衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和五年十二月六日提出
質問第九五号

農作業安全における農業機械士の活用等に関する質問主意書

提出者  神津たけし




農作業安全における農業機械士の活用等に関する質問主意書


 国民への安定的な食料供給を担う農業の現場において、担い手を増やしていくに当たっては、農作業安全が十分に確保されていることが重要である。
 一方、農業分野においては、毎年二、三百件の農作業中の死亡事故が発生している。農業就業人口が減少する中、死亡事故の発生件数は減少傾向にあるものの、就業人口十万人当たりの死亡事故の割合は増加傾向にあり、他産業を大きく上回る水準となっている。農作業中の死亡事故の発生割合が増加しているにもかかわらず、令和四年の農作業安全研修の受講者は約五万人弱であり、普段仕事として主に自営農業に従事している百万人を超える基幹的農業従事者と比較しても、その一部しか参加していない状況にある。
 また、農作業中の死亡事故について、死亡要因別にみると、農業機械作業に係る死亡事故の割合が全体の七割を占める状況が継続している。このため、地域の農業機械作業に精通した農業機械士等による指導や研修の更なる活用が必要と考えられる。加えて、農作業安全に対する農林水産省の令和五年度予算は二千万円程度であり、この予算の中で農作業安全の普及啓発や都道府県の研修の実施を支援することとなっている。
 以上を踏まえ、農作業安全における農業機械士の活用等について、以下、質問する。

一 農作業安全対策の推進に関する予算について、農作業における死亡事故の割合が増加傾向にある状況を鑑みると、農作業安全対策に係る取組への予算が十分でないことは明らかである。特に高齢者や農業機械作業に係る死亡事故が多いことから、農業者に密着した労働安全指導ができる農業機械士等の活用を始め、農作業事故の割合が減少するために必要な規模で農作業安全対策を実施できるよう、これまで以上の予算を確保する必要性について、政府の見解を示されたい。
二 農林水産省は、各都道府県等に対し、「農作業事故等の情報取集の強化に向けた要請について」(令和二年五月十九日付け二生産第三〇二号農林水産省生産局長通知)を発出しており、重大事故であるか否かは問わず、農作業中に生じた人的被害を伴う事故の情報を収集している。しかし、農林水産省が公表している農作業死傷事故の発生状況をみると、警察庁が公表している交通事故と比較して、死傷事故の発生件数に対する死亡事故の割合が圧倒的に高くなっている。このことから、農作業事故に対する正確なデータが把握できていない可能性が考えられる。農作業事故に関して、死亡事故以外にも、後遺障害が残るような重大な事故を含め、より発生率の高い多様な事故の情報を収集できるよう運用を改善し、正確なデータを把握する必要性について、政府の見解を示されたい。
三 農作業事故の発生件数を抑制するためには、農業者が農作業安全に関する研修を受けることが重要であるが、都道府県によって研修の受講者数に大きな差が見られる。全国規模で農作業事故を減らしていくため、定期的に研修等を受けることを義務化する必要性について、政府の見解を示されたい。また、研修の講師に農作業安全に関する指導者を活用する割合も低い。「農作業安全のための指針」(一部改正平成三十年一月十九日付け二九生産第一六九〇号農林水産省生産局長通知)では、地域の農作業安全対策の取組については、地域の農業機械作業に精通した農業機械士等が参加することを想定しているところであり、質の高い研修を確保するため、研修講師に農業機械士等の専門性を有する者の活用を義務化する必要性について、政府の見解を示されたい。

 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.