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令和五年十月二十三日提出
質問第八号

所謂「二〇二四年問題」に関する質問主意書

提出者  馬場雄基




所謂「二〇二四年問題」に関する質問主意書


 平成三十一年四月施行の労働基準法改正(以下「働き方改革関連法」という。)で導入された時間外労働時間の上限規制が、令和六年四月より、これまで猶予されてきた建設業、物流・運送業にも適用されるが、それによって、従業者の収入減少と、それに伴う離職者の増加や、事業者の利益の減少などが発生する可能性が指摘され、「二〇二四年問題」と呼ばれているところである。そこで、この「二〇二四年問題」に関して、以下質問する。

一 政府において、「建設業の二〇二四年問題」は国土交通省不動産・建設経済局建設業課で、「物流・運送業の二〇二四年問題」は国土交通省総合政策局物流政策課で、それぞれ対策が講じられているところである。いうまでもなく、建設業と物流・運送業とは、建築資材の運搬などで切っても切れない関係性があるわけだが、二〇二四年問題では利益相反関係にあるとも考えられる。具体的には、資材運搬を担うトラック運転手の労働環境の改善と建設作業員の労働環境の改善とが相俟って、建築資材の搬入に手間取り、工期が延びたりするおそれがある。このような事態を避けるためには、関係する業界相互間の調整が必要になると思われる。
 1 国土交通省内においては、局を超えて建設、物流・運送両業界の二〇二四年問題を調整する組織を有しているか。
 2 1の組織を有していない場合、どのようにして両業界の二〇二四年問題を調整するか。
二 「物流・運送業の二〇二四年問題」では、トラック運転手の労働時間が制限されることにより、一人当たりの走行距離が短くなるため、必要な人員を確保できなくなり、物流・運送に支障が出るおそれがあると言われている。国土交通省が公表している資料「物流の二〇二四年問題について」によれば、例えば「東京−大阪間が一日、一人のドライバーで着かなくなり長距離輸送の人員確保がさらに困難に コスト増やサービス低下などへの影響も」とされ、働き方改革関連法施行後は、実質拘束時間上限が一日十二時間となるため、「時間通りに届かせるには二人稼働が必要」で「一人稼働の場合延着の可能性」があるとされている。
 建設業界に対しては、既に締結されている契約どおりに建設工事が終わらなくなるなどの影響が出る可能性があると考えられていて、国土交通省は、そのような場合は柔軟に契約変更を行うことが望ましいとしている。しかしながら、実際に契約変更が行えるかどうかは、施工主側の意向に左右されるため、理解が得られなければ、最悪の場合、工期遅れが建設業者側の契約不履行とみなされ、違約金や損害賠償金の支払い義務が生じるおそれがある。
 1 政府は、このような「働き方改革関連法」による制度変更に起因する経済的な損害を補う具体的な方策を考えているか。
 2 このような損害を補うためには、損害保険の活用も考えられるが、日本損害保険協会によると、損保大手四社の中ではそのような損害を補償する保険商品を販売している事業者は、現時点では存在しない。また、保険商品の開発については、個々の事業者の判断に委ねられているとのことであるが、政府として、「二〇二四年問題」に対応するための保険商品の開発等を損害保険業界に働き掛ける考えはあるか。

 右質問する。

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