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令和五年十二月八日提出
質問第一三三号

米軍横田基地所属のCV二二オスプレイの屋久島沖墜落事故とオスプレイの運用等に関する質問主意書

提出者  宮本 徹




米軍横田基地所属のCV二二オスプレイの屋久島沖墜落事故とオスプレイの運用等に関する質問主意書


 米軍横田基地所属のCV二二オスプレイが十一月二十九日、鹿児島県・屋久島沖に墜落した。
 オスプレイは開発段階から事故をくり返してきた欠陥機である。昨年八月には米空軍がクラッチの不具合を理由に全機地上待機とする措置を講じている。本年八月にも豪州で米海兵隊のMV二二オスプレイが墜落事故を起こし乗組員三人が死亡している。国内でも二〇一六年に沖縄県名護市の海岸で墜落事故を起こし、最近でも各地で緊急着陸がくり返されている。
 こうした危険な欠陥機の米軍基地への配備を容認し、陸上自衛隊への導入を進めてきた政府の責任は重大である。今般の事故について横田基地周辺の住民からは「横田基地への帰還中に住宅地で事故が起きれば大惨事をまねきかねない状況だった」などの不安と怒りの声があがっている。
 こうした重大な事故を起こしたにもかかわらず、十二月六日に一時飛行停止を米軍が発表するまで、米海兵隊所属のMV二二オスプレイは国内で飛行を継続し、海軍のCMV二二オスプレイも飛行を行っていた。
 わが党は墜落事故の翌三十日に、上川陽子外務大臣、木原稔防衛大臣に申入れを行い、国内のオスプレイの全機運用停止と事故原因の究明、国内からの全機撤去を求めた。
 これらをふまえ、以下質問する。

一 屋久島沖での墜落事故について
 1 CV二二オスプレイの墜落事故をうけ政府は十一月三十日に米側に要請を行った。それは「捜索救助活動を除き、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請する」というもので、飛行停止を明確に求めたものではない。このことは木原防衛相が十一月三十日の記者会見で「安全が確認されてから飛行をすることというのは、飛行停止を求めたというふうに理解してよろしいでしょうか」と問われ、「飛行停止という定義がまだあいまいなので、そういう意味では私は使っておりません」と述べていることからも明らかである。米国防総省のシン副報道官は日本政府からの飛行停止要請について「公式な要請は受けていない」と述べたと報じられている。政府として米側に対し国内のオスプレイは事故の原因が判明し対策が講じられるまで全機飛行停止を継続するよう明示的に要請すべきではないか。
 2 政府は陸上自衛隊のV二二オスプレイについては「事故の状況が明らかとなるまでの当面の間は、その飛行を見合わせる」としている。「事故の状況が明らかとなるまで」とはどのような状況になることを言ったものか具体的に説明されたい。これは事故の原因が明らかになり対策が講じられるまでということか。
 3 今般の墜落事故の原因究明について
  (イ) 政府として原因究明にどのように取り組んでいるか。事故の原因について日本政府の責任で究明すべきではないか。
  (ロ) 現時点で政府の承知していることを示されたい。
  (ハ) 墜落したオスプレイと関係空港管制との事故に至るまでの交信状況・内容について政府の承知しているところを明らかにされたい。
  (ニ) 海上保安庁は十二月三日、回収した機体の一部の米側への引渡しを行っている。原因究明を行うことなく機体の一部を米側に引渡した理由・根拠は何か。また、どのような手続を経て引渡しを行ったものか。
 4 米空軍特殊作戦司令部は今般の事故は定期訓練中に起きたとしているとのことである。定期訓練とはどのような訓練であったか、政府の把握するところを具体的に説明されたい。
 5 今般の墜落事故に際して宮澤博行防衛副大臣は十一月三十日夜の記者会見で事故を墜落ではなく「不時着水」とした上で、その根拠について「最後の最後までパイロットが頑張ってらっしゃったということでございますから、不時着水という言葉でございます」と説明している。これは、米側から「最後の最後までパイロットが頑張っ」たから「不時着水」との説明を受け、このように記者会見で述べたものか、それともそうではなく副大臣、あるいは防衛省の理解や認識、解説としてこのように述べたものか。
 6 オスプレイの危険は明らかである。国内からすべて撤去すべきではないか。
 7 横田基地でのCV二二オスプレイは「二〇二四年頃」に十機への増強が計画されている。このことについて現在の検討・具体化の状況について政府の承知しているところを明らかにした上で、十機への増強は中止させるべきではないか。
二 オスプレイの事故率について
 1 MV二二オスプレイの事故率は二〇二二年九月現在の数値が明らかにされている一方、CV二二オスプレイの事故率の最新の数値は二〇二一年九月現在のものである。CV二二オスプレイの事故率はなぜ二〇二一年九月以降明らかにされていないのか。理由・事情について政府として把握・認識していることを示されたい。
 2 CV二二オスプレイの事故率について防衛省は「一般に航空機の事故率は飛行時間の増加に伴い低減するものであり、CV二二についても、今後、この数値は低減していく見込み」などと説明していた。しかしながら同機が横田基地に当初配備される予定だった二〇一七年に四・〇五であった事故率は、二〇二一年九月の公表では六・〇〇とされている。飛行時間の増加に伴い「低減していく見込み」との認識や説明は事実と相違しているのではないか、訂正すべきではないか。
 3 事故率の算定は、十万飛行時間あたりのクラスA事故の件数を言い、クラスA事故は、被害総額が高額の事故(額については変遷がある)と、米国防総省所属航空機の損壊、又はパイロットと乗組員の死亡もしくは全身不随に至る障害もしくは職業病を引き起こした事故を合計したものとされており、被害額と人員の死亡や負傷の度合いを加算して評価しようというものである。それは墜落事故が起き、住民生活等に生ずる影響の大きさや深刻さを適切に評価するものとは言えない。
  (イ) 墜落事故のように市街地・住宅地でひとたび起きれば深刻かつ重大な事故を生じさせるような事故についてはそれを適切に示す指標に基づき評価すべきではないか。
  (ロ) オスプレイの飛行時間あたりの墜落事故の件数を他の主要な軍用機と比較して示されたい。現時点で示せないのであれば調査すべきではないか。
三 クラッチの不具合(ハード・クラッチ・エンゲージメント)による事象について
 1 米空軍のCV二二オスプレイは昨年八月に、ハード・クラッチ・エンゲージメント(以下、HCEとする)と呼ばれるクラッチの不具合により全機地上待機とされた。本年七月には米海兵隊が昨年六月にカリフォルニア州で起きたMV二二オスプレイの墜落事故についての調査報告書を公表し、事故がHCEによるものであることを明らかにした。HCEについて防衛省は「本現象の根本的な原因につきましては、米側において引き続き調査中」としている。その後HCEについて原因はどこまで明らかとなったか、承知していることを示されたい。また、政府において原因の究明に向けどのような検討が行われ、どのような措置が講じられているか示されたい。
 2 本年七月の米海兵隊によるカリフォルニア州での墜落事故についての調査報告書では製造会社と連携してとっている措置として、部品の設計と実用化、部品強度・検査基準の改善、耐衝撃性等を備えたフライト・データ・レコーダーの設置を列挙し、調査結果をパイロットと乗組員に提示し複合的な緊急事態を引き起こす可能性について議論する、などとしている。それらは完了したのか、完了していないのであれば進捗について承知していることを示されたい。
 3 HCEについて防衛省は「深刻なトラブルを起こすことなく安全に運用できる手順は既に確立をされており」などとし、「各種教育・訓練を通じて乗組員にこれらの手順を習得させることにより、安全に運用できる体制が確保されています。日本の陸上自衛隊によるV二二の運用においても、同様の教育及び訓練が従来から取り入れられています」などとしてきた。しかるに七月の米海兵隊調査報告書は「操縦者及び乗組員に瑕疵はなく、本事故の発生を予知・防止するために彼らにできることはなかったことが明らかです。この壊滅的かつ予期せぬ機械の故障が発生したとき、彼らは関連規則に従って通常の飛行運用を行っていました」としている。これは「安全に運用できる手順」なるものや「教育・訓練」により事故を防ぐことができなかったということを示しているのではないか。
 4 米海兵隊の調査報告書が公表された後、本年八月二十七日には米海兵隊のMV二二オスプレイがオーストラリアで演習中に墜落し、乗組員三人が死亡する事故を起こしている。この事故の原因については政府としてどのように承知しているか。
 5 本年八月一日の記者会見で浜田靖一防衛相(当時)は、「ハード・クラッチ・エンゲージメントが発生した可能性があるケースが日本国内で過去に一件あり、現在調査中であるとの連絡を受けた」「担当部局から米側に対して・・・事実関係について確認を行っている」と述べている。この「一件」とはどのような事例か、「事実関係についての確認」の状況と結果について示されたい。
四 オスプレイの緊急着陸(予防着陸)について
 過去に国内で起きたオスプレイの緊急着陸(予防着陸)について、日時、着陸場所、機体の所属、概要、原因、対策・対応を示されたい。

 右質問する。

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