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令和二年四月九日提出
質問第一七〇号

国立ハンセン病資料館の嘱託職員雇止めに関する質問主意書

提出者  阿部知子




国立ハンセン病資料館の嘱託職員雇止めに関する質問主意書


 国立ハンセン病資料館の運営は、厚労省から外部委託された受託者が雇用する嘱託職員により行われているが、この度、嘱託職員である八人の学芸員のうち二人だけ(以後、学芸員A、学芸員Bと称する)が、二〇二〇年三月三十一日をもって雇止めにあった。雇止めに至る経緯と決定に疑義が呈されているので、以下質問する。

一 二〇〇八年に成立したハンセン病問題の解決の促進に関する法律は、国によるハンセン病の患者に対する隔離政策に起因して生じたハンセン病問題の解決促進に必要な事項を定めた法律である。
 政府は、国立ハンセン病資料館をその第十八条で位置づけた意味および役割をどのようなものであると認識しているか。
二 国立ハンセン病資料館の運営主体は頻繁に変化してきた。一九九三年の開館時からは財団法人藤楓協会が十年間受託、同協会が解散し、二〇〇三年度からは社会福祉法人ふれあい福祉協会が六年間受託、二〇〇九年度から二〇一五年度までは財団法人日本科学技術振興財団が企画競争で受託、二〇一六年度から二〇一九年度までは公益財団法人日本財団が一般競争入札で受託した。
 この間、国立ハンセン病資料館の活動は、受託者が一年ごとに職員を再雇用する形で支えられてきた。
 二〇一三年七月一日付けの「全療協ニュース」によれば、全国十三の国立ハンセン病療養所の自治会組織「全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)」は、二〇一四年度予算に向けてハンセン病資料館学芸員の地位の安定化を求め、これに対して、厚労省疾病対策課が、「学芸員の継続雇用については」「運営する団体と契約の際に、専門性等の問題があり、継続して雇用することが望ましいとの条件を付けている」とされていたとされる。
 1 政府も同じ事実認識か。
 2 現在も、学芸員の専門性から雇用の継続性が望ましいとの認識に相違はないか。
 3 二〇二〇年度から受託した公益財団法人笹川保健財団にも忘れずに継続雇用が望ましいとの条件を付けたか。付けたとすれば、どの時点でどのように条件を付けたか、付けなかったとすれば、その理由について明らかにされたい。
三 厚労省は、二〇一三年までに施行された改正労働契約法で、有期労働契約の下で生じる雇止めに対する問題を解消するために、「有期労働契約が繰り返し更新されて通算五年を超えた時は、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる」旨をウェブサイトなどで説明を行っている。
 同第十八条では、「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす」とされている。
 1 厚労省は、毎年一般競争入札で業務を委託する者が雇用する、不安定な有期労働契約の嘱託職員については、同第十八条がどのように適用および運用されるべきだと考えているか。
 2 労働契約法の所管省庁であり、国立ハンセン病資料館の運営業務の委託者である厚労省は、一般競争入札で業務を委託する者に対して、同第十八条の趣旨について説明したことがあるか。
 3 国立ハンセン病資料館の運営業務の委託者である厚労省は、学芸員Aが十八年間勤めていたことを認識しているか。
 4 国立ハンセン病資料館の運営業務の委託者である厚労省は、雇止めの問題について、学芸員Aを含む労働組合から、今年三月九日および三月三十日に要請を受けたと聞くが、学芸員Aや学芸員Bが雇用継続を望んでいることを認識しているか。
 5 厚労省は、国立ハンセン病資料館の運営業務受託者が日本財団から笹川保健財団に変わるに際し、加藤勝信厚生労働大臣宛てで三月九日に、「前受託者が雇用していた職員をはじめ、業務委託をしていた個人や団体の職員、派遣職員について、解雇や雇い止め、契約解除などを起こさせず、これまで通り就業できる」よう国家公務員一般労働組合国立ハンセン病資料館分会などから要請(以下、雇止め回避の要請)を受けた際に、同法第十八条および次の質問項目で尋ねる第十九条を考慮したか。考慮したとすれば、その検討の経緯と結果を明らかにされたい。考慮しなかったとすれば、改めて考慮しなおし、運営業務委託者に対して雇用継続について再考することを求めるべきではないか。
四 厚労省はウェブサイトで「雇止め」とは、使用者が更新を拒否して、契約期間の満了により雇用が終了することであるとし、「雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により一定の場合にこれを無効とする判例上のルール(雇止め法理)が確立している」と説明している。
 また、雇止め法理をもとに、労働契約法第十九条では、有期労働契約に関し、「使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」と定めている。
 1 厚労省は、毎年の一般競争入札による業務受託者が、前年度まで雇用されていた嘱託職員にどのような配慮をすれば、同法第十九条が適切に運用されている状態であると考えているか。
 2 厚労省は、労働契約法の所管省庁であり、国立ハンセン病資料館の運営業務の委託者であるが、厚労省業務の委託先に同法第十九条の趣旨について説明したことがあるか。
 3 厚労省から国立ハンセン病資料館の管理業務を二〇一九年度に受託し、二〇二〇年度には応札しなかった日本財団が、二〇二〇年度の受託者である笹川保健財団に、学芸員Aや学芸員Bが雇用継続を望んでいたことを伝えたかどうかを承知しているか。
五 日本財団は、今年二月二十八日に国立ハンセン病資料館の職員各位にあてて「当財団として雇用契約の更新は行わないことといたします」と告げた。
 その数日後の三月六日金曜日夕刻に、笹川保健財団は、国立ハンセン病資料館の職員各位にあて、「二〇二〇年度より厚労省の国立ハンセン病資料館等の運営と啓発広報一式を受託することになりました。つきましては職員の採用にあたりまして、下記の通り、採用試験を行います」としたが、申し込みの締め切りは、わずか二日後の三月八日日曜日十七時だった。
 1 採用試験実施の知らせから申し込み締め切りまでに二日しかないことは、一般論として職業安定法上どのような問題があるか、厚労省は同法の所管官庁として明らかにされたい。
 2 二〇一八年に施行された改正職業安定法では、労働者の募集の際は労働条件を明示しなければならないが、明示がなかったとすれば職業安定法違反になるのではないか。違法である場合、所管省庁として厚労省は何を行うのか。
六 国家公務員一般労働組合国立ハンセン病資料館分会への聞き取りによれば、国立ハンセン病資料館において学芸員に対するセクシャルハラスメントやパワーハラスメントがあり、その解決を求めたことが、同分会設立の背景にあるという。厚労省は本件を認識しているか。
七 笹川保健財団のウェブサイトによれば、笹川保健財団を設立したのは、日本財団の創始者である笹川良一氏である。
 1 笹川保健財団が日本財団の次に運営業務受託者となる際、厚労省は、両財団が系列組織と称すべき、極めて密接な関係にあることを認識していたか。
 2 日本財団の次に、その系列組織というべき笹川保健財団が、昨年九月に設立されたばかりの国家公務員一般労働組合国立ハンセン病資料館分会の設立メンバー三人のうちの二人を不採用としたが、これは、労働組合法第七条の不当労働行為にあたるのではないか。不当労働行為にあたらないというのであればその根拠を、あたるという場合は、どのように是正するのか明らかにされたい。
 3 雇止め回避の要請があったにもかかわらず、その後、国家公務員一般労働組合国立ハンセン病資料館分会の構成員五人のうち二人が不採用になったのは、労働組合法第七条の不当労働行為にあたるとの疑いを呈されても不思議はない。厚労省が、この疑いについてどのような見解を持っているか。
八 「国立ハンセン病資料館等の運営と啓発広報一式実施要領」によれば、「館長又は事務局長の任免に当たり、あらかじめ厚労省健康局長に協議すること」とある。
 現館長は、一九五五年から多磨全生園に勤務、一九八五年から園長に就任、一九九三年に退官後に、旧・高松宮ハンセン病資料館(現、国立ハンセン病資料館)の運営委員長を経て、二〇〇七年より現職を務めている。
 短期不安定雇用の学芸員の状況とは真逆で、一九九五年から関係施設に長期雇用された者が、十三年間にわたり国立ハンセン病資料館館長を務める弊害として、どのようなものがあると政府は認識しているか。または指摘されてきたか、明らかにされたい。

 右質問する。

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