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答弁本文情報

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令和五年六月二十七日受領
答弁第一一六号

  内閣衆質二一一第一一六号
  令和五年六月二十七日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員宮本徹君提出岸田政権の「こども未来戦略方針」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員宮本徹君提出岸田政権の「こども未来戦略方針」に関する質問に対する答弁書


一について

 御指摘の有期労働契約の締結を「臨時的・一時的業務、合理的な理由がある場合に限定する」ことについては、平成二十三年十二月二十六日に労働政策審議会において取りまとめられた「有期労働契約の在り方について(報告)」において「有期労働契約は、合理的な理由がない場合(例外事由に該当しない場合)には締結できないような仕組みとすることについては、例外業務の範囲をめぐる紛争多発への懸念や、雇用機会の減少の懸念等を踏まえ、措置を講ずべきとの結論には至らなかった」とされたところであり、引き続き、政府としては、慎重な検討が必要であると認識している。また、御指摘の「同一価値労働同一賃金」の意味するところが必ずしも明らかではないが、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第八条及び第九条において、短時間労働者及び有期雇用労働者と通常の労働者との間における不合理な待遇の相違の禁止及び差別的取扱いの禁止に関する規定を設けており、これらの規定等により同一労働同一賃金の実現を図っているところである。
 その上で、お尋ねの「雇用の正規化」については、政府としては、様々な施策を通じて、正社員化を希望する非正規雇用労働者を支援しているところであり、同法第十三条に規定する通常の労働者への転換を推進するための措置の履行の確保、キャリアアップ助成金の活用の促進、ハローワークにおける支援等の施策を講じている。なお、国家公務員及び地方公務員については、同法は適用されないが、現在、非常勤職員として勤務している者を含め、競争試験又は選考により常勤職員として任用されることも可能であり、また、国家公務員の非常勤職員の給与については、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第二十二条第二項において、各庁の長は、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で、給与を支給すると規定されているところである。加えて、地方公務員の非常勤職員の給与については、常勤職員の給与と同様、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十四条第一項において、職務給の原則によることとされているところであり、各地方公共団体において適切に定められるべきものと考えている。

二について

 前段のお尋ねについては、「こども未来戦略方針」(令和五年六月十三日閣議決定。以下「戦略方針」という。)において、児童手当の拡充について、「実施主体である地方自治体の事務負担も踏まえつつ、二千二十四年度中に実施できるよう検討する」としているとおりである。
 後段のお尋ねについては、御指摘の「第三子」の意味するところが必ずしも明らかではないが、戦略方針の「(一)児童手当の拡充〜全てのこどもの育ちを支える制度へ〜」における「第三子」とは、児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第七条第一項に規定する一般受給資格者が監護等をする支給要件児童(同法第四条第一項第一号に規定する支給要件児童をいう。)のうち、三番目の年長者である者をいう。

三について

 前段のお尋ねについては、「中学生までの扶養控除を廃止すれば」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、十六歳未満の扶養親族を控除対象とする、所得税のいわゆる年少扶養控除については、平成二十二年度税制改正において、子ども手当の創設とあいまって、廃止されている。
 後段のお尋ねについては、政府としては、児童手当を拡充する際には、これまでの児童手当をめぐる制度改正の経緯も踏まえ、歳出と税制の在り方を総合的に考える中で、高校生の扶養控除との関係をどう考えるか整理する必要があると考えていることから、戦略方針において、「中学生までの取扱いとのバランス等を踏まえ」としているところである。

四について

 お尋ねの「特出しで明記している」の意味するところが必ずしも明らかではないが、子どもの医療費の一部負担金を無料化することにより、抗生物質の不適切な利用が大幅に増加することを示唆する研究結果が報告されていること等を踏まえ、子どもにとってより良い医療を実現するため、戦略方針において、「おおむね全ての地方自治体において実施されているこども医療費助成について、国民健康保険の国庫負担の減額調整措置を廃止する。あわせて、適正な抗菌薬使用などを含め、こどもにとってより良い医療の在り方について、今後、医学界など専門家の意見も踏まえつつ、国と地方の協議の場などにおいて検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる」としているところである。

五について

 お尋ねの「世帯年収約六百万円」については、高等学校等就学支援金制度の収入に関する要件を参考に定めたものである。
 また、「「こども未来戦略方針」で示された程度の負担軽減では、少子化傾向は打開できないのではないか」とのお尋ねについては、「打開」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、戦略方針においては、「減額返還制度を利用可能な年収上限について、三百二十五万円から四百万円に引き上げるとともに、子育て時期の経済的負担に配慮する観点から、こども二人世帯については五百万円以下まで、こども三人以上世帯について六百万円以下まで更に引き上げる」、「授業料等減免及び給付型奨学金について、低所得世帯の高校生の大学進学率の向上を図るとともに、二千二十四年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層(世帯年収約六百万円)に拡大する」及び「授業料後払い制度について、まずは、二千二十四年度から修士段階の学生を対象として導入」するとし、これらに加え、「多子世帯の学生等に対する授業料等減免について更なる支援拡充(対象年収の拡大、年収区分ごとの支援割合の引上げ等)を検討し、必要な措置を講ずる」としており、これらを着実に実施していくことにより、少子化対策を進めていく考えである。
 さらに、お尋ねの「全学生を対象に無償化をすすめる」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、限られた財源の中で、保護者等の経済的負担を軽減する必要があると認められる者や経済的理由により極めて修学に困難がある学生等を支援する観点から、対象に所得等の一定の制限を設けることが適切であると考えているところ、引き続き、意欲と能力のある者が経済的理由により進学等を断念することがないよう、高等学校段階及び高等教育段階における教育費の負担軽減に取り組んでまいりたい。

六について

 「本質的にどこが異なるのか」とのお尋ねについては、「本質的」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「所得連動変換型奨学金を利用して、授業料を支払うこと」は、授業料に相当する額について所得連動返還型の奨学金制度を利用することを指すと考えられるところ、御指摘の「授業料後払い制度」についても、そのような制度とすることを予定しているが、具体的な相違点については、今後の検討の結果に基づく具体的な制度の在り方によることから、現時点でお答えすることは困難である。また、「授業料後払い制度が、・・・どう整合性がつくのか」及び「授業料後払い制度の導入により・・・確約できるか」とのお尋ねについては、御指摘の「本格導入」の在り方について、大学院の学生を対象とした制度の導入後に検討を進めることとしていることから、現時点においてお答えすることは困難である。

七について

 お尋ねについては、その意味するところが必ずしも明らかではないが、小倉内閣府特命担当大臣(こども政策)が令和五年四月十一日の記者会見において、保育所等の職員配置基準の改善について「平成二十七年度から実施している三歳児に対する職員配置の改善につきましては、公定価格の加算措置により対応してきているところであり、今回の試案を踏まえた対応についても、基本的には公定価格の加算措置により実施することになると考えております」と述べているところである。また、戦略方針において、「一歳児及び四・五歳児の職員配置基準について一歳児は六対一から五対一へ、四・五歳児は三十対一から二十五対一へと改善する」としており、その実現に向けて取り組んでまいりたい。

八について

 お尋ねの「児童扶養手当の対象を拡大し、引き上げること、また、障害児福祉における様々な「所得制限」の撤廃、サービスの抜本的拡充など、繰り返し当事者から寄せられた切実な要望」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、個々の制度における所得制限の在り方や対象者の範囲等については、制度の趣旨や目的等を勘案して、それぞれ判断されるものであり、他の制度との関係も含め、制度ごとに、慎重に検討していく必要があるものと考えている。また、ひとり親家庭や障害児への支援については、戦略方針において、支援体制の強化や自立支援の拡充に重点を置いて取組を進めることとしている。

九について

 男性の育児休業取得率の目標については、戦略方針に記載しているとおり、「男性育休は当たり前」になる社会の実現に向けて、現行の政府目標を大幅に引き上げて設定したところであり、その際、公務員について、先行的に目標の前倒しを進めるとともに、これまで定めていなかった目標の前提となる取得期間を、二千二十五年は少なくとも一週間以上とした上で、二千三十年は二週間以上と定めたものであり、「短い期間」との御指摘は当たらないと考えている。

十について

 前段のお尋ねについては、戦略方針において、「いわゆる「産後パパ育休」(最大二十八日間)を念頭に、出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、給付率を現行の六十七パーセント(手取りで八割相当)から、八割程度(手取りで十割相当)へと引き上げる」としているが、これは、男性の育児休業取得促進策等について(建議)(令和三年一月十八日労働政策審議会建議)において、「柔軟で利用しやすい制度として、実際に男性の取得ニーズの高い子の出生直後の時期について、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい新たな仕組み」とされている「いわゆる「産後パパ育休」(最大二十八日間)」を念頭に、更に男性の育児休業の取得を促進し、共働き・共育てを定着させていくことを目的としたものであり、「短い」との御指摘は当たらないと考えており、「せめて男女双方三ケ月にすべき」とは考えていない。
 後段のお尋ねについては、「経済的な給付制度」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、自営業者やフリーランス等を対象とする産前産後の保険料免除の仕組みが、既に国民年金にあることなどを踏まえつつ、新たな給付を創設する場合の事務負担も考慮し、国民年金第一号被保険者の育児期間に係る保険料免除措置の創設に向けた検討を進めることとしており、これにより、自営業者やフリーランス等への経済的支援を行ってまいりたい。

十一について

 御指摘の「短時間勤務を広げる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号。以下「育児・介護休業法」という。)第二十三条第一項の規定により、事業主は、原則として、三歳未満の子を養育する労働者に関して、当該労働者の申出に基づく所定労働時間の短縮措置を講ずることが義務付けられており、育児・介護休業法については、戦略方針において、「こどもが三歳以降小学校就学前までの場合においては、育児・介護休業法で、短時間勤務、テレワーク、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整、休暇など柔軟な働き方について、事業主が職場の労働者のニーズを把握しつつ複数の制度を選択して措置し、その中から労働者が選択できる制度・・・の創設を検討する」としていることを踏まえ、必要な措置を検討してまいりたい。御指摘の「長時間労働」の「規制」については、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十六条において、時間外労働の上限規制が設けられており、この規制が適切に実施されるよう、履行確保に努めているところである。また、御指摘の「単身赴任を規制する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、単身赴任を含む配置転換については、最高裁判所の判例において、労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等には権利の濫用となるとされており、また、育児・介護休業法第二十六条において、「その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」と規定されているところであり、これらについてパンフレット等を通じて周知している。

十二について

 御指摘の「こども特例公債」については、戦略方針において、こども・子育て支援に関して、「「加速化プラン」の大宗を三年間(二千二十六年度まで)で実施し、「加速化プラン」の実施が完了する二千二十八年度までに安定財源を確保する」、「その間に財源不足が生じないよう、必要に応じ、つなぎとして、こども特例公債(こども金庫が発行する特会債)を発行する」、「予算編成過程における歳出改革等を進めるとともに、新たな特別会計の創設など、必要な制度改正のための所要の法案を二千二十四年通常国会に提出する」及び「今後、本戦略方針の具体化を進め、年末までに「戦略」を策定する」としていること等から、現時点で、「子ども予算の先食いとなるではないのか。また、償還財源は、何を充てるのか」とのお尋ねについてお答えすることは困難である。

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