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令和五年二月二十八日提出
質問第九号

「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の対策について報告書」及び日本原燃六ヶ所再処理工場の耐震安全審査に関する質問主意書

提出者  山崎 誠




「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の対策について報告書」及び日本原燃六ヶ所再処理工場の耐震安全審査に関する質問主意書


 内閣府中央防災会議防災対策実行会議日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループが、令和四年三月二十二日にまとめた「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の対策について報告書」(以下、報告書という。)と日本原燃六ヶ所再処理工場(以下、工場という。)の耐震安全審査に関しては、第二百九回質問第一九号「内閣府『日本海溝・千島海溝沿い巨大地震検討会報告』と日本原燃六ヶ所再処理工場の耐震安全審査に関する質問主意書」(以下、前質問主意書という。)を提出した。その質問への回答を踏まえて、さらに確認すべき点があるため、以下質問する。

一 報告書の内容と前質問主意書に関して質問する。
 1 報告書三十頁において、公共施設等の耐震化にあたっては、「これらの重要施設や津波避難ビル、不特定かつ多数の者が利用する一定規模以上の特定建築物等においては、例えば震度六強以上の揺れに対しても十分な安全性を確保できるよう、耐震性に余裕を持たせることも検討する必要がある。」と震度六強を指定して要求している。放射性物質を大量に保管している原子力施設においても当然この要求を満たすべきではないか。見解を示されたい。
 2 工場の高レベル廃液約二百m3、使用済燃料約三千トンには、福島第一原発事故で大気中に放出したセシウム一三七の各々約三十倍、約六百倍含まれている。このような施設では、冷却機能の喪失等による重大事故が懸念されるため、最も厳しい耐震が要求されると考えられる。
  報告書において、六ヶ所村は震度六強と想定されている。国土交通省国土技術政策総合研究所が公開した震度と加速度の対応表では、震度六強は最大加速度範囲が八百三十〜千五百ガル程度とされている。工場は、当初設計基準地震動三百七十五ガルで建設された。その後二〇〇七年に四百五十ガル、二〇一四年に六百ガル、二〇一八年に七百ガルと訂正され、現在に至っている。
  工場の設計基準地震動七百ガルは、内閣府が推計する六ヶ所村の想定震度六強の加速度を大きく下回っているが、これで工場の施設設備は震度六強の地震に本当に耐えられるのか、疑問がぬぐえない。
  昨年八月、私が提出した前質問主意書で、この点につき質問したが、明確な回答を得られなかった。工場が、震度六強に耐えられるのか、どのような審査を経て判断されているのか明確に示されたい。
二 令和四年十一月二日第二百十回国会経済産業委員会における私の質問において、山中伸介原子力規制委員会委員長は、「日本原子燃料株式会社再処理事業所につきましては、令和二年四月に公表されました内閣府日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会の概要報告について、同年五月の技術情報検討会において、日本原子燃料株式会社再処理事業所に対する審査内容に影響がないことを確認しております。」と答弁し、令和四「年二月の審査会合において、内閣府の検討会の概要報告の内容が既許可の地震動評価結果に影響がないことを改めて確認しております。」と答弁した。この答弁にある「令和四年二月の審査会合」は、二月四日に行われた第四百三十回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合と推量される。その会合資料一−二の三十八頁では、内閣府日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会の想定と日本原燃が想定する検討用地震とを比較し「当社の地震動評価への影響はないと評価した」との記載がある。そこで以下質問する。
 1 日本原燃が想定したモーメントマグニチュードMw九・〇のときの地震モーメントMoは三・九八E+二十二Nmであり、三十八頁の表の日本原燃の検討用地震強震動生成域SMGA1のMoは二・〇E+二十一Nmと示されており、全体の五・〇%に過ぎない。SMGAが複数連動して動いたのが二〇一一年東北地方太平洋沖地震(以下「二〇一一年地震」とする)ではなかったのか。このような巨大地震の一部域のSMGAを比較し、全体の耐震安全を判断することは可能なのか。その根拠について政府の見解を示されたい。
  なお、内閣府の想定地震Mw九・一のときの地震モーメントMoは五・六二E+二十二Nmである。比較された内閣府のSMGA@のMoは一・八E+二十一Nmであり、こちらも全体の三・二%とわずかである。
 2 日本原燃が三十八頁の表のパラメータを推定した方式は、地震調査委員会の強震動予測レシピ(二〇〇九年)等の方式(第三百三十九回審査会資料一−四−一 八十七頁)と記載されている。一方、内閣府は二〇一一年地震を踏まえた独自の方式でパラメータを推定したものである。内閣府の方式により求めた震度分布は二〇一一年地震の震度分布を概ね再現できている。
  このように、異なる方式で推定されたパラメータを比較し、耐震安全が科学的に判断できるのか。見解を示されたい。
 3 三十八頁の図にかかわり、内閣府は日本原燃のSMGA四と五の二つは、二〇一一年地震でエネルギーを放出したので今後最大クラスの地震は当面生じないとし省略している(報告書図表集共通編四十頁)。日本原燃はこのような地域になぜSMGAを二つも設定したのか、政府として理解していることを示されたい。加えて、審査会ではこの点は問題とならなかったのはなぜか、明確に示されたい。
 4 三十八頁の表において、二〇一一年地震における各SMGAとその応力降下量は、概ね十五〜三十MPaの範囲にあるので、内閣府はその最大値をとりSMGA@の応力降下量を三十MPaとした。しかし、日本原燃のSMGA1では範囲外の値である三十四・五MPaを採用している(三十八頁の表)が、この値を想定した根拠について、政府の理解しているところを示されたい。
三 原子力規制委員会は、報告書において、六ヶ所村が防災の立場で震度六強と想定されたことを新知見として真摯に受け止め、工場の施設設備がこの震度に耐えるかどうか厳重に審査し、工場の耐震安全について、最大限の安全を担保する立場から、国民へ説明責任を果たすことが求められているのではないか。
 福島第一原発事故の教訓を受け、国民が信頼できる厳正な耐震安全審査対応を行い、原子力事故防止に最善かつ最大の努力をして、国民の生命、健康、財産、環境を守ることが、原子力規制委員会の使命のはずである。この間の耐震安全審査の過程を振り返ると、原子力規制委員会が、本当にその使命を果たそうと努めているのか、疑問を抱かざるを得ない。改めて見解を示されたい。

 右質問する。

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