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令和五年十二月七日提出
質問第一一四号

「こどもまんなか社会」にふさわしい保育の実現に関する質問主意書

提出者  前原誠司




「こどもまんなか社会」にふさわしい保育の実現に関する質問主意書


 令和五年四月一日、こども政策を我が国社会の真ん中に据える「こどもまんなか社会」の実現を目指して、こども政策に関する政府内の司令塔となる「こども家庭庁」が発足し、同時に、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとりこども施策を総合的に推進するための「こども基本法」が施行された。また、同年六月十三日には、「次元の異なる少子化対策」と銘打った「こども未来戦略方針」が閣議決定された。現在、政府では、こども基本法第九条第一項に基づく「こども大綱」の策定とともに、「こども未来戦略方針」を具体化した「こども未来戦略」の策定、さらには関連施策を実行するための予算編成や法制度設計を進めているところと思料するが、「こどもまんなか社会」や「次元の異なる少子化対策」といった言葉が名ばかりのものとならないか、今後、具体的な施策の内容を国会として厳しく問うこととなる。
 中でも、保育の充実は、乳幼児期のこどもの親が仕事と子育てを両立していく手段としてはもちろんのこと、こどもの健やかな成長及び発達、こどもの最善の利益の優先など、こども基本法第三条の基本理念を達成するために必要不可欠であることは論をまたない。そこで、「こどもまんなか社会」にふさわしい保育の実現へ向けた政府の考え方について、以下質問する。

一 乳幼児期のこどもの生活拠点となる保育所や認定こども園において、家庭の育児機能の低下、児童虐待の増加といった厳しい現状に対応しつつ、こども一人ひとりに向き合いながらその健やかな成長及び発達を支えるためには、専門家としての保育従事者の役割が極めて重要であり、そのためには、ゆとりある人員配置が可能となるよう、職員配置基準を抜本的に改善する必要がある。
 1 政府は、「こども未来戦略方針」において、一歳児に対する保育士の配置基準を六対一から五対一へ、四歳、五歳児に対する配置基準を三十対一から二十五対一へと改善するとしているが、これについては、令和五年五月二十三日の参議院厚生労働委員会において、政府参考人から、配置基準自体の改定ではなく、三歳児について基準を二十対一としたまま、十五対一とした場合に公定価格の加算措置を講ずることとしているのと同様の措置を考えている旨の答弁がなされている。「次元の異なる少子化対策」と言いながら、公定価格の加算措置では弥縫策のそしりを免れないと思われるが、改めて、配置基準自体を改定する考えはないか。
 2 そもそも、「こども未来戦略方針」に示された配置基準の改善策も、関係団体の要望に照らして十分とはいえないと思われるが、政府がこのような改善策を考案した根拠はどのようなものか。
二 こどもの健やかな成長及び発達、こどもの最善の利益の優先など、こども基本法第三条の基本理念を達成するためには、単なる就学前教育ではなく、こどもがこどもらしく生きられるよう後押しする幼児教育が必要不可欠である。政府は、現在並存する保育所保育指針、幼稚園教育要領及び幼保連携型認定こども園教育・保育要領を統合・刷新し、同条の基本理念に沿ったカリキュラムを策定する考えはあるか。
三 個々の保育所等が「こどもまんなか社会」にふさわしいものとなるには、保育の評価を経て、その質の向上を目指す必要があり、そのためには、従来の自己評価、第三者評価、モニタリングや行政機関の指導監査だけではなく、例えば、各施設に保育内容の評価等について専門的かつ先駆的な知見を有する共同研究者を配置し、対話を基本にしつつ、各施設が内部から自己変革できるような仕組みが必要と考える。政府は、そのような取組を後押しする考えはあるか。
四 こども基本法第三条第五号は、こどもの養育について、「家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有する」としつつ、「これらの者に対してこどもの養育に関し十分な支援を行う」としている。核家族化が進む以前は地域全体が共同で子育て支援ネットワークとして機能していたとの指摘もあるが、社会の在り方が大幅に変化した現代においては、保育所や認定こども園こそが現代版の子育て支援ネットワークのためのプラットフォームとなり得る存在なのではないかと考えられる。
 1 政府は、妊娠期からワンストップで支援を行う拠点として、保育所等を活用する考えはないか。
 2 政府は、「こども未来戦略方針」において、全てのこどもの育ちを応援するとともに、全ての子育て家庭に対して多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、「こども誰でも通園制度(仮称)」を創設するとしており、現在、こども家庭庁において、その実現へ向けたモデル事業を実施中であるほか、令和七年度の制度開始を目指して検討中との報道もある。モデル事業の実施状況や、令和七年度の開始へ向けた現在の検討状況は、どのようになっているか。
五 「こどもまんなか社会」の実現のためには、いじめや児童虐待など何らかの生きづらさを抱えているこどもの支援や居場所づくりも大変重要な課題である。他方、こどもが卒業した保育所等には、小学校進学までの間、その成長及び発達を見守ってきた保育従事者がいる。政府は、生きづらさを抱えたこどもの支援の場として、保育所等を活用する考えはないか。

 右質問する。

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