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答弁本文情報

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平成十三年一月二十三日受領
答弁第六八号

  内閣衆質一五〇第六八号
  平成十三年一月二十三日
内閣総理大臣 森   喜  朗

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員保坂展人君提出旧KDDの個人情報漏えい問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出旧KDDの個人情報漏えい問題に関する質問に対する答弁書



(1)について

 株式会社ディーディーアイ(以下「KDDI」という。)からの報告によれば、以下のとおりと承知している。
 国際電信電話株式会社(平成十年十二月から平成十二年九月まではケイディディ株式会社。以下「旧KDD」という。)は、平成六年十月、中国語新聞の発行等を営む中文産業有限会社(平成七年十月から中文産業株式会社。以下「中文産業」という。)との間で、旧KDDが提供していた「001国際電話サービス」の利用についての主に在日中国人を対象とする勧奨に係る業務委託契約を締結した。中文産業は、これに伴い、同サービスの利用者を会員とする任意団体として「001良友倶楽部」を設立し、主に在日中国人を対象に同団体への入会を募り、同団体の会員に対し各種特典を付与することにより「001国際電話サービス」の利用についての勧奨を行う業務を開始した。その後、平成八年七月、「001良友倶楽部」は、旧KDDが運営主体となりその運営を中文産業に委託する形態に改められた。さらに、平成十二年十月からは、「001良友倶楽部」の運営主体は旧KDDからKDDIに引き継がれた。
 旧KDD及びKDDIは、中文産業が「001良友倶楽部」の会員に対する利用勧奨を行う際に参考とすることができるようにするため、中文産業に対し、平成十二年十一月までに、合計約十二万二千件の電話番号に係る会員の氏名及び住所、月ごとの利用ポイント(利用額を一定の割合で換算したもの)、割引サービス等契約状況、電話規制状況(電話の利用が制限されているか否か)並びに直近一か月又は三か月の利用額の情報(以下「既存会員管理用情報」という。)を、これらを記録したフロッピィーディスク若しくは光磁気ディスクを手渡し、又は、例外的に、記録した紙をファクシミリを使用する方法により、提供していた。
 また、旧KDDは、中文産業が「001良友倶楽部」の会員を新規に募集する際に参考とすることができるようにするため、中文産業に対し、平成十二年九月までに、合計約十万六千件の電話番号に係る「001国際電話サービス」の利用者(主に在日中国人)の氏名及び住所、割引サービス等契約状況、直近一か月又は三か月の利用額並びに代金前払いカードの利用者に関する利用額の情報(以下「新規会員獲得用情報」という。)を、これらを記録したフロッピィーディスクを手渡しする方法により、提供していた。

(2)について

 KDDIからの報告によれば、以下のとおりと承知している。
 旧KDDは、特定の元代理店との間でも、「001国際電話サービス」の利用についての勧奨に係る業務委託契約を締結し、利用者の獲得を行っていたが、元代理店から提供を受けた「001国際電話サービス」の利用者に関する個人情報をそのまま中文産業に提供することはなかった。ただし、旧KDDから中文産業に提供されていた新規会員獲得用情報の中には、「001国際電話サービス」の利用者で中文産業以外の代理店が獲得したものに関する個人情報が一部含まれていた可能性がある。

(3)について

 KDDIからの報告によれば、以下のとおりと承知している。
 旧KDDは、「001国際電話サービス」の新規利用者の獲得及び既存利用者の利用の促進を目的として、中文産業との間で同サービスの利用についての勧奨に係る業務委託契約を締結し、中文産業に対し、既存会員管理用情報及び新規会員獲得用情報の提供を行っていたものである。また、中文産業においては、事業経営の一環として、旧KDDとの間で当該業務委託契約を締結し、その契約上の義務の履行に当たり、旧KDDからこれらの情報の提供を受けていたものである。
 なお、KDDIが中文産業に確認したところでは、中文産業は、旧KDDから提供された個人情報を「001国際電話サービス」の利用勧奨を目的として設置された「001良友倶楽部」への加入勧誘にのみ利用しており、これとは別に、新聞購読や通信衛星(CS)を使用したテレビ放送の視聴の勧誘に流用したことはなく、また、利用者又はその家族の同意なく、中国語新聞や「001良友倶楽部」の会員カードを送付したこともないとしているが、中文産業においても、旧KDDから中文産業に提供された個人情報を含む「001良友倶楽部」の会員名簿や旧KDDから中文産業に提供された会員の利用額等の情報の一部が、中文産業から同社の意図に反して外部に流出していた事実は認めている。

(4)について

 KDDIからの報告によれば、以下のとおりと承知している。
 旧KDDは、中文産業における「001良友倶楽部」と同様に、他の代理店との間でも、出身国や地域等の別に、在日外国人向けの利用勧奨を目的とする業務委託契約を締結し、その中で、「001国際電話サービス」の利用者を会員とするクラブ組織の設立及び運営の委託を行っており、当該他の代理店に対し、中文産業に対するのと同様の既存会員管理用情報及び新規会員獲得用情報の提供を行っていた。
 このようなクラブ組織は、「001良友倶楽部」のほか、現在四つあり、会員数は合計約七万五千人である。

(5)について

 電気通信事業者が、適正に取得した利用者に関する個人情報を自社の提供するサービスの利用についての勧奨を行うために利用することや、当該利用勧奨業務について第三者に業務委託を行い、それに必要な範囲内で利用者に関する個人情報を当該業務委託先に提供することは、通常業務として行われている場合がある。
 しかしながら、当該業務委託先において、委託された業務の範囲を超えて当該個人情報の利用が行われたり、第三者に漏えいされたりするならば、利用者のプライバシーを侵害するおそれが生じるため、総務省(平成十三年一月五日以前においては郵政省。以下同じ。)では、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(平成十年郵政省告示第五百七十号。以下「個人情報保護ガイドライン」という。)において、電気通信事業者がこうした業務委託を行うに当たっては、業務委託先として個人情報を適正に取り扱うと認められる者を選定し、委託契約等において、個人情報の適切な管理のための必要な措置や秘密保持等に関する事項について定めるものとする旨規定し、業務委託先における適切な個人情報の取扱いが確保されるように十分な監督の措置を講じるよう、電気通信事業者に対しその遵守を指導しているところである。

(6)について

 中文産業から流出した「001良友倶楽部」の会員名簿が中国人犯罪組織に売買され、犯罪に悪用されているといった事実は、現在のところ確認されていないものの、仮にそのようなことがあるとすれば、その影響は極めて重大であると言わざるを得ない。このため、電気通信事業者に対し、その保有する個人情報の適正管理等について定めた個人情報保護ガイドラインに基づく取組の徹底を指導しているところである。

(7)について

 個人情報保護ガイドラインに基づく適切な個人情報の取扱いを確保することについては、各電気通信事業者において、社内の体制を整備する等の取組が進められているほか、総務省においても、不適正な取扱いが認められる事業者に対し適宜改善の指導を行う等所要の措置を講じてきており、引き続き、各電気通信事業者において、個人情報保護ガイドラインの趣旨が徹底されるよう適切に対応していくこととしている。また、個人情報保護のより一層の実効性を確保するという観点から、個人情報保護に関する基本法制の整備に当たっては、個人情報取扱事業者に対する主務大臣による改善命令等、個人情報の適正な取扱いについての実効性担保措置を設ける必要があるものと考えている。



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