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令和三年五月十八日提出
質問第一三五号

被害者が障害を有する性犯罪事件に関する質問主意書

提出者  中谷一馬




被害者が障害を有する性犯罪事件に関する質問主意書


一 現在法務省には「性犯罪に関する刑事法検討会」が設置され、四月十二日に「取りまとめ報告書(案)」が公表された。そこで以下を質問する。
 1 検討会では、刑法第百七十八条第二項が定める「心神喪失」又は「抗拒不能」については「適用にばらつきがあるとの指摘があることを踏まえ、その要件解釈を明確化して適用を安定させるため、例えば、抗拒不能性を根拠付ける一類型として、被害者の重大な障害につけ込む行為等を例示列挙する方法があり得るといった意見が述べられ、これに対する異論はなかった」とのことである。
  現時点で想定される「被害者の重大な障害」の根拠や基準について、政府の考えは如何に。
 2 検討会では、「新たに障害者を被害者とする処罰規定を設けることの要否・当否」について、「介護が必要であるなど他人に生活を依存している場合や、障害の特性により相手に迎合的であったり流されやすかったりする場合があり、そのような状況や特性を利用する行為への対応が必要であるといった意見が述べられ、これに対する異論はなかった」とのことである。
  現時点で想定される「介護が必要であるなど他人に生活を依存している」根拠や基準について、政府の考えは如何に。
  加えて、「障害の特性により相手に迎合的であったり流されやすかったりする場合」の根拠や基準について、政府の考えは如何に。
二 令和三年四月一日から、性犯罪の被害者が精神に障害を有する場合、その供述の特性や心情等に配慮した事情聴取の取組として「代表者による聴取」の試行が実施されることになった。そこで以下を質問する。
 1 「代表者による聴取」の対象者は、性犯罪の被害者のうち、「知的障害、発達障害、精神障害等、広く精神に障害を有する被害者であって、言語によるコミュニケーション能力に問題があり、又は聴取者に対する迎合性や被誘導性が高いと認められるもの」とされている。
  そこで、どのような場合に「代表者による聴取」の対象となる「広く精神に障害を有する被害者」と判断するのか、その基準をお示しいただきたい。
 2 重度の身体障害又は知的障害があることに乗じて性交等を行う行為は、刑法第百七十八条第二項の「心神喪失」又は「抗拒不能」に乗じたとして処罰することができるとされている。「心神喪失」とは「精神的な障害によって正常な判断力を失った状態」、「抗拒不能」とは「心理的又は物理的に抵抗ができない状態」とされている。
  性犯罪の被害者が「代表者による聴取」の対象者となる場合は、当該被害者が「心神喪失」又は「抗拒不能」の状態にあるものとして、準強制性交等罪又は準強制わいせつ罪での捜査が行われるべきと考えるが、政府の考えは如何に。
 3 被害者側が「代表者による聴取」の実施を希望しても、警察や検察が「実施しない」と判断する事件もあることが想定される。試行段階であることから、聴取を実施しないこととした事案、判断した理由及び件数を把握し、公開すべきと考えるが、政府の考えは如何に。
 4 「代表者による聴取」は、どのような人材が担当することとしているのか。「児童への事実確認面接に関する研修を受講した者」「障害のある被疑者への事情聴取を担当してきた者」等、具体的にお示しいただきたい。
三 令和三年四月一日から令和八年三月三十一日を計画期間とする「第四次犯罪被害者等基本計画(令和三年三月三十日閣議決定)」では、障害のある犯罪被害者に対する施策も盛り込まれた。そこで以下を質問する。
 1 基本計画では、性暴力被害者ワンストップ支援センターにおける、障害者等様々な性犯罪・性暴力被害者への適切な対応や支援を行うことができるよう、性犯罪・性暴力被害者の支援体制の充実のための施策の検討が明記されている。
  令和二年十一月一日時点で、メールで相談できるセンターは十六か所にとどまっている。聴覚障害、音声言語そしゃく障害等をお持ちの方にとって、メールで相談できることは、極めて重要である。全センターにおいてメールで相談できる体制を早急に整備することについて、政府の考えは如何に。
 2 基本計画では、「法務省において、性犯罪被害者、障害者等の犯罪被害者の特性に応じた被害実態の調査・分析を実施する方向での検討も含め、犯罪被害の動向及び犯罪被害者等施策に関する調査を実施する」とされている。現在実施予定の調査・分析について、政府の説明を求める。

 右質問する。

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