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令和五年十二月八日提出
質問第一一九号

死亡届の手続に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




死亡届の手続に関する質問主意書


 日本総合研究所の試算では、子どものいない高齢者世帯は二〇二〇年からの二十年間で倍増すると言われている。近年すでに、高齢者の孤独死や身寄りのない方の入院等について問題化しており、司法書士などが身元保証人とならなければ病院や介護施設に入院・入所できないという課題が発生している。
 戸籍法では、死亡届の届出義務者として、一・同居の親族、二・その他の同居者、三・家主、地主、家屋管理人または土地管理人を定めている。そして届出資格者として、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者も届出することができると定めている。つまり法律では、同居者がいることや賃貸住宅に住んでいることが前提として定められているため、身寄りのない高齢者が持ち家に住んでいる場合は、届出義務者がいないことになる。また、届出資格者についても、親族がいることや、後見人などを付けている富裕層や認知症の方を前提としており、現状ですでにこの条文に合致しない死亡者が発生している。
 ではこうした場合、実際にどのように手続が行われているかというと、法に規定のない「死亡記載申出書」の提出を行うことで、首長が職権で戸籍に死亡を記載する手続をとっている。この「死亡記載申出書」は、提出義務や資格は何も規定されていないため、誰でも提出ができる反面、誰も提出しないといつまでもご遺体は放置されることになる。本来戸籍法では、届出義務者が死亡の事実を知った日から七日以内に死亡の届出をしなければならないが、死後七日を超えて病院や警察や葬儀事業者に預けられてしまい、火葬の手続や財産処分などの次のステップが滞る事例が発生している。シンクタンクの試算からも、今後このような事例が多くなると想定されることから、以下、政府の見解を質問する。

一 死亡届の届出義務者が義務を果たさないという事例も発生している。特に、都市再生機構(UR)や不動産業者などの賃貸事業者は、病院や警察などから依頼があった場合、死亡届の届出を拒否できないはずであるが、実際には拒否することがある。届出義務者が義務を果たさない場合について、厳格に対処すべきと考えるが、政府の見解を伺う。
二 現在、届出義務者や届出資格者に、身元保証人は含まれていない。しかし身元保証人は死後事務委任契約の公正証書を交わしている場合もあり、生前、その死者と一番近い関係にあるものと考えられる。届出義務者がいない身寄りのない方であれば、身元保証人を届出資格者と認めても良いと考えるが、政府の見解を伺う。
三 身元保証人や葬儀事業者が死亡記載申出書を提出しようとすると、自治体の役所の戸籍窓口で拒否されることがある。本人確認と、死亡した事実と、死亡届提出義務者の不存在が確認できれば、戸籍窓口で申出を拒否する理由は無いものと考える。事実上、死亡届を出すことができない場合、死亡記載申出書で戸籍に記載をすることになっていることを考えると、死亡記載申出書制度について法的な規定を定めるべきと考えるが、政府の見解を問う。
四 死亡記載申出書は先述のとおり、提出義務も資格も設定されていないため、たらい回しで誰も提出をしないということも起きている。例えば墓地埋葬法では、埋葬・火葬を行う者がないときは死亡地の市町村長がこれを行わなければならないと、最終責任者を定めている。本来であれば死亡を確認した病院や警察が提出者となるべきと考えるが、病院や警察が提出しないのならば、自治体の福祉事務所が最終的な提出者となって、事務手続の責任を負うべきと考えるが、政府の見解を伺う。
五 死亡届の提出、死亡記載申出書の提出に関する問題は、今後の日本社会において増えてくる課題である。政府は、法制審議会等の会議体で、この課題について専門家による意見や法整備について検討すべきと考えるが、政府の見解を伺う。

 右質問する。

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