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令和五年四月二十六日提出
質問第五七号

国民の利便性の向上のための行政サービスのDXに関する再質問主意書

提出者  早稲田ゆき




国民の利便性の向上のための行政サービスのDXに関する再質問主意書


一 令和五年四月七日付けの答弁書(以下「前回答弁書」という。)の一において、「政府情報システムに関する予算については、デジタル庁が、各府省の要求を取りまとめて、財務省に対し、一括して要求しているところ、eMAFF及びeMLITに関する予算については、農林水産省及び国土交通省から、財務省に対しても、情報提供を行っており、それらを踏まえて、必要に応じ、同省においては、精査を行っている。」とある。
 1 しかしデジタル庁は、令和四年十月十四日付けで、eMLITの予算の執行を停止したり、地方公共団体のLGWAN等の連携を禁止するなどのレビュー結果(以下「デジタル庁レビュー結果」という。)を決定したと聞いている。つまり、デジタル庁も財務省もeMAFF及びeMLITがe−Govと同じシステムであると認識しながら、それにもかかわらずデジタル庁が財務省に対して一括要求をして、かつ、財務省が精査しているというのは事実と異なるのではないか。
  前回答弁書の五において、「eMLITについては、システムの方向性や対象となる手続等について現在検討しているところであり、現時点においてその詳細をお示しすることは困難」とあるが、このような不明瞭な状況で「予算決定概要」のとおり百八十九億円の予算を要求して決定している。答弁内容だけでも、デジタル庁が財務省に対して一括要求をして、かつ、財務省が精査しているということは事実と異なるのではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
 2 デジタル庁設置法第八条第四項から第六項のとおり、デジタル庁は、関係行政機関に対して資料提出要求等、勧告及び報告要求をする権限が明記されている。一般的に、システムの整備は億単位の税金がかかることから、デジタル庁でシステムを整備して、かつ一元化すべきと、後述するデジタル・ガバメント実行計画(令和二年十二月二十五日閣議決定)があるにもかかわらずこれが無視され、また、デジタル庁レビュー結果という形で決定しているにもかかわらずこれが無視され、eMAFF及びeMLITが惰性的に整備されているならば、デジタル庁の更なる権限強化を図るべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
二 前回答弁書の二に関して、「規制改革実施計画」(令和四年六月七日閣議決定)によると、「E総務省は、行政文書の開示請求について、内閣府及びデジタル庁における行政文書の電子的管理の検討状況を踏まえ、情報公開業務のプロセス全体が効率化されるよう留意しつつ、オンライン化及びオンライン利用率の引上げに向け、可能なものから順次必要な措置を講ずる。あわせて、各府省と連携して、手数料のキャッシュレス化を推進する。」とある。
 1 この「可能なものから順次必要な措置」ということについては、令和五年三月二十九日付け質問主意書(以下「前回質問主意書」という。)のとおり、従来システムがなかったためにオンライン化ができなかったのであるから、e−Gov審査支援サービス等を利用すれば全国一斉のオンライン化は既に可能といえる。そもそも開示請求の手続は、情報公開法のとおり、開示請求、補正、審査及び開示不開示の決定等といった単純な手続であり、かつ全国共通である。全国の職員にウェブ会議によりe−Gov審査支援サービス等を説明して、職員研修を実施すれば、全国一斉にオンライン化が可能ではないか。
  また、デジタル・ガバメント実行計画によると、遅くとも令和七年度までには開示請求はオンライン化することになるが、現在開示請求はほぼ全国の職員が手作業や郵便のやり取り等で対応しているのだから、全国の職員がオンライン化により業務が合理化されその恩恵を受けることにもなり、全国の職員がe−Govを理解する上でも開示請求は先行的に実施すべきであり、令和七年度を待たず、令和六年度または令和五年度と前倒しすべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
 2 デジタル・ガバメント実行計画によると、後述のとおり「一連の業務プロセスを一貫して電子的に行うための仕組みを令和四年度までに整備」するとしてe−Gov審査支援サービスを計画どおり令和四年度末に整備したのであるから、開示請求、補正、審査及び開示不開示の決定等といった手作業や郵便のやり取りがオンライン化されるだけでも全国の職員の作業負担は大幅に軽減できるのであって、前回答弁書は、デジタル・ガバメント実行計画やe−Govの進捗状況を理解せずに答弁書を書いたのではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
三 前回答弁書の三について、令和四年九月二十日の日経クロステックの記事によると、民間出身である浅沼尚デジタル監が改革の指揮を執り、特に、長く併存していた二つの行政手続サイト「e−Govポータル」と「マイナポータル」を中長期で統合する方向性を打ち出したとある。
 改革が完遂するように、前回質問主意書において示したとおり、早期に統合すべき目標年度を明示すべきではないか。
 また、デジタル庁レビュー結果のとおり、eMAFF及びeMLITはe−Govと同じシステムであることをデジタル庁は認識しているのだから、同様の改革としてeMAFF及びeMLITはe−Govに統合すべきであり、早期に統合すべき目標年度を明示すべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
四 前回答弁書の四において、eMAFFは「申請時及び審査時に農地の地図等を参照できるよう設計する等により、農林水産行政に対応」、また、前回答弁書の六において、eMLITは「申請時及び審査時における地図情報の活用の必要性等の国土交通省が所管する行政手続の特性」とあるが、eMAFF及びeMLITは地図の機能のみe−Govに勝っていると読める。
 地図機能は、市役所のシステムで導入されたり、個人のスマホにも標準装備されている程度のものであり、それならばe−Govに実装すれば、eMAFF及びeMLITは不要のはずである。
 前述のとおり、eMAFFは地図の機能程度がe−Govに勝っているだけで、また、開示請求といった単純な手続にも対応していない。令和四年度の行政事業レビューシートによると、e−Govの整備運用は年間二十億円程度である。前回答弁書のとおりe−Govはマイナポータルとの統合に前向きであり、また、マイナンバーカードの申請は一億人に迫っている。仮に、e−Govの予算が百億円でも一億人が利用すれば一人当たり百円となる。
 1 一方で、前回質問主意書のとおり、行政事業レビューシートによるとeMAFFの予算は五十億円であるが、登録は二万人に留まり、一人当たり二十五万円となって、e−Govの千倍以上と効率が悪すぎ、税金の無駄と言えるのではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
 2 日本の第一次産業の人口は、全人口の数%であるから、現在の登録二万人が大幅に増えることはない。ところで、全人口の数%だから第一次産業や農林水産省を軽視しているわけではない。年間五十億円は十年で五百億円となるように累積で考えると巨額である。この年間五十億円は、例えば同じ農林水産省の政策として牛乳生産の酪農家の支援や、あるいは、同じ農林水産省のDX政策に回すにしても、例えば、ドラマ「下町ロケット」に登場するようなロボットを活用した省力化など第一次産業の高齢化に対応したものなどに予算を回した方が合理的ではないか。
  農林水産省がeMAFFのマニュアル改訂において全省庁で初めてChatGPTを活用することがマスコミ報道されるなどDXに積極的で、デジタル庁やe−Govより先行して機能が優れていることは、前回質問主意書でも触れているところであるが、より予算を有効活用した方が、国民に対しても、第一次産業の就業者に対しても理解が得られるはずである。
  農林水産省は、第一次産業の発展のために第六次産業化を進めていると思われるが、それならば経済産業省や厚生労働省等の他省庁とも協力や共管、バックヤード連携等が考えられ、農林水産省の一省庁しか利用できないシステムより、全省庁が利用するe−Govを利用した方が合理的である。
  また、例えば、農林水産省地理情報共通管理システム(eMAFF地図)により農林水産省が保有する農地の地図、国土交通省が保有するハザードマップ及び環境省が保有する影響評価地図といった複数の地図をe−Govによって重ね合わせを行えば、農林水産省、国土交通省及び環境省の行政が互いに効率化されることも考えられる。
  eMAFFはバックヤード連携だけで五十億円中の数十億円もかかっているとも聞いているが、それが事実ならば税金の無駄であり、他省庁や地方自治体との協力やバックヤード連携を考えると、ガバメントクラウドも進めている全省庁や地方自治体が利用するe−Govに一元化すべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
 3 前回答弁書において、「政府としては、政府情報システムの整備に当たっては、機能の重複等を避けるため、各システムの特性を踏まえ、共通機能の活用の徹底を図ることとしており、eMAFFの整備に当たっても、デジタル庁による統括・監理の下、システムの特性を踏まえて必要な機能の整理等を行っている」及び「eMLITの整備に当たっては、デジタル庁による統括・監理の下、e−Govとの関係も含め、システムの特性を踏まえて必要な機能の整理等を行っている」と曖昧な答弁をしているが、そもそもシステムの特性ではなく、手続の特性を踏まえ、システムを一般競争により発注して構築しているはずであり、手続は法令に基づくものであるから、法制度や保護法益に必要な機能の整理等を行うべきではないか。「システムの特性」ならば、例えば書面、押印及び対面は、システムの特性上困難であるが、法令改正により対応済みであり、それ以外のシステムの特性はほとんど存在しないのではないか。前回答弁書にあるeMAFFおよびeMLITのシステムの特性とは具体的に何か、政府の見解をあきらかにされたい。
 4 前回質問主意書で挙げた令和四年一月十四日の「建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会」においては、この委員の外部有識者の方々は元検事等であるものの、システムの専門家は見当たらない。また、国土交通省の統計不正発端の部署と同じ情報政策課がeMLITを整備しており、改竄の指示を行った経緯がある。このようなシステムの特性として、例えば特定の企業のシステムに固執する発注を行っているならば、eMAFF及びeMLITは一般競争というより官製談合を行っている疑いもあり、公正取引委員会において調査すべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
五 前回答弁書の五及び六に関して、国土交通省の令和五年度予算決定概要(令和四年十二月二十三日)によると、eMLITは「@行政手続のオンライン化 申請受付から審査、通知等の申請業務に係るプロセスを一貫して処理できるシステムを段階的に拡充し、行政手続のオンライン化を加速することで、国民・事業者がいつ・どこからでも申請可能な環境の構築を目指します。」とある。
 一方で、デジタル・ガバメント実行計画によると、「2.e−Govを活用した行政手続オンライン化への対応(◎総務省) e−Govは、行政機関がオンラインで申請・届出等を受け付ける機能を有しているが、各省におけるe−Govを活用した行政手続のオンライン化及び電子決裁への移行を促進し、申請者の利便性向上及び行政事務の効率化を図るため、申請受付から審査・決裁・文書保存に至る一連の業務プロセスを一貫して電子的に行うための仕組みを令和四年度までに整備する。(略)なお、整備に当たっては、申請受付システムの一元化などの取組の方向性を踏まえつつ、様々な申請・届出等で共用可能となるよう留意する。」としている。
 eMLITは「業務一貫処理システム」と答弁しているが、デジタル・ガバメント実行計画と文言が重複するほど、システムも重複していること、また、前回答弁書を基に調べてもeMLITは稼働すらしていないこと、デジタル・ガバメント実行計画のとおり、申請受付システムの一元化を考えるとeMLITは即刻廃止すべきではないか。
 そもそも国土交通省は二百近くの手続を既にe−Govで実施しており、デジタル・ガバメント実行計画において「様々な申請・届出等で共用可能となるよう」e−Govは整備する予定なのだから、e−Govの利用を拡大していけば十分なのではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
六 前回答弁書の七において、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」において検討中とあるが、インターネットで公表資料を見る限り検討していない。また、「保険者等の意見も聴取しながら、引き続き、患者の利便の確保が図られ、保険医療機関等への負担を考慮」とあるが、紙の健康保険証と紙の限度額適用認定証が、マイナンバーカードに一元化されると考えると単純明快であるが、紙の資格確認書という同検討会において十分に検討すらされていないものが、保険者等、患者及び保険医療機関等の三者に対して混乱と負担を与えていると考えられる。
 そこで紙の資格確認書は中止し、紙の健康保険証と紙の限度額適用認定証を暫定的に存続させ、後述の高額療養費等のメリットを広く国民に理解していただき、マイナンバーカードに一元化していくことが単純明快で、三者に対する混乱も負担も少なくなるのではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
七 前回答弁書の八によると「限度額適用認定証がなくても高額療養費制度における限度額を超える支払が免除される」旨を周知・広報しているとしているが、このように利用者(患者)の視点ではなく、役所と制度の視点から専門用語を羅列した難解な文章こそが問題なのではないか。デジタル・ガバメント実行計画によると「社会全体にデジタル化によるメリットを、誰一人取り残さない形で広くいきわたらせていくこと」と謳っている。
 1 そうであるならば、前回質問主意書のように「例えば、入院手術で三百万円かかったとして、健康保険の三割自己負担原則により、九十万円の自己負担となるが、高額療養費制度によって、所得によって異なるものの一般所得者ならば六万円程度の自己負担で済む」と、金銭負担をする利用者(患者)の視点から「入院手術に三百万円かかろうが六万円程度で済む」と誰一人取り残さない形で具体的に金額を挙げて簡単平易な文章で、かつ、グラフ等により図説すべきではないか。
  このようにデジタル・ガバメント実行計画を無視するかのように、金銭負担をする利用者の視点に立たない周知・広報を行うから、マスコミがこの点を報道できないのであり、厚生労働省及びデジタル庁が高額療養費の支払いを減らし、国民の負担を増やそうと意図的に広報を控えているといわざるをえない。このことについて政府の見解をあきらかにされたい。
 2 マスコミの報道を見ていると、ChatGPTは周知・広報に適しているとも言われている。金銭負担をする利用者がわかりやすいような文章の作成に苦慮しているならば、ChatGPTを試験的に活用してみてはどうか。
  農林水産省がeMAFFのマニュアル改訂において全省庁で初めてChatGPTを活用することがマスコミ報道されていることは先述のとおりであるが、マニュアル改訂よりこのようなことに活用する方が国民にとって利益が大きいのではないか。政府の見解をあきらかにされたい。
八 防衛費の増強や少子高齢化対策の財源として、政府は歳出削減を謳っており、また、歳出削減の具体的な手法としてDXを安易に挙げることが多々あるが、電子申請のような国民から見てもわかりやすいシステムについて、デジタル・ガバメント実行計画という閣議決定をしておきながら、同じシステムを乱立することは、歳出削減にもならずDXにもならず、ただの税金の垂れ流しである。
 実務的には、地図の機能を実装したe−Govに、農林水産省や国土交通省の全ての手続を移行することを原則として、例外として、デジタル庁が将来e−Govに実装する見込みすらない機能を必要とする手続については、デジタル庁がその見込みを確認をした上で、デジタル庁と協力してe−Govとバックヤード連携した補完システムを農林水産省及び国土交通省で個別に整備した方が単純明快ではないか。eMAFFもeMLITも、デジタル庁が将来e−Govに実装する機能以外の機能が貧弱ならば、即刻廃止すべきであるので、政府の見解をあきらかにされたい。

 右質問する。

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