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平成十三年三月三十日受領
答弁第一二号

  内閣衆質一五一第一二号
  平成十三年三月三十日
内閣総理大臣 森   喜  朗

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員楢崎欣弥君提出今後の日本外交・防衛問題及び有事法制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員楢崎欣弥君提出今後の日本外交・防衛問題及び有事法制に関する質問に対する答弁書



一の1について

 冷戦終結後の国際社会の全般的状況については、主要国間の関係は種々の問題をはらみながらも基本的には安定しており、地球的規模の武力紛争の発生の可能性は低くなっているが、一方で、複雑で多様な要因を背景にした地域紛争の発生、大量破壊兵器等の拡散の進行等、様々な不安定要因が存在しており、このような中、国際社会による種々の安定化のための努力が継続していると考えている。また、我が国が位置するアジア太平洋地域の状況については、朝鮮半島における昨年の歴史的な南北首脳会談等の前向きな動きも見られる一方、冷戦終結後も軍事力の拡充・近代化が見られるなど、依然として不透明・不確実な要素が残されていると考えている。
 このような状況の下、我が国が自らの防衛力のみでは我が国の安全が脅かされるようなあらゆる事態には対処できない以上、自由と民主主義という基本的価値を共有し、最も信頼できるパートナーであるアメリカ合衆国との間で、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)を維持し、その抑止力の下で我が国の安全を確保することが必要であると考えている。こうした日米安保条約に基づく日米安全保障体制は、過去四十年間我が国の平和と繁栄をもたらしただけでなく、アジア太平洋地域における安定と発展のための基本的な枠組みとしても有効に機能してきたと考えているところ、平成九年九月二十三日に日米安全保障協議委員会において了承された日米防衛協力のための指針は、この日米安全保障体制の信頼性を向上させるために作成されたものであり、今後ともその実効性の確保に努め、日米安全保障体制の信頼性の向上に努めていく考えである。
 政府としては、引き続き、日米安全保障体制の堅持を安全保障政策の重要な柱の一つとしつつ、各国との信頼醸成に向けた対話及び協力、軍備管理及び軍縮の促進等安定的な安全保障環境を構築するための外交努力を行うとともに、「平成八年度以降に係る防衛計画の大綱」(平成七年十一月二十八日閣議決定。以下「大綱」という。)の下で節度ある防衛力を整備するとの基本的考え方に沿って、安全保障政策を遂行していくことが必要であると考えている。

一の2について

 「中期防衛力整備計画(平成十三年度〜平成十七年度)」(平成十二年十二月十五日閣議決定。以下「新中期防」という。)を決定するに際しては、国際情勢を含め様々な観点から慎重に検討を重ねたところであり、新中期防が前提としている国際情勢は、一の1についてで述べたとおりであるところ、政府としては、平成十二年十二月十五日付けの内閣官房長官談話に示したとおり、大綱に定められた防衛力の役割や我が国が保有すべき防衛力の内容等の基本的枠組みを見直さなければならないような諸情勢の基本的な変化はないと考えたところである。

一の3について

 我が国は、従来から、憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安全保障体制を堅持し、節度ある防衛力の整備に努めるとともに、我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力を行うことを安全保障政策の基本としている。このような基本的な考え方は、今後とも堅持していく方針であり、累次内外に明らかにしてきている。
 いわゆる自衛隊の海外派遣については、武力行使の目的をもたないで部隊を他国へ派遣することは、憲法上許されないわけではないと考えている。しかしながら、法律上、自衛隊の任務、権限として規定されていないものについては、その部隊を他国へ派遣することはできないと考えている。
 いわゆる平和維持隊(PKF)本体業務の凍結解除については、我が国が世界から信頼される国家となるためには、国際社会で求められている責任・役割を着実に果たしていくことが必要であり、このためには、我が国自らの安全保障基盤を強固なものとしながら、国際的な安全保障の確立に貢献することも重要な課題であると考えており、かかる認識の下、国会での議論等を踏まえつつ対処していきたいと考えている。
 集団的自衛権については、我が国が、国際法上、集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている。
 政府としては、国連を中心とした国際社会の平和と安全を求める努力に対し、資金面だけでなく、人的な面でも協力を行うことが、我が国の国際的地位と責任にふさわしい協力の在り方であると考えており、国連を中心とする国際平和のための努力に対し、憲法の枠内で積極的に協力していく考えである。

二の1について

 有事法制については、民主主義国家である我が国において、自衛隊が文民統制の下で、国家、国民の安全を確保するために必要なものであると考えており、我が国が外部から武力攻撃を受けた場合に国家、国民の安全を確保することは、公共の福祉を確保することにほかならないから、そのため必要があるときは、合理的な範囲内において法律で国民の権利を制限し、又は国民に特定の義務を課すことも憲法上許されるものと考えている。もっとも、そのような場合においても、可能な限り国民の権利を尊重すべきことはいうまでもない。
 なお、御指摘の「自衛隊と基本的法理論」は、執筆者個人の学術論文であり、政府の見解を述べたものではない。

二の2の@について

 日米安全保障協議委員会の下部機構として設置された防衛協力小委員会において、アメリカ合衆国から、御指摘の「有事即応態勢下にある米軍の有事における軍事行動自由化(在日米軍基地及び自衛隊基地使用の自由化と事前協議事項の包括承認)、及び有事即応の米軍に連動する自衛隊の有事における軍事行動の自由化」が要請されたという事実はない。
 有事法制については、自衛隊が文民統制の下で、国家、国民の安全を確保するために必要であり、平時においてこそ備えておくべきものであると考えている。昨年、与党から、法制化を目指した検討を開始するよう政府に対して要請がなされ、政府としての対応を考えてきたところである。かかる経緯を踏まえ、今般、政府としては、与党の考え方を十分に受け止め、検討を開始していくこととしたところであり、「米側からの強い要請が背景となっている」との御指摘は当たらない。

二の2のAについて

 航空自衛隊においては、領空侵犯に対する措置のための態勢として「警戒態勢」を、有事における防空のための態勢として「防空態勢」を、それぞれ定めている。
 「警戒態勢」は、領空侵犯機等を探知し、識別するための警戒監視を行うことを内容とする対空警戒の態勢と、航空機による地上待機、その他必要な待機及びこれらの準備を行うことを内容とする警戒待機の態勢からなり、いずれも1から5までの五段階に区分され、通常の態勢を5としている。また、この「警戒態勢」をDEFCON(デフコン)と呼称することができることとしている。
 「防空態勢」は、1から5までの五段階に区分されている。

二の2のBについて

 航空自衛隊の「防空警報」は、防衛出動命令が下令された場合、空からの攻撃に対して有効に対処するため、事態に応じ、航空自衛隊航空総隊司令官等から航空自衛隊の部隊等に伝達されるものであり、赤、黄及び白の三段階に区分され、それぞれ「アップルジャック」、「レモンジュース」及び「スノーマン」と呼称されることがあるが、いかなる場合にこれらの警報が伝達されるのかについては、これを明らかにすることは、航空自衛隊の有事における態勢を明らかにすることとなり、我が国の安全を害するおそれがあるので、答弁を差し控えさせていただきたい。
 また、防衛出動命令下令時の空からの攻撃に対する警報の国民への伝達については、検討を進めることが必要な安全保障上の課題の一つであると認識している。

二の3について

 一の1についてで述べたとおり、冷戦終結後の国際社会の全般的状況については、複雑で多様な要因を背景にした地域紛争の発生、大量破壊兵器等の拡散の進行等、様々な不安定要因が存在しており、また、我が国が位置するアジア太平洋地域の状況についても、冷戦終結後も軍事力の拡充・近代化が見られるなど、依然として不透明・不確実な要素が残されていることにかんがみると、我が国に対して外部からの武力攻撃が行われる可能性は否定できず、また、これがいわゆる奇襲攻撃となる可能性も絶無とはいえないと考えているが、政府としては,各種の手段により、政治、軍事その他のあらゆる情報を事前に収集することによって、実際上、奇襲を受けることのないよう努力することが重要であると考えている。
 なお、御指摘の「兵学研究記事」は「兵学研究会記事」を指すものと考えられるが、御指摘の「国家と自衛隊」は、陸上自衛隊幹部学校職員の有志から成る私的な同好会の会員の個人的な見解を述べたものであり、政府の見解を述べたものではない。
 また、御指摘の「松前・バーンズ協定」は、アメリカ合衆国の第五空軍と航空自衛隊航空総隊との間で、我が国の領空侵犯に対する措置を実施する上での細目事項を明らかにしているものであり、対領空侵犯措置に関する内訓と同様、あくまでも自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十四条に基づいて領空侵犯に対する措置を実施することを前提とするものであって、「超法規的行動はすでに予定されている」との御指摘は当たらない。

二の4について

 憲法第九条第一項は、独立国家に固有の自衛権までも否定する趣旨のものではなく、自衛のための必要最小限度の武力を行使することは認められているところであると解している。また、我が国が、国際法上、集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている。
 政府としては、このような考え方の下、憲法の範囲内で有事法制の研究を行ってきたものであり、また、今後の有事法制に関する検討についても、憲法の範囲内で行っていくことはいうまでもないことであって、「超憲法的」との御指摘は当たらない。
 なお、御指摘の各資料の中に政府の見解を述べたものはない。

二の5について

 民主主義国家においては、政治の軍事に対する優先は確保されなければならないものと考えている。
 我が国の現行制度においては、国防に関する国務を含め、国政の執行を担当する最高の責任者たる内閣総理大臣及び国務大臣は、憲法上すべて文民でなければならないこととされ、また、国防に関する重要事項については内閣総理大臣を議長とする安全保障会議の議を経ることとされており、更に国防組織たる自衛隊も法律、予算等について国会の民主的コントロールの下に置かれているのであるから、シビリアン・コントロールの原則は、貫かれているものと考えている。
 政府としては、国民を代表する国会による民主的コントロールが十分発揮できるよう、今後とも、正確な情報及び資料を提供するなどできる限りの協力を行ってまいりたい。

三の1について

 国防の目的は、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われるときはこれを排除し、もって民主主義を基調とする我が国の独立と平和を守ることにある。依然として核兵器を含む軍事力が存在するとともに、核を始めとする大量破壊兵器等の拡散が強く懸念される現実の国際社会において、こうした国防の目的を達成するため、政府としては、防衛力の適切な整備を進め、その維持・運用を図るとともに、日米安全保障体制を堅持し、その信頼性を向上させてすきのない防衛態勢をとることとしている。また、核兵器の脅威に対しては、核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮の国際的努力の中で積極的な役割を果たしつつ、アメリカ合衆国の核抑止力に依存することとしている。
 脅威は、侵略し得る「能力」と侵略しようとする「意図」が結びついて顕在化するものであると考えているが、「意図」というものは変化するものであり、我が国の防衛を考える場合には、我が国周辺における軍事「能力」について配慮する必要があると考えている。いずれにせよ、政府としては、我が国に対する差し迫った脅威が現在あるとは考えていない。

三の2の@について

 昭和五十三年九月に公表した「防衛庁における有事法制の研究について」の中で、「今回の研究は、むろん現行憲法の範囲内で行うものであるから、旧憲法下の戒厳令や徴兵制のような制度を考えることはあり得ないし、また、言論統制などの措置も検討の対象としない」としており、政府としては、今後の有事法制に関する検討についても、憲法の範囲内で行っていくことはいうまでもない。
 また、防衛庁においては、自衛隊が守るべき対象やその順位について、御指摘のように「自衛隊が守るべき第一の目標は米軍基地、次が自衛隊基地、つづいて重工業地帯」と設定した事実はない。

三の2のAについて

 新中期防においては、個々の弾薬の整備計画についてまで決定しているものではない。なお、現在海上自衛隊の護衛艦に搭載している高性能二十ミリ機関砲ではタングステン弾を使用しており、これを変更する計画はない。

三の3について

 周囲を海に囲まれ、資源小国である我が国としては、有事、平時を問わず、主要資源の安定供給の確保に努めることが重要であり、特に主要資源の供給経路である海上交通の安全の確保に努めることが重要である。このため、政府としては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合において、周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の海域において、自衛の範囲内で海上交通の安全を確保し得ることを目標に、海上防衛力の整備を進めてきている。
 有事の際に具体的にどの程度海上交通の安全を確保し得るかについては、脅威の具体的様相、アメリカ合衆国軍隊の支援態様等の多くの要因に左右されるものであって、一概に申し上げることは困難であるが、いずれにせよ、我が国が有効に海上交通の安全を確保し得る能力を保有することにより、アメリカ合衆国との共同作戦とあいまって、我が国の海上交通の妨害に対する抑止効果を発揮することが重要であると考えている。
 もとより、総合的な観点から我が国の安全を確保するためには、適切な防衛力の整備に努めるとともに、経済、外交等を含めた広い立場からの努力が必要であり、政府としては、これら各般の施策を整合性を保ちつつ推進すべきであると考えている。
 このような観点から、政府としては、憲法の下、外交努力の推進及び内政の安定による安全保障基盤の確立を図りつつ、専守防衛に徹し、日米安全保障体制を堅持し、節度ある防衛力を自主的に整備してきたところであるが、かかる基本方針は、引き続きこれを堅持することとしている。

三の4について

 御指摘の「在日米空軍と航空自衛隊の専用空域」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、平成十三年一月三十一日の日本航空九〇七便及び九五八便の飛行経路付近には、アメリカ合衆国政府が管制業務を行うことが認められている空域並びに自衛隊機の訓練空域及び試験空域が存在するところ、これらの空域、同空域における飛行経路等の設定及び変更に当たっては、航空交通管制に支障を及ぼさないよう、国土交通省、アメリカ合衆国軍隊、防衛庁等関係機関の間で調整しており、政府としては、御指摘の「民間機の空域が極端に狭められている」という問題はないと考えている。



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