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令和二年一月二十日提出
質問第一一号

通信と放送が融合する新時代におけるNHKの受信料のあり方に関する質問主意書

提出者  中谷一馬




通信と放送が融合する新時代におけるNHKの受信料のあり方に関する質問主意書


 通信と放送が融合する新時代におけるNHK(日本放送協会)の受信料のあり方について、以下、質問する。

一 公共放送のモデルと言われるイギリスの公共放送BBCに大きな変化が起ころうとしている。
 二〇一九年十二月十二日にイギリスで行われた総選挙にて保守党が圧勝したことを受け、党首のボリス・ジョンソン首相が掲げた欧州連合(EU)からの離脱に加え、BBCの受信料廃止発言の行方が注目されている。
 ジョンソン首相はBBCについて、「BBCの受信料制度は税金のようでおかしい。視聴した分だけ払う有料放送型に移行させるのが望ましく、選挙に勝利すれば受信料制度の廃止を検討する。」「多くの企業が運営資金を自ら調達する中で、テレビなど報道機関が国民からの受信料で資金をまかなう方式が長期的にみて理にかなうのか、皆さんにも是非考えてほしい。私に言えるのはそれだけだ。」「誰もがテレビをもっているのだから、受信料という仕組みはつまるところ、実質的には税金と同じではないのか。そういう観点からもよく考えてみる必要がある。」「テレビの所有者が皆、特定のテレビやラジオ番組にお金を払わなければならない制度をいつまでも正当化しておいていいのか。そこが問題だ。」などと発言したと報道されており、視聴する分だけお金を払う有料放送型の課金制への移行、いわゆるスクランブル放送のような任意加入制への移行化を進めたい考えであると想定される。
 BBCをモデルとしてきたNHKにおいてもこの動きを注視する必要があると考える。
 その一方でスイスでは、二〇一八年三月に受信料の廃止に関する国民投票があったが、反対が七十一・六%で受信料廃止案は否決された。公共放送に対する前向きな意思表示がなされ、サービスが国民に評価されていることを裏付ける結果となった。
 こうした世界の公共放送の受信料に関する情勢を政府としてどのように考察されているのか、所見を伺いたい。
二 総務省が令和元年、放送法施行規則の一部を改正する省令案等についての意見募集を行ったところ、「常時同時配信を実施することにより、スマートフォンやPCなどインターネットに接続することができる環境を有する全ての者に対してNHKが受信料を徴収することに反対する。」という趣旨の意見が寄せられた。
 これに対して、総務省は、「常時同時配信を受信できることをもって、スマートフォンやPCなどの所有者が新たに受信料を負担することになるものではありません。」と返答している。
 そうした中、NHKのHP(ホームページ)によれば、放送受信契約とは、「NHKの放送を受信できるテレビ(チューナー内蔵パソコン、ワンセグ対応端末などを含みます)を設置された方に、結んでいただくものです。この放送受信契約に基づき、放送受信料をお支払いいただきます。」と書かれている。
 そうした中、例えば二〇一九年十二月にドンキホーテが発売したチューナーレス液晶テレビは、簡単に言うとインターネットができるパソコンなどに接続ができるリモコンがついた大型PC(パソコン)モニターであるが、NHK放送をチューナーで受信しないチューナーレス液晶テレビには放送受信契約の義務はなく、常時同時配信しているNHKの番組をパソコンでインターネット接続し、チューナーレス液晶テレビで見ても受信料を負担することにはならないと考えるが如何か。政府の見解を伺いたい。
三 私が指摘しているように、チューナーレス液晶テレビでNHKの番組を見ても受信料を負担することがないとすれば、チューナー内蔵のテレビを持っていたら月千三百十円・年一万四千五百四十五円(地上放送・継続振込等の場合)〜月二千二百八十円・年二万五千三百二十円(地上契約含む衛星契約・継続振込等の場合)の固定費がかかるが、チューナーレステレビならばインターネットに接続すれば受信契約を求める表示が画面上に出てくるものの、通信料のみで受信することが可能となり、NHKのみならず見たい時に見たいものを見れるインターネットの利点を考えれば、そちらの方がリーズナブルだと判断する国民が増えると考えるが如何か。政府の見解を伺いたい。
四 通信と放送が融合する新時代において、現在の受信料のあり方を維持することは公平性の観点からもビジネスモデル的にも難しくなってきており、付焼き刃のような改築的な制度変更や解釈変更では成り立たなくなると考える。
 こうした観点から我が国の受信料負担のあり方については、政府が言うような中長期的に検討すべき課題ではなく、喫緊に時代のニーズに対応したあり方を示す必要があると考えるが如何か。政府の見解を伺いたい。
五 平成二十九年度NHK決算の数字を基に、仮にNHKが受信料徴収をドイツのようにテレビを持たない世帯を含む全ての世帯から公平に徴収するかたちにしたと仮定して計算すると、支払い率は約八十%から百%となり、約七千億円程度の受信料収入が二十%上がれば約千四百億円程度の財源が生まれる。
 また、受信料の約十・九%、約七百七十・九億円程度を占める徴収コストの営業経費が必要なくなることから、これらを単純に足し合わせて計算をしても二千億円以上の財源が生まれる。
 そしてこの二千億円を国民に対して公平に分配をすればこれだけでも受信料は約三十%値下げできると同時に総収入約七千億円程度のNHK事業規模を維持できると考える。
 またNHKの肥大化に対して規模の縮小を行う考えがあるとすれば、約七百億円の削減あたりで、十%程度の受信料の減額が可能であると考える。
 三十%値下げができれば、地上契約の月額受信料も現在の千三百十円(継続振込等の場合)から八百円台の数百円単位まで引き下げることが可能であり、年間払いも現在の一万三千三百九十円(継続振込等の場合)から九千円台の一万円を切る水準まで落とすことが現実的に可能である。
 こうした観点から、通信と放送が融合する新時代におけるNHKの新たな受信料のあり方に関する案として、今まで通り全ての番組、コンテンツをノンスクランブル放送で配信し、ドイツのようにテレビを持たない世帯を含む全ての世帯から公平な制度で受信料徴収を行い、その収入を契約者である国民に等しく分配することで受信料を三十%〜五十%は値下げできると考えるが如何か。この制度案に関する政府の見解を伺いたい。
六 通信と放送が融合する新時代におけるNHKの新たな受信料のあり方に関するもう一つの案として、災害時の緊急放送や報道、教育・教養番組、国会中継など公共性の高い番組、コンテンツの配信に対してのみ受信料を徴収してノンスクランブルでの放送を行い、それ以外のコンテンツに関しては広告収入やいわゆるスクランブル放送のような任意加入制を導入することにより、民間放送事業者と公正な競争環境で競争を行うこととすれば、公共放送として必要な番組を残しつつ、大幅に受信料を削減することが可能となり、「NHKの肥大化」「民業圧迫」「市場競争の阻害」といった懸念が払拭されると考えるが如何か。この制度案に関する政府の見解を伺いたい。
七 現在NHKにおいては、広告収入は認められておらず、仮に推進しようとしても民放との関係もあり、容易には進まない問題であると考えている。
 その一方で、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ブラジル、インド、中国、韓国、カタールのアルジャジーラなど挙げればキリがないほどの多くの国で公共放送で広告収入を認めながら運営が行われている現状がある。
 多くの国々が広告収入を認めながらも公共放送としての公平性・客観性を担保している現状がある中で、日本が広告収入を認めず、総収入の約九十六%を受信料で国民負担に依存しているビジネスモデルが、これからの時代に即しているのかやはり大きな疑問が残る。
 こうした観点から広告収入についても新たなNHKのビジネスモデルの中で検討すべき課題であると考えるが、広告収入について現在政府内ではどのような議論が行われているのか。また今後、広告収入を視野に入れた事業運営が行われる可能性があるのか政府の見解を伺いたい。

 右質問する。

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