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令和三年十二月十日提出
質問第一三号

改正食品衛生法上の営業許可対象に漬物製造業を追加することに関する質問主意書

提出者  緑川貴士




改正食品衛生法上の営業許可対象に漬物製造業を追加することに関する質問主意書


 浅漬けが原因の食中毒が全国で発生したことを契機とし、令和三年六月、改正食品衛生法が施行され、漬物製造業が営業許可の取得が必要な業種に追加された。当該食品等事業者は、国際的な標準に合わせた食品衛生管理が義務付けられ、食品加工専用の施設を設けることとされたが、漬物製造業が一律に規制されるにあたり、食品衛生法施行条例などで漬物の規定を設けていない府県もある中、当該府県で、例えば、自宅で漬物を作って販売してきた小規模事業者などの製造現場が大きな影響を受けている。以下、質問する。

一 漬物のうち、秋田県発祥のたくあん漬けの一種、「いぶりがっこ」がある。
 いぶりがっこは燻製であり、食材の水分を抜きながら強力な殺菌・抗菌効果のある成分でコーティングした後に漬けるという伝統的な工程を経て製造されるものであって、製造工程の違う浅漬けとは根本的に異なる食品である。
 「漬物」と一括りにするのでなく、浅漬けやそれに準ずるものを明確に区別するために、衛生基準や製造方法などを細かく分類するべきと考えるが、政府の見解を伺う。
二 いぶりがっこは、豪雪地帯の保存食として歴史的に重宝され、食文化として深く根付き、受け継がれているものでもある。いぶりがっこ製造工程に起因した食中毒や衛生上の問題は確認されてこなかったことから、秋田県は食品衛生法施行条例などで漬物の規定を設けていない事情がある。同法による一律規制は地域の実情をふまえないものであり、紡がれてきた伝統や食文化の衰退を招きかねない。政府見解を問う。
三 いぶりがっこ製造は、農村地域の家族経営体が担っている側面がある。各々の生産規模は比較的小さいこともあり、同法に基づく営業許可取得のための設備投資費を工面できないおそれがある。生産者の高齢化が進む中で、許可を取得せずに製造を諦め、廃業してしまう事業者が増えることが懸念される。政府の見解、今後の真摯ある対応について確認したい。
四 上述のように農業従事者が担っているいぶりがっこ製造において、許可取得前に製造を諦める経営体が生じた場合、製造と密接に結びついた農業生産自体を断念することも懸念される。例えば、いぶりがっこの販売先の一つである道の駅は、製造者、農産物生産者の顔が見える産直品を並べ、地域の交流の場にもなっているが、製造の断念によって、道の駅を拠点とした地域経済、地域交流としての機能が薄れるばかりでなく、高齢者が生きがいをもって暮らし続けられる農村地域としての活力を損なうおそれがある。
 同法の施行による漬物製造業の一律規制は、高齢者雇用の促進など政府が掲げる「人生百年時代構想」にも逆行する措置と言わざるをえない。政府の見解を求める。

 右質問する。

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