衆議院

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令和四年十二月六日提出
質問第五六号

政府の統一協会への対応に関する質問主意書

提出者  宮本 徹




政府の統一協会への対応に関する質問主意書


 世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会、以下、統一協会と呼ぶ)に関わる国会質疑を踏まえ、以下、質問する。

一 二〇二二年十月二十六日の衆議院文部科学委員会において、永岡桂子文部科学大臣は、「平成二十七年の旧統一教会の名称変更の認証に際しましては、申請を受理することと認証を決定することについて、それぞれ事前に当時の文部科学大臣に報告をいたしました。このうち、申請を受理することの報告を行った際の資料は確認できました。また、認証を決定することの報告を行った際の資料については、それ自体は確認できなかったものの、担当者がメモ書きを追加したと思われる、極めて近い資料が確認できております。これらの報告資料は、法人の非公知の事実に関する情報を含みまして、かつ、行政の内部の意思形成過程に関する文書であることから、この資料自体を開示することは控えさせていただきます」と答弁している。
 1 申請を受理することと認証を決定することについて、それぞれ事前に当時の文部科学大臣に報告した年月日、及び同席者の官職と氏名を明らかにされたい。
 2 「申請を受理することの報告を行った際の資料」には、当時の大臣の意見が記されていたのか、どのような趣旨の意見が記されていたのか明らかにされたい。また、この資料はどこに保存されていたのか、文書のタイトル名を併せて明らかにされたい。さらに、行政文書ファイル管理簿において、この資料が保存されていた行政文書ファイル名、文書分類、保存期間を明らかにされたい。
 3 認証を決定することの報告を行った際の「担当者がメモ書きを追加したと思われる、極めて近い資料」には、当時の大臣のいかなる意見が記されていたのか明らかにされたい。また、この資料はどこに保存されていたのか、文書のタイトル名を併せて明らかにされたい。さらに、行政文書ファイル管理簿において、この資料が保存されていた行政文書ファイル名、文書分類、保存期間を明らかにされたい。 
 4 いわゆる情報公開法は、開示を求められた行政文書は原則開示である。仮に宗教「法人の非公知の事実に関する情報を含」んでいたとしても、情報公開法第七条では、「行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に不開示情報(第五条第一号の二に掲げる情報を除く。)が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができる」としている。公益よりも優先して、不開示とする根拠はあるのか。また、宗教「法人の非公知の事実に関する情報を含」んでいたとしても、その部分のみを非開示(いわゆる「黒塗り」)にすれば、開示できるはずではないか。さらに、「行政の内部の意思形成過程に関する文書であることから」という理由だけでは、不開示にできないはずである。「行政の内部の意思形成過程に関する文書であることから、この資料自体を開示することは控えさせていただきます」とする答弁は、情報公開法のどの条文のどの文言を根拠にしているか、明らかにされたい。
二 政府はこの間、統一協会の名称変更に関わって、「旧統一教会の名称変更につきましては、このような宗教法人法上の規定に従って手続を行いまして、その審査の過程において法的な検討を重ねた結果として、本件は認証すべき案件であると事務的に判断したものでございまして、政治家の政治的な関与や圧力はなかったと認識をしている」との答弁を繰り返している。
 他方、政府は、「二〇一五年以前にも、旧統一教会からは名称変更に関する相談が複数回ございました。当時の文化庁におきまして、旧統一教会をめぐります報道等を踏まえまして、名称の変更が社会に与える影響を検討いたしまして、慎重な対応が必要であるとの認識から、申請の取下げを慫慂していたところでございます。その結果といたしまして、旧統一教会から名称変更の申請はされず、認証はしておりませんでした」と答弁している。
 これらの点に関わり訊く。
 1 二〇二二年十月二十六日、衆議院文部科学委員会において、永岡桂子文部科学大臣は、「平成九年から十年にかけて五回、また、平成十五年から十六年にかけまして三回、合わせて八回、旧統一教会から名称変更に関する相談があったと承知しておりますが、いずれの回におきましても、相談の結果として、申請はございませんでした。また、平成二十七年に行われました実際の名称変更の申請の際も旧統一教会と面会をしていると承知をしております」と答弁している。これらの面会の中で、文化庁の側から、認証できない旨を述べた記録はあるか。
  また、これらの面会でのやり取りを記した文書は、それぞれ、どこに保存されていたのか、併せてこれらの面会でのやり取りを記した文書のタイトルを明らかにされたい。さらに、行政文書ファイル管理簿において、これらの面会でのやり取りを記した文書が保存されていた行政文書ファイル名、文書分類、保存期間を明らかにされたい。
 2 二〇二二年十月二十六日の衆議院文部科学委員会において、合田哲雄政府参考人は、「平成二十七年の受理以前における旧統一教会とのやり取りに関する資料というのは、なお継続的に探索中でございます。ただ、これまで確認できたところ、先ほど、末松大臣から御説明申し上げましたように、当時、統一教会の方から名称変更に関する弁護士の意見書というのをいただいたということは確認できた」と答弁している。この意見書を受け取った際、政府は弁護士にどのような趣旨を述べたのか。また「統一教会の方から名称変更に関する弁護士の意見書」はどこに保存されていたのか。さらに、行政文書ファイル管理簿において、この「統一教会の方から名称変更に関する弁護士の意見書」が保存されていた行政文書ファイル名、文書分類、保存期間を明らかにされたい。
 3 二〇一五年以前の対応に関わって、前川喜平元文部科学事務次官は、宗務課長当時、「認証できないので申請しないでほしい」という姿勢をとった旨を証言している。前川喜平元文部科学事務次官が宗務課長だった当時の、統一協会の名称変更の申請に関わる文書は、統一協会との面会の記録以外に存在するか、明らかにされたい。仮に存在した場合、その記録には、統一協会の名称変更の認証について、どのような方針が記載されているか、明らかにされたい。
 4 統一協会の名称変更は認証できないという一九九七年以降の一貫した考え方がどういう検討経緯で二〇一五年に変わったのか、説明できる資料は存在するか。
 5 統一協会の名称変更の認証について、「政治家の政治的な関与や圧力はなかったと認識をしている」とあるが、その認識の根拠となる当時の文書はあるか。仮にあるならば、文書のタイトルを明らかにされたい。さらに、行政文書ファイル管理簿において、その文書が保存されていた行政文書ファイル名、文書分類、保存期間を明らかにされたい。
 6 統一協会の名称変更の申請書の受理の決裁前と、認証の決裁前に、当時の下村文部科学大臣に説明している以上、「政治家の政治的な関与や圧力はなかった」との説明は成り立たないのではないか。
三 政府は、国家賠償訴訟(以下、国賠訴訟と呼ぶ)における鳥取地方裁判所への報告書の中で、統一協会に対して、一九九六年から二〇〇九年にかけて、「少なくとも九回、面接により活動状況を聴取するとともに、一連の民事事件の確定判決で認定された使用者責任を踏まえた宗教法人としての適正な管理運営や個別事案への誠実な対応をするよう、口頭でではありましたが、明示的に、強く求めてまいりました」とした上で、「この事実上の対応は、統一協会及び国双方を被告として本件訴訟が提起されて以降は、無用の誤解を避けるため行っておりません」(鳥取地方裁判所米子支部合議係宛、文化庁文化部宗務課長名の報告書、平成二十四年十月十八日)と述べている。
 その後、統一協会の聞き取りは再開していないのかと、野党国対ヒアリング等で繰り返し訊いたが、「確認できない」との説明を繰り返していた。その後、永岡桂子文部科学大臣は、二〇二二年十月二十日の参議院予算委員会で、国賠訴訟後、統一協会との面会を「三回行っている」、「その時々の旧統一教会の運営状況、そういうことを話し合っております」、「訴えられました民事裁判のことは伺っている」ことを明らかにした。三回の日にちは、二〇一八年二月九日、二〇二〇年八月四日、二〇二〇年十二月十八日と聞いている。
 1 国賠訴訟後、統一協会との三回の面会が記録されている文書について、どこに保存されていたのか、また、文書のタイトルを明らかにされたい。さらに、行政文書ファイル管理簿において、その文書が保存されていた行政文書ファイル名、文書分類、保存期間を明らかにされたい。
 2 統一協会への事情聴取の中断が約九年続いた間に、宗務課の職員が入れ替わったと思われるが、にもかかわらず、統一協会への事情聴取が再開することができたのはなぜか。統一協会への対応に関する引き継ぎ文書が存在するということか。仮にそういう文書があるならば、文書のタイトルを明らかにされたい。さらに、行政文書ファイル管理簿において、その文書が保存されていた行政文書ファイル名、文書分類、保存期間を明らかにされたい。
 3 鳥取地方裁判所米子支部合議係宛、文化庁文化部宗務課長名の報告書では、「本報告書では、世界基督教統一神霊協会(以下「統一協会」といいます。)」と記載されている。ところが、現在、政府は、世界平和統一家庭連合について、「旧統一教会」との表現を使用している。
  かつて、政府が略称として「統一協会」を使っていた理由は何か。いったい、いつから、政府は、世界基督教統一神霊協会の略称について、「統一協会」ではなく、「統一教会」を使用するようになったのか。当初はメディアでも、略称として「統一協会」が広く使われていたが、統一協会が「統一教会」の使用を求める中、略称として「統一教会」の使用が広がった。現在でも、日本基督教団や「全国統一協会被害者家族の会」が統一協会の用語を使っているが、政府が統一協会の略称として、「統一教会」を使用する理由を示されたい。
四 二〇二二年十月十八日、衆議院予算委員会において、永岡桂子文部科学大臣は、「御指摘の和解調書には裁判長が発言をしていない内容が記載されていたことから、その旨を裁判所に申し入れまして、裁判所の判断により更正されたもの」と答弁している。
 この点に関して最高裁判所に対し、「一般的に、和解調書に、裁判長が読み上げていない言葉であっても、裁判長の言葉として盛り込むようなやり方を裁判所は行っているのか」と文書で問い合わせをしたところ、最高裁判所事務総局からは、「裁判の手続について作成される調書は、期日に行われた訴訟行為等について記載するものであり、お尋ねのようなやり方は一般に行われていないものと承知しています」と、文書での回答があった。また、和解の当事者である弁護士からも、この和解調書は、裁判長が文書を読み上げ、その言葉が記載されていたとの証言を得ている。
 そこで、以下、政府の見解を伺う。
 1 二〇〇九年、統一協会の元信者が国を提訴した鳥取地裁の訴訟の和解の場において、国は、裁判長の言葉の記録を、いかなる媒体・手法で行ったのか、具体的に明らかにされたい。また、その場で国が行った記録は、どのような形で現在、保存されているのか、明らかにされたい。裁判長の発言のうち、具体的にどの台詞が「裁判長が発言していない内容」であると認識しているか、明らかにされたい。
 2 この和解協議の場で、裁判長から、「被告国においても、従前の宗務行政の適法性、妥当性に対する疑問の余地がないわけではない」との趣旨の発言があったとの認識を政府は持っているか。
 3 この和解協議の場で、裁判長から、「今後適切な宗務行政がなされることを期待する意味から、本和解への参加を求めることが適当であると考えた」との趣旨の発言があったとの認識を政府は持っているか。

 右質問する。

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