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令和五年十一月二十四日提出
質問第七三号

遊漁船に救命いかだを義務付けることに関する質問主意書

提出者  早稲田ゆき




遊漁船に救命いかだを義務付けることに関する質問主意書


 国土交通省は本年十一月一日、船舶安全法施行規則等の一部を改正する省令案を公表し、本年十二月一日までパブリックコメントを行っている。この省令案には、二〇二五年四月から遊漁船に救命いかだの搭載を義務付けることが書かれているが、その決定プロセスにきわめて問題があると考えるので、以下質問する。

一 全国に遊漁船は約一万六千隻あるが、その多くは中小零細事業者であり、約百万円する小型救命いかだの搭載を義務付けることで、そのメンテナンスも含め、経営状態にどのような影響があると考えているか。遊漁船事業者の平均年収、売上などの経営状況を政府はどのように認識しているのか、あきらかにされたい。
二 今回、水温が二十度未満の水域を航行する遊漁船に原則として救命いかだの搭載を義務付けることとしているが、なぜ二十度未満かは、国土交通省の水温検討第三者委員会の結論をもとに決めたとのことである。しかし、この委員会は議事概要さえ公開されず、いつ何回開催したのかも非公表、「とりまとめ概要」というA四たった一枚しか公表していない。委員には、こともあろうに海難救助の専門家ではなく山岳救助の専門家を入れている。海上保安庁など海難救助の専門家はいくらでもいるはずである。水温検討第三者委員会がいつ何回行われたか、またその議事録を公表すべきではないか。
三 水温検討第三者委員会において、どのようなデータを基に、二十度未満では落水後、三時間救助待機後に揚収された場合、かなりの確率で生存が見込まれないと結論したのか。その科学的根拠をあきらかにされたい。
四 水産庁は、水温検討第三者委員会には参加していなかったものの、国土交通省の知床遊覧船事故対策検討委員会にオブザーバー参加しており、遅くとも第八回が開催された二〇二二年十月には、船舶安全法施行規則上、遊漁船に救命いかだの搭載を義務化する議論がなされていることを承知していたはずである。水産庁はなぜこの事実を二〇二三年十一月まで遊漁船事業者や自治体の遊漁船担当者に情報共有さえしてこなかったのか。
五 二〇二二年十二月の知床遊覧船事故対策検討委員会とりまとめにおいて、遊漁船にも救命いかだ義務化を決定するまでの間、国土交通省はなぜ遊漁船事業者や自治体の遊漁船担当者の意見を聴いてこなかったのか。
六 国土交通省は、二〇二三年四月二十六日に二〇二二年度補正予算による安全設備補助金事業を開始し、八月二十三日には救命いかだを補助金メニューに追加したが、遊漁船は海上運送法の適用を受けないことから、補助対象から除外している。一方の水産庁はなぜ二〇二二年度の補正予算で遊漁船を対象とした救命いかだの補助事業を行わなかったのか。遊漁船同様に一年適用が遅れる海上タクシーなどには国土交通省が補助を開始していることから、水産庁の不作為は言い訳のしようがないと思われるが、政府の見解をあきらかにされたい。
七 水産庁は遅ればせながら二〇二四年度の概算要求に遊漁船を対象とした救命いかだの補助事業をあげて、現在財務省と折衝中であるが、その補助率は、国土交通省が三分の二に対して、二分の一に過ぎないのは不適切ではないか。自治体の上乗せ補助を期待しているのなら、なぜ自治体と情報共有を十一月二十日まで行ってこなかったのか。
八 現在、国土交通省では、省令案における救命いかだ搭載義務の例外として、
 ・二十度を下回る日に船を出さなければ不要
 ・釣り客を乗せてない伴走船があれば不要
 ・水密の全通甲板船は不要
 ・三十分以内に救助船が現場に到着可能なら不要
 ・航行する区域が母港から五カイリ以内なら不要
 という五つのケースを通知で示すことを検討しているが、これはあくまで例示であって、今後寄せられるご意見を踏まえ、ネオプレン素材のウエットスーツ着用の場合など例外の追加を検討する考えはあるか。
九 国土交通省および水産庁は、今般のきわめて不透明な決定過程を深く反省し、一度この省令案を遊漁船に適用することを撤回ないし凍結して、全国の遊漁船事業者が今後とも事業を継続できるよう、事業者や自治体の声に真摯に耳を傾けるべきではないか。

 右質問する。

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