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答弁本文情報

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令和五年六月十三日受領
答弁第七一号

  内閣衆質二一一第七一号
  令和五年六月十三日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員早稲田ゆき君提出医薬品の安定供給にかかる政府の施策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員早稲田ゆき君提出医薬品の安定供給にかかる政府の施策に関する質問に対する答弁書


一について

 お尋ねの「イノベーションを促進し国内の創薬能力を高めていくために、上記の総額や割合を今後増やす必要がある」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、国民皆保険の持続性とイノベーションの推進を両立する観点から、薬価制度等において必要な取組を実施してきたところ、薬剤費の総額や医療費全体における薬剤費の割合については、こうした薬価制度等のほか、医療の高度化、高齢化等の人口構造の変化等の様々な要因に左右されるものと認識している。

二について

 御指摘の「新規性を高く評価できる医薬品については応分の経済的利益を確保できるような薬価制度のあり方」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現行の薬価制度においては、イノベーションの推進の観点から、特許期間中の新薬のうち革新的なものについて、新薬創出・適応外薬解消等促進加算により、薬価の引下げを緩和する仕組みを設けているところ、「令和五年度薬価改定の骨子」(令和四年十二月二十一日中央社会保険医療協議会了解)において、「イノベーションに配慮する観点から、新薬創出・適応外薬解消等促進加算(新薬創出等加算)の加算額を臨時・特例的に増額し、従前の薬価と遜色ない水準とする対応を行う」とされたことを踏まえ、令和五年度薬価改定において、所要の措置を講じたところである。
 今後の薬価制度の見直しについては、こうした取組の影響や、令和五年六月九日に取りまとめられた「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の報告書(以下「報告書」という。)における「創薬力の強化、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消」の観点からの指摘も踏まえつつ、中央社会保険医療協議会における議論を踏まえて適切に対応してまいりたい。

三及び四について

 報告書においては、御指摘の「供給不安の原因が」「「供給品目数が少ない企業」にある」及び「単純に統廃合すればよい」との指摘はなされておらず、また、政府として、「「供給品目数が少ない企業」は淘汰されるべきだと考えている」ものではない。
 その上で、政府としては、御指摘の「少量多品種の製造」については、共用の製造ラインを使用することにより、洗浄等の工程が増加し製造が非効率になること、製造工程の管理上の不備や汚染等による品質不良のリスクが増大すること等の課題があると認識しており、こうした課題への対策が十分でない後発医薬品の製造販売業者における法令違反等をきっかけとした医薬品の供給停止が、現在の後発医薬品を中心とした医薬品の安定供給が滞っている問題の原因の一つであると考えているところ、このように、必ずしも十分な製造能力や体制を確保できておらず、十分な製造管理も行われない中で「少量多品種の製造」等が行われることは、後発医薬品産業特有の構造的な課題であると認識しており、こうした産業構造上の課題は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第十七条第一項の規定により置かれる医薬品等総括製造販売責任者(以下「総括製造販売責任者」という。)が、各製造販売業者において、御指摘のような「最適な製造計画を立案」したからといって解決できるものではなく、後発医薬品の安定供給を確保していくためには、業界の再編も視野に入れつつ、製造販売する後発医薬品の品目数の適正化の推進等、産業構造の在り方そのものの見直しに向けた検討を進めていくことが必要であると考えている。

五について

 御指摘の「今般の供給不安のきっかけとなった製造ラインにおけるコンタミネーションや製造不良などの事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、近年の製造販売業者等における製造管理及び品質管理上の不正事案の背景については、事案に応じて状況が様々であることから、一概にお答えすることは困難であるが、三及び四についてで述べた課題のほか、例えば、医薬品医療機器等法第十四条第一項の規定に基づき承認された医薬品について、当該承認に係る申請書に記載された製造方法と異なる方法によって医薬品の製造が行われていることを経営陣が認識していたにもかかわらず、これを放置していた事案や、総括製造販売責任者又は医薬品医療機器等法第十七条第五項の規定により置かれる医薬品製造管理者(以下「責任者」と総称する。)が、同条第三項又は第七項の規定に基づき述べた意見を経営陣が尊重しなかった事案、責任者による品質管理又は製造の管理が不十分であった事案等があったことを踏まえれば、医薬品医療機器等法第十八条の二に規定する法令遵守体制が適切に整備されていない又は機能していないといった実態等も背景の一つとなっているものと認識している。

六について

 お尋ねについては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(令和元年十一月十三日衆議院厚生労働委員会)の十四において「「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」で提言された法違反時の役員変更命令の法定化について、本法の施行状況を踏まえ検討を行うこと」とされていること及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(令和元年十一月二十六日参議院厚生労働委員会)の十において「「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」で提言された、責任役員による許可等業者の法令遵守を担保するため、必要な場合に、当該責任役員の変更を命じることができるものとする措置について、本法の施行状況を踏まえ引き続き検討すること」とされていることを踏まえ、適切に対応してまいりたい。

七について

 製造販売業者による医薬品の安定供給を確保するため、現行の薬価制度において、保険医療上の必要性が高く供給の継続が必要であるものの、薬価が著しく低額であるために製造販売業者が製造販売を継続することが困難である医薬品については、不採算品再算定の対象として、改めて薬価を原価計算方式により算定しているところであり、「令和五年度薬価改定の骨子」において、「急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、不採算品再算定について臨時・特例的に・・・適用する」とされたことを踏まえ、千百品目について、薬価の引上げを行ったところである。
 製造販売業者に関し、賃上げや経営の安定を図るためには、こうした薬価制度上の措置のほか、製造販売業者による生産性の向上や海外市場の開拓等を通じた収益性の向上が重要であると考えている。

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