意書で私は、在籍者数全体に占める留学生割合が七割を超える大学や専門学校(学校教育法第百二十六条第二項)の数および留学生の学習成果についてどのように評価しているか問うたところ、「政府として把握しておらず、お答えすることは困難である。また、お尋ねの『このような大学や専門学校における留学生の学習成果について、どのように評価しているか』の意味するところが必ずしも明らかではないが、学生等の学習成果の評価は、大学設置基準(昭和三十一年文部省令第二十八号)等に基づき、各大学等において行うこととされている。」との答弁であった。今回の東京福祉大学での留学生所在不明事件を受けてもなお、この答弁を維持し、留学生の実態把握の必要性や留学生の学習成果について、政府として取り組むべきことはないと考えているのか。
二 同じ昨年の質問主意書で、留学生受入れのための体制整備について、優良事例や失敗事例を検証し、今後の在り方を検討するべきと問うたところ、「平成二十九年八月二十一日に『高等教育機関における外国人留学生の受入推進に関する有識者会議報告』を取りまとめたところであり、現在、同報告を踏まえつつ、留学生の受入れに関する制度の改善等に向けて検討を行っている。」との答弁であった。同報告を超えての対策が必要だと考えるが、制度の改善について改めて有識者を集めての再検討を早急に行う考えはないか。
三 「留学生三十万人計画」実現を目指すべく、独立行政法人日本学生支援機構(以下JASSO)などが中心となり在外拠点を設けるなどして日本の大学についての情報を発信し、海外から日本への留学生を増やすために積極的に働きかけを行っており、在外公館も積極的に支援しているとのことだが、発信している情報の中身について精査しているのか疑問を感じる。例えば、留学生の在籍管理事務が杜撰な疑いのある「東京福祉大学」は、JASSOの検索ページに依然として留学生受け入れ大学として紹介されている。そもそも政府は、専修学校に対しては、二〇一八年十月十九日の三〇教生推第一号通知にて「在籍管理の徹底」を求めているなど、留学生の受け入れにあっては、在籍管理の必要性を文部科学省も認識していると承知しているが、その他の大学などの高等教育機関には、在籍管理の徹底を求めていないのか。求めていないのならばその理由を明らかにされたい。もし求めているのであれば、なぜ在籍管理が杜撰な高等教育機関だと認知していながら公的機関であるJASSOが設置する検索サイトで当該高等教育機関を漫然と紹介していることを放置しているのかについて、政府の見解を明らかにされたい。
四 信頼性を欠く留学情報を、外国に居住し私費で我が国に留学をしようとする外国人の若人に提供しているとすれば、それは我が国への信頼を失墜させ、将来的に我が国への嫌悪感を醸成させる原因となりうる。真に優れた外国人留学生を戦略的に獲得したいという意思が政府にあるならば、信頼できる情報を提供するべきであり、その責任も政府にあるのではないか。例えば、定員割れしている大学に外国人留学生を魅了させるだけの魅力があるのかについて甚だ疑問を感じる。定員割れが生じる理由は、様々な複合的な問題があるとはいえ、定員割れが半ば常態化している大学や退学者・除籍者の多い大学については、大学の教育・研究能力にも何らかの問題があると判断し、外国人留学生を受け入れる大学として相応しいかどうかを公的機関が判断し、その判断を日本に留学を希望する外国人に提供をするべきではないかと考えるが政府の見解を明らかにされたい。
五 たとえば、東京福祉大学の留学生向けの資料には、「『お金持ちに』なる夢につながる」などの文言が躍っていると聞くところであるが、こうした事実無根な文言は誤解を受ける表現であり、厳に慎むべきではないか。政府が戦略的に優秀な留学生を確保しようと考えるのであれば、こうした誇大広告についても取り締まるべきではないかと考えるが政府の見解を明らかにされたい。併せて、こうした客観的データに基づかない「誇大広告」資料を作成するような大学に教育研究能力があるとは思えないが、このことについても政府の見解を明らかにされたい。
六 JASSOによれば、二〇一八年五月一日時点での外国人留学生は二十九万八千九百八十人いる。このうち国費留学生はわずかに約一万人であり、「留学生三十万人計画」のほとんどを占めるのは私費留学生ということになるが、文部科学省で私費留学生を担当する職員数は二名しかいない。他方、僅か一万人の国費留学生に対する文部科学省の担当者も二名配置されている。国費留学生への手厚い施策に比して、二十九倍もいる私費留学生に対して同じ人数では、適時的確な施策を講じることはできないのではないか。二十九万人の私費留学生の多くは、いずれ母国や日本社会で重要な役割を担う人材となり、世界中で日本を応援してくれる応援団となるという観点からも、この人員配置を見直すべきではないかと考えるが政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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