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令和五年六月十五日提出
質問第一一六号

岸田政権の「こども未来戦略方針」に関する質問主意書

提出者  宮本 徹




岸田政権の「こども未来戦略方針」に関する質問主意書


 六月十三日、岸田政権は「こども未来戦略方針」を決定した。結婚する・しない、こどもを持つ・持たない、あるいはこどもを何人持つかは、個人の自己決定権に属することであり、政治が口を挟むようなことがあってはならない。その上で、岸田政権の「こども未来戦略方針」は、少子化対策としての肝心かなめの政策が欠落し、これでは少子化傾向の打開はできないとの指摘が広がっている。また、子育て支援策として当事者から切実な要望が寄せられたものの多くが入っておらず、落胆の声が上がっている。
 以下、「こども未来戦略方針」に関わって質問する。

一 「こども未来戦略方針」では、少子化の背景の第一に、「経済的な不安定さ」を挙げ、雇用形態の違いによる有配偶率の差が大きいと指摘している。にもかかわらず、この間の、非正規雇用を広げてきた自民党政権の雇用政策への反省もなければ、非正規雇用を正規化する方策も示していない。有期雇用については、臨時的・一時的業務、合理的な理由がある場合に限定するとともに、同一価値労働同一賃金・均等待遇の原則を法律に明記し、賃金その他の労働条件について、非正規労働者であることを理由とする差別を禁止することを法制化するなどして、民間、公務問わず、雇用の正規化を強力に進めるべきではないか。
二 岸田首相が「ラストチャンスであることを踏まえたスピード感の重視」と言いながら、拡充する児童手当の給付が届くのが二〇二五年二月からというのは、スピード感に欠けるのではないか。また、岸田首相が「三人のお子さんがいる御家庭では、お子さんたちが高校を卒業するまでの児童手当の総額は、最大で約四百万円増の千百万円となります。」と述べているが、「第三子」の定義はどうなるのか。
三 児童手当の支給期間について高校生年代まで延長する際に、「中学生までの取り扱いとのバランス等を踏まえ、高校生の扶養控除との関係をどう考えるか整理する。」とあるが、中学生までの扶養控除を廃止すれば、児童手当のかなりが増税で相殺され、負担増になる世帯も出るという認識はあるか。なぜ、「中学生までの取り扱いとのバランス等を踏まえ」と明記したのか。
四 「医療費等の負担軽減」の中で、適正な抗菌薬使用を特出しで明記している理由は何か。
五 高等教育(大学・専門学校等)の授業料等減免及び給付型奨学金の対象が「多子世帯や理工農系等の学生等の中間層(世帯年収約六百万円)」とあるが、年収約六百万円までという数字はどこから来たのか。カップルが理想の数のこどもを持つ上で最も大きな経済的負担となっているのが、高等教育費である。「こども未来戦略方針」で示された程度の負担軽減では、少子化傾向は打開できないのではないか。学ぶことは権利であり、高等教育の無償化は国際公約である。全学生を対象に無償化をすすめるべきではないか。高校無償化(高等学校等就学支援金制度)についても所得制限を撤廃すべきではないか。
六 授業料後払い制度の導入は、所得連動変換型奨学金を利用して、授業料を支払うことと本質的にどこが異なるのか。授業料後払い制度が、学部学生に本格導入された場合、現在ある修学支援新制度による授業料減免とどう整合性がつくのか。授業料後払い制度の導入により、その後、授業料減免制度が絶対に後退しないと確約できるか。
七 保育所の職員配置基準について、「一歳児は六対一から五対一へ、四・五歳児は三十対一から二十五対一へと改善する」とある。しかし、配置基準の改善に関するこの間の国会の政府答弁は、「現場に混乱が生じる可能性がある」として、保育士を手厚く配置した施設に運営費を加算して支給する方式で対応すると説明されている。配置基準そのものを改善するのか、運営費の加算で対応するのか。仮に、加算で対応するのであれば、表現がミスリードではないか。また、現場から、この程度の配置基準の改善では不十分との声が上がっているが、どう受け止めるか。
八 ひとり親でも安心して子育てできるように児童扶養手当の対象を拡大し、引き上げること、また、障害児福祉における様々な「所得制限」の撤廃、サービスの抜本的拡充など、繰り返し当事者から寄せられた切実な要望に応えるべきではないか。
九 男性の育児休業取得率の目標について「一週間以上の取得率」、「二週間以上の取得率」と記されているが、なぜ、このように短い期間を目標として掲げるのか。もっと長く掲げるべきではないか。
十 育児休業給付について、手取りで十割相当に引き上げる期間の限度がなぜ二十八日間と短いのか。せめて男女双方三ケ月にすべきではないか。フリーランスや自営業者の育児期間中の支援について、国民年金の保険料免除措置の創設だけでなく、経済的な給付制度を設けるべきではないのか。
十一 「ワンオペ育児」という状況の改善には、短時間勤務を広げると同時に、蔓延する長時間労働を規制するため、残業時間について「週十五時間、月四十五時間、年三百六十時間」との上限規制を設けること、また、単身赴任を規制することが必要ではないか。
十二 つなぎとしての「こども特例公債(こども金庫が発行する特別会計公債)」の発行は、子ども予算の先食いとなるではないのか。また、償還財源は、何を充てるのか。

 右質問する。

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