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令和五年十一月九日提出
質問第二一号

食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問主意書

提出者  原口一博




食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問主意書


 我が国の食料・農業・農村の現状は、農業者の減少・高齢化等、国内の農業・流通構造の変化に加え、世界的な食料情勢の変化や気候変動に伴い、食料安全保障上のリスクが食料・農業・農村基本法(以下「基本法」という。)制定時には想定されなかったレベルに達している。食料・農業・農村政策審議会が本年九月にまとめた答申(以下「審議会答申」という。)では、基本法における基本理念等の見直しの方向性が示されたが、審議会は、食料自給率について目標が達成されていない状況に対する十分な検証や減少し続ける農地及び農業者の確保に係る課題に真正面から取り組んでおらず、議論が十分に尽くされたとは言えない。政府は、審議会答申を受けて、基本法及び関連法令等の見直しに向けて検討を進めているが、食料安全保障上のリスクに対する政府の危機意識は極めて希薄である。
 以上を踏まえ、基本法の見直しに係る政府の基本的認識について、以下、質問する。

一 農地及び農業者関係
 1 我が国の農地面積は、令和四年七月時点で四百三十三万ヘクタールであり、ピーク時(昭和三十六年)の六百九万ヘクタールから三割減少している。農林水産省は、農地面積の減少は、荒廃農地と非農業用途等への転用が原因であると説明しているが、荒廃農地や非農業用途等への転用が発生する原因をどのように分析しているのか明らかにされたい。
 2 現行の食料・農業・農村基本計画(以下「基本計画」という。)の参考資料「農地の見通しと確保」において、令和十二年時点で確保される農地を四百十四万ヘクタールとして、令和四年七月時点の農地面積より低い数値が掲げられているが、食料の安定的な輸入に懸念が生じている中、国内生産の増大を図る必要性が一層高まっていることを踏まえ、妥当な農地面積といえるのか、政府の認識を明らかにされたい。
 3 令和三年度に実施された相続未登記農地等実態調査の結果によれば、所有者不明農地等(相続未登記農地及び相続未登記のおそれのある農地)は百二万九千百一ヘクタールで、農地面積の約二割である。政府は、平成三十年の農業経営基盤強化促進法等の一部改正等により、所有者不明農地対策を強化しているが、これらの対策についての効果及び評価を明らかにされたい。
 4 審議会答申において、「引き続き、専ら農業を営む者や経営意欲のある者の経営発展を支援する観点から、離農する経営の農地の受け皿となる経営体や、規模の大小に関わらず付加価値向上を目指す経営体を育成・確保していくことが必要である。」とした上で、多様な農業人材の位置付けと農地の集積・集約化の推進等の観点から、基本法に規定されている農業に関する施策の見直しを行うべきである、としている。中小規模の経営体や農業を副業的に営む経営体を農地の受け皿とするならば、農地の集積・集約化に係るこれまでの路線を変更するものである。規模拡大推進一辺倒の農政は改められるべきであり、これまでの農地及び農業者に係る施策をどのように分析しているのか明らかにされたい。また、家族経営、中小規模の経営体、農業を副業的に営む経営体の位置付けと農地の集積・集約化の関係をどのように整理した上で、基本法第二十一条(望ましい農業構造の確立)、同法第二十二条(専ら農業を営む者等による農業経営の展開)及び同法第二十三条(農地の確保及び有効利用)をどのように規定することを検討しているのか明らかにされたい。
二 基本計画及び食料自給率目標関係
 1 我が国のカロリーベースの食料自給率の低迷の理由について、農林水産省は、令和四年度食料・農業・農村白書において「食生活の多様化が進み、国産で需要量を満たすことのできる米の消費が減少した一方、飼料や原料の多くを海外に依存している畜産物や油脂類等の消費が増加したことによる」と説明しているが、食生活の多様化の要因をどのように分析し、また、食生活の多様化についてどのように評価しているのか明らかにされたい。
 2 基本計画において定められる食料自給率目標が達成されたことはこれまで一度もないが、その要因をどのように分析しているのか明らかにされたい。
 3 審議会答申において、食料自給率に関し、「食料自給率が現行基本法の基本理念の実現をトータルとして体現する目標として、関係者の努力喚起及び政策の指針として適切であると考えられていた」としつつ、「基本理念や基本的施策について見直し、検討が必要なものが生じており、これらを踏まえると、必ずしも食料自給率だけでは直接に捉えきれないものがある」とした上で、「自給率目標は、国内生産と望ましい消費の姿に関する目標の一つ」にするとしており、基本計画における食料自給率目標を複数ある指標の一つに格下げしようとしている。基本法第十五条において、基本計画で示す指標としてどのようなものを規定することを検討しているのか明らかにされたい。

 右質問する。

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