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令和五年六月一日提出
質問第七一号

医薬品の安定供給にかかる政府の施策に関する質問主意書

提出者  早稲田ゆき




医薬品の安定供給にかかる政府の施策に関する質問主意書


 厚生労働省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(以下、「検討会」という。)においては、医薬品の供給についての課題が幅広く議論されているものの、なんら具体的解決策が示されるに至っていず、国民や医薬品製造業で働く労働者の不安解消にはほど遠い。そこで以下質問する。

一 我が国の公的医療制度で用いられた薬剤の総薬剤費の推移はここ数年総額九兆円前後でほぼ変わっておらず、医療費全体の中での薬剤費の割合も二十二%前後で変わっていない。科学技術の進展が著しく世界がしのぎを削る医薬品開発分野にあって、イノベーションを促進し国内の創薬能力を高めていくために、上記の総額や割合を今後増やす必要があると考えているか。政府の見解をあきらかにされたい。
二 新規性を高く評価できる医薬品については応分の経済的利益を確保できるような薬価制度のあり方について、政府としてどのような案を検討しているのかあきらかにされたい。
三 検討会においては、後発医薬品企業の産業構造やビジネスモデルに問題があるとし、それらの解消のため企業の再編、統廃合が提言されている。具体的には「少量多品種の製造」と「供給品目数が少ない企業」をやり玉に挙げているが、供給不安の原因が「少量多品種の製造」と「供給品目数が少ない企業」にあると考える根拠は何か。また「少量多品種の製造」は見直されるべきで、「供給品目数が少ない企業」は淘汰されるべきだと考えているのか、政府としての見解をあきらかにされたい。
四 医薬品製造販売業の許可を受けた事業者には、厳しい基準で選任された総括製造販売責任者(以下、「総責」という。)が品質管理と安全管理を統括することが求められ、医薬品製造販売事業者は、この総責の意見を聴くことが求められている。少量多品種という条件下でも、総責はその条件で最適な製造計画を立案できるはずであって、企業規模の大小の問題ではなく、単純に統廃合すればよいという検討会の問題意識は見当外れではないか。政府としての見解をあきらかにされたい。
五 今般の供給不安のきっかけとなった製造ラインにおけるコンタミネーションや製造不良などの事例(以下、「一連の不祥事」という。)において、総責など現場の声が経営判断に影響を与えた形跡はみあたらない。この事実について政府はどのように考えているのか。総責の能力に問題があったと考えているのか、それとも経営者が総責の意見を取り入れず利益追求を優先したことに問題があったと考えているのか。そもそもそのような観点から原因分析をしていないとすればなぜか。政府としての見解をあきらかにされたい。
六 能力もないのに利益追求のために過剰に生産するといった「売上至上主義」に走らないよう、「総責」の責任を重くした「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」という。)の改正の審議において、立憲民主党は、今般の一連の不祥事のような事態を未然に防ぐためにも、経営責任を追及する必要があるとし、役員変更命令等の具体的な罰則規定の創設を主張したが、政府は経済自由の原則を盾にこれを拒んだ。しかし今般の一連の不祥事を踏まえると、医薬品が国民の生命にかかわるものであるという観点からも、こうした品質問題を引き起こした医薬品製造販売事業者の経営者には、将来にわたり医薬品製造販売にかかわることを不可とするなど、相当な罰則を検討するべきではないか。あらためてこのことについて、次回の薬機法改正において議論するべきと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。
七 昨今の原材料費の高騰や原油高による輸送コストの増大、あるいは円安などの問題を抱えながらも、医薬品製造販売事業者は安定供給義務を果たすための努力をしているが、その努力を現行の薬価制度では十分に評価されていないのではないか。医薬品製造のサプライチェーンのグローバル化により、外資系内資系に関係なく、いったん上市してしまうと薬価が上がることはない現行制度では、経営の安定を図るためにコスト削減に舵を切らざるをえず、医薬品製造販売業においては賃上げの実現はおろか、雇用の安定すらも難しいものとなる。岸田政権が「構造的な賃上げの実現」を掲げるのであれば、物価高・原油高・円安など外部的な経済状況を踏まえて時限的な薬価引上げ措置など、医薬品製造販売にかかわる被用者の賃上げにつながる政策を検討するべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。

 右質問する。

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