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令和元年十二月四日提出
質問第一六〇号

カジノによる税収増加の疑問に関する質問主意書

提出者  中谷一馬




カジノによる税収増加の疑問に関する質問主意書


 カジノを含む統合型リゾート(IR)推進派の政府や地方自治体からは、「財政の改善への貢献」「地域振興、雇用創出が見込まれる」等、耳障りの良い言葉ばかりが並べられているが、実際には治安対策や依存症対策等に多額の負のコストがかかることが想定される。
 二〇一九年九月十七日に神奈川新聞が報じた世論調査によれば、カジノに賛成する理由の最多である三十八・八一%の方は「税収の増加が期待できる」と答えているが、残念ながら実態とイメージが乖離している現状があると考える。
 これらに関連して、日本におけるIR誘致の影響について、以下質問する。

一 IPS Forum on the Casino Proposaによれば、カジノ施設から五十マイル(約八十km)圏内居住者のギャンブル依存症罹患率は、それ以外の地区居住者の二倍になると報告されている。
 例えば、横浜市の山下埠頭にカジノを誘致した際、半径八十kmの範囲は東京全域、神奈川全域、埼玉、千葉、静岡、茨城、山梨の範囲まで及ぶ。
 特定の自治体における税収増加を目的としたカジノ誘致のせいで、周辺自治体がギャンブル依存症対策における支出が拡大する状況が発生する可能性について政府はどのように考えているのか、所見を伺いたい。
二 カジノ管理委員会の委員に、渡路子氏が就任することとなった。
 渡氏の任命理由は「カジノ管理委員会においては、特定複合観光施設区域整備法に規定された依存防止対策の的確な実施を確保していく任務を負っており、IR・カジノの導入に際しては、ギャンブル依存症などの弊害防止が極めて重要な課題であることから、精神科医師としての専門的な知見を有している同氏をカジノ管理委員会の委員に任命しようとするものである」とされている。
 この文言からも分かるとおり、「ギャンブル依存症対策」は極めて重要な課題であり、カジノ管理委員会の委員としても、非常に重要な役割が求められていることは言うまでもない。
 渡氏は精神科医師として平成十一年より勤務をされており、現時点で二十年程のご経験があると思うが、ギャンブル依存症に関する著書・論文の執筆は見受けられず、ご経歴をみるとギャンブル依存症対策の専門家でないと考えるが、何故ギャンブル依存症の専門家ではない渡氏をカジノ管理委員会の委員として任命したのか、選任された過程並びに理由を、合理的かつ明確にお答えいただきたい。
三 韓国「射幸産業統合監視委員会」の研究によれば、二〇一四年の韓国全体でのギャンブル産業の売上高が十九・八兆ウォン(約一兆九千八百億円)であるのに対し、ギャンブル依存症による負債の利子費用、仕事の生産性低下・失業、医療、犯罪被害、警察関連、自殺関連などの社会的費用(ソーシャルコスト)は、七十八兆ウォン(約七兆八千億円)に上るとされており、差し引き約六十兆ウォン(約六兆円)の負の経済効果が発生しているとの結果が公表されている。
 日本においても、実際には多額のソーシャルコストがかかることが想定され、負の経済効果も計算に入れていない現状では、税収増加の妄想は絵に描いた餅に過ぎないと考える。
 こうした状況から、政府として、横浜市・大阪府・大阪市・和歌山県・長崎県などカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を表明している自治体が実際に誘致した場合には、どの程度の経済効果があり、どの程度のソーシャルコストがかかる見込みであるのか、早急に調査・試算を進めるべきであると考えるが如何か。政府の見解を伺いたい。
四 韓国のように経済効果や税収増加よりもソーシャルコストの方が上回ると試算された場合には、国益を損ねると考えるので、カジノ法(特定複合観光施設区域整備法)を見直し、カジノの建設を止めるべきであると考えるが如何か。政府の見解を伺いたい。

 右質問する。

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