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答弁本文情報

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令和五年十一月二十日受領
答弁第二一号

  内閣衆質二一二第二一号
  令和五年十一月二十日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員原口一博君提出食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員原口一博君提出食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問に対する答弁書


一の1について

 お尋ねの「荒廃農地や非農業用途等への転用が発生する原因」については様々な要因があり、一概にお答えすることは困難であるが、荒廃農地(現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地をいう。以下同じ。)が発生する主な要因としては、令和三年一月に農林水産省において実施した「荒廃農地対策に関する実態調査」によると、「高齢化、病気」や「労働力不足」となっており、これらにより適切な農業生産活動を行うことが困難となっていることが挙げられる。また、お尋ねの「非農業用途等への転用が発生する原因」としては、例えば、民間企業が住宅や工場を建設する場合において、土地の価格や造成の観点から農地が選好されやすいことが考えられる。

一の2について

 「食料・農業・農村基本計画」(令和二年三月三十一日閣議決定。以下「基本計画」という。)において、令和十二年の農地面積を四百十四万ヘクタールと見通しているが、これは、これまでの農地面積の増減のすう勢を踏まえ、社会経済上必要な農地の転用を見込んだ上で、荒廃農地の発生防止及び解消の施策の効果について織り込んで推計したものである。この見通しでは、農地面積は令和元年の四百四十万ヘクタールから令和十二年に四百十四万ヘクタールに減少すると推計しているが、一方で、農業現場でのデジタル技術の活用等により耕地利用率(農林水産省が公表している「耕地及び作付面積統計」における耕地面積を「百」とした場合の作付(栽培)延べ面積の割合をいう。)が平成三十年の九十二パーセントから令和十二年に百四パーセントに上昇すると見込んでおり、これらを前提とした場合、基本計画において令和十二年度の食料自給率の目標として定めている四十五パーセントを達成することは可能であるため、「妥当な農地面積」であると考えている。

一の3について

 令和三年度に農林水産省が実施した「相続未登記農地等の実態調査」によれば、御指摘の「相続未登記農地及び相続未登記のおそれのある農地」(以下「相続未登記農地等」という。)は合計で百二万九千百一ヘクタールとなっているが、そのほとんどは相続人等により利用又は管理が続けられており、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第三十二条第一項各号に該当する農地となっているのは、五万七千六百二十九ヘクタールに留まっている。
 御指摘の「所有者不明農地対策を強化している」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、相続未登記農地等については、相続人から利用権(農業上の利用を目的とする賃借権若しくは使用貸借による権利(以下「賃借権等」という。)又は農業の経営の委託を受けることにより取得される使用及び収益を目的とする権利をいう。)の設定若しくは移転又は所有権の移転をするために必要な同意を得るに当たり、当該相続人の探索に多くの時間を要し、農業の担い手への農地集積の支障となっていたことから、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律(平成三十年法律第二十三号)による改正後の農業経営基盤強化促進法(昭和五十五年法律第六十五号)第二十一条の二から第二十一条の四までの規定により、市町村が農用地利用集積計画(同法第十八条第一項に規定する農用地利用集積計画をいい、存続期間が二十年を超えない賃借権等の設定を農地中間管理機構が受けるものに限る。以下同じ。)を定める際、賃借権等を設定する農地のうち、その二分の一以上の共有持分を有する者を確知することができない場合には、確知できない共有持分を有する者(以下「不確知共有者」という。)の探索を行い、それでもなお当該農地について二分の一以上の共有持分を有する者を確知できないときは、市町村の定めようとする農用地利用集積計画の公示をし、これに対し不確知共有者から異議がなかったときは、当該不確知共有者が農用地利用集積計画に同意したとみなし、当該農地について賃借権等の設定を農地中間管理機構が受けることができることとされたところである。当該改正以降、不確知共有者が同意したものとみなして設定された賃借権等を含む農地中間管理権(農地中間管理事業の推進に関する法律(平成二十五年法律第百一号)第二条第五項に規定する農地中間管理権をいう。)が設定された相続未登記農地等の面積は、令和四年度末までに百六十八ヘクタールとなっており、相続未登記農地等の有効利用につながっているものと考えている。

一の4について

 御指摘の「規模拡大推進一辺倒の農政」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号。以下「基本法」という。)及び基本計画に基づき、経営規模の大小や家族経営・法人経営の別にかかわらず、意欲的に農業経営に取り組もうとする農業の担い手を幅広く育成・確保するとともに、農業の担い手に対する農地の利用集積を推進してきた結果、多くの品目で、農業の担い手が農業生産の相当部分を担う農業構造を実現してきていると認識している。
 また、御指摘の「家族経営、中小規模の経営体、農業を副業的に営む経営体の位置付けと農地の集積・集約化の関係」の「整理」については、前述のとおり、経営規模の大小や家族経営・法人経営の別にかかわらず、意欲的に農業経営に取り組もうとする農業の担い手を幅広く育成・確保してきていることに加え、令和五年九月十一日の食料・農業・農村政策審議会の答申(以下「答申」という。)において、「離農する経営の農地の受け皿となる経営体や付加価値向上を目指す経営体の役割が重要であることを踏まえ、これらの者への農地の集積・集約化を進める」及び「農業を副業的に営む経営体など多様な農業人材が一定の役割を果たすことも踏まえ、これらの者が農地の保全・管理を適正に行う」とされていることを踏まえ、現在検討を進めているところであり、基本法の規定の具体的な在り方に係るお尋ねについては、現時点でお答えする段階にない。

二の1について

 お尋ねの「食生活の多様化の要因」については、基本計画において、「我が国の食生活は大きく多様化した。現代の消費者は、国内外の様々な食品についての知識を持ち、輸送網の発達によって各地で生産された食品を手軽に購入できるようになった。さらに、ライフスタイルの変化に伴って、食の簡便化志向が高まり、外食や中食も発達した。」としているところであるが、お尋ねの「食生活の多様化についてどのように評価しているのか」については、どのような食生活を営むかは、消費者の自由な選択に委ねられるべきものであり、政府としてお答えする立場にない。

二の2について

 御指摘の「食料自給率目標」は、基本計画において、「食料消費見通し及び生産努力目標を前提として、諸課題が解決された場合に実現可能な水準として示す食料自給率等の目標」として設定しており、お尋ねについては、例えば、自給率の高い米穀の国内における需要が年々減少する中で、海外からの輸入に依存している飼料の利用により生産された畜産物の消費が増大していることが要因であると考えている。

二の3について

 御指摘の「基本計画における食料自給率目標を複数ある指標の一つに格下げしようとしている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、答申において、「自給率目標は、国内生産と望ましい消費の姿に関する目標の一つとし、・・・課題の性質に応じ、新しい基本計画で整理される主要な課題に適した数値目標又は課題の内容に応じた目標も活用しながら、定期的に現状を検証する仕組みを設けることとするべき」とされていることを踏まえ、現在、その仕組みについて検討を進めているところであり、お尋ねの「基本計画で示す指標」について、現時点でお答えする段階にない。

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