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平成十三年十一月十三日受領
答弁第一九号

  内閣衆質一五三第一九号
  平成十三年十一月十三日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員川田悦子君提出狂牛病全頭検査にあたり情報公開のあり方と今後の信頼回復のための措置等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員川田悦子君提出狂牛病全頭検査にあたり情報公開のあり方と今後の信頼回復のための措置等に関する質問に対する答弁書



一について
  平成十三年九月に発見された牛海綿状脳症の牛(以下「本患畜」という。)の感染ルートを究明するため、千葉県及び北海道の家畜保健衛生所の家畜防疫員(以下「家畜防疫員」という。)による関連農場に対する立入検査、欧州連合からの肉骨粉の輸入実態に関する調査等を実施しているところである。

 家畜防疫員による立入検査等の結果、本患畜が発見された千葉県の農場及び本患畜が出生した北海道の農場において本患畜に給与されていた飼料と同じ銘柄の飼料には、肉骨粉は使用されていなかったことが確認された。現在、これらの農場がある地域において使用されていた可能性が高い補助飼料の流通状況等について調査しているところである。
 また、欧州連合からの肉骨粉の輸入実態に関する調査については、牛海綿状脳症の発生国であり、かつ、我が国への肉骨粉の輸出実績があるイタリア及びデンマーク並びに牛海綿状脳症の発生国である英国からの肉骨粉の輸入実績があるタイ、香港等に農林水産省の担当官を派遣し、これらの国・地域から我が国に輸出された肉骨粉の流通ルート等の解明を進めているところである。
 本年十月十八日から全国一斉に実施することとしたと畜場においてとさつし、解体するすべての牛を対象とした牛海綿状脳症の検査の結果については、一次検査に用いるバイオラド社の検査キットはプリオンの検出感度が高く、実際には陽性でないものも陽性の値を示すことがあるため、一次検査で陽性の値が出た段階で公表した場合には国民の間に無用の混乱や不安をもたらす可能性があると考えられたこと、報道された消費者団体等の意見にもこれと同趣旨のものが多かったこと等を踏まえ、厚生労働大臣の判断により、陰性又は陽性が確定した段階で公表するという方針を決定したものである。
 今後とも、この方針に基づき、正確な情報を迅速に提供してまいりたい。

二について

 御指摘の三種類の消毒方法とは、摂氏百三十二度から百三十四度までの高圧蒸気により一時間消毒を行う方法、摂氏二十度で濃度が一モルパーリットル以上の水酸化ナトリウム溶液により一時間消毒を行う方法及び有効塩素濃度が二パーセント以上の次亜塩素酸ナトリウム溶液により一時間消毒を行う方法である。

三について

 御指摘の「ウシの識別番号札」は、牛一頭ごとに識別番号を付した標識を耳に装着するとともに、当該識別番号により牛の生年月日、現在の所在地等をデータベース化して管理するものであり、平成九年度から乳用牛を対象としたモデル事業として調査研究が進められてきたところである。平成十二年度からは、北海道、秋田県、愛知県、愛媛県、熊本県及び沖縄県の六道県において、実際に乳用牛の耳に標識を付した上でデータベースの管理が行われており、個体の確認が容易になったこと、農家において個体の誤認がなくなったこと等が報告されている。
 さらに、本年度中には、肉用牛を含め、我が国で飼養されているすべての牛を対象として個体識別番号を付すべく予算措置を講ずることとしたところである。
 諸外国における牛の個体識別番号の導入状況を見ると、欧州連合においては平成十年一月からすべての加盟国に統一的な制度として、カナダにおいては本年一月から国内のすべての牛を対象として、それぞれ導入されたところである。これら以外の諸外国においては、牛の個体識別番号の導入に向けて順次検討が行われているところであると承知しており、我が国の取組が遅れているとは考えていない。

四について

 牛海綿状脳症であることが疑われる牛の発見に伴い、本年九月十日農林水産省に「牛海綿状脳症(BSE)対策本部」を、同月十一日厚生労働省に「牛海綿状脳症(BSE)に係る食肉安全対策本部」(同年十月十五日に「牛海綿状脳症(BSE)対策本部」と改称)を設置するとともに、情報交換、合同会議の開催等を通じた連携を図っているところであり、と畜場でとさつし解体するすべての牛を対象とした牛海綿状脳症の検査を行うことにより、安全性が確認された牛肉だけがと畜場から出回る体制を、両省の連携により確立したところである。
 さらに、本年十月十日、牛海綿状脳症に関して関係省庁間の緊密な連絡調整を図るため、総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び環境省の副大臣で構成する「牛海綿状脳症(BSE)関係副大臣プロジェクト・チーム」を設置したところである。
 従来から、厚生労働省は飲食に起因する衛生上の危害の防止等の見地から、農林水産省は農畜産物、農畜産業専用物品等の生産、流通及び消費の増進、改善及び調整等の見地から、それぞれ各種の施策を講じてきているところであるが、生産から消費に至るまでの食品の安全性を確保するため、両省間で定期的に情報の交換等を行うとともに、食肉の処理等に関する施策については特に緊密な連携の下で実施するため、両省間の協議の場を設けているところである。
 今後とも、これらの協議の場等を活用し、両省の連携の一層の強化に努めてまいりたい。

五について

 食品の原材料等の表示については、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)及び農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)に基づき、その基準が定められている。
 食品衛生法は、衛生上の危害の発生を防止することを目的として、公衆衛生の見地からの表示が必要と考えられる原材料名等の表示を義務付けている。また、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律は、一般消費者の選択に資することを目的として、一般消費者向けの加工食品について原材料名の表示を義務付けている。
 食品の製造年月日については、加工手段の多様化等により、特定の時点を製造時とすることが困難な食品が増えており、消費者が品質を判断する基準とするには適当でないことから、その表示は義務付けられておらず、品質がいつまで保たれるのかという観点からの消費期限、品質保持期限等の表示が義務付けられている。なお、製造者が任意で製造年月日を表示することは禁止されていない。
 医薬品の原材料の表示については、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)に基づき、有効成分の名称を容器又は被包に表示することが義務付けられるとともに、平成十四年四月からは製薬業界団体の自主基準に基づき、医薬品に含有される全成分の表示が開始される予定である。
 医薬品の製造年月日の表示については、医薬品の安定性試験の結果等に基づき使用期限が設定されるとともに、製造業界の自主基準等に基づき使用期限が表示されることとなっており、製造年月日の表示は義務付けられていない。

六について

 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を含むプリオン病については、厚生科学研究費補助金による特定疾患対策研究事業により早期に診断し、発病を遅延させ、予防を行うための基礎的研究、臨床研究等を行うとともに、国立感染症研究所において情報の収集、分析及び提供並びに研究等を行っているところである。今後とも、これらの研究等を積極的に推進していく考えであり、御指摘のように感染症に関する治療研究を行うための新たな組織を設けることは考えていない。
 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第十二条等に基づき、クロイツフェルト・ヤコブ病にり患し、又はその疑いがある者を診断した医師は当該者の年齢、性別、感染経路等を都道府県知事等に届け出るとともに、都道府県知事等はその届出内容を厚生労働大臣に報告することとされている。同法が施行された平成十一年四月一日から平成十二年十二月三十一日までの間に、クロイツフェルト・ヤコブ病にり患し、又はその疑いがあると医師により診断された者として報告があった件数は百八十九件であり、このうち、ヒト乾燥硬膜の移植を受けた者で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病にり患しているとの報告及び変異型クロイツフェルト・ヤコブ病にり患していると疑われるとの報告がそれぞれ一件ある。
 しかしながら、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の正確な診断は極めて難しいことから、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病として報告があった二件に、本年十月十八日に御指摘の報道があった一件を加えた三件について、本年十月に開催したクロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会において十四名の専門医による詳細な検討が行われた。その結果、一件については画像、髄液等の検査、症状及び経過からクロイツフェルト・ヤコブ病である可能性は低いと判定され、他の二件についてはクロイツフェルト・ヤコブ病であるが、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病ではないと判定された。

七について

 厚生科学研究費補助金による特定疾患対策研究事業により、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の易感染性についても分析が進められている。その結果、現在のところ、すべての変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者はアミノ酸配列がメチオニン・ホモ型の遺伝子を持っているが、アミノ酸配列がメチオニン・ホモ型等の遺伝子と変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症機序との関係は十分に解明されていないと承知している。

八について

 本年十月十八日に、「牛海綿状脳症(BSE)の疑いのない安全な食品の供給について」(厚生労働大臣談話)及び「牛海綿状脳症(BSE)の疑いのない安全な畜産物の供給について」(農林水産大臣談話)が発表されたことを受けて、文部科学省は「牛海綿状脳症(BSE)の疑いのない安全な食品の供給について」(同日付け十三文科ス第三百十五号文部科学省スポーツ・青少年局長通知)を発出した。この中で、各都道府県教育委員会等に対して、両談話の趣旨を市町村教育委員会等に周知徹底するとともに、牛肉の使用を自粛している学校等において的確な情報に基づいて保護者の理解を求めつつ、従前の取扱いに戻すなど適切な対応がとられるよう、指導を要請したところである。

九について

 酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律(昭和二十九年法律第百八十二号)第二条の二第一項に基づき策定した酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針に基づき、我が国の酪農及び肉用牛生産の健全な発達及び農業経営の安定のために、飼料生産基盤の整備、飼料作物の作付けの拡大等を推進することにより、土地基盤に立脚し、自然環境と調和した酪農及び肉用牛生産の振興を図っていく考えである。

十について

 肉骨粉、血粉その他の動物由来のたん白質を原料とするもの(以下「肉骨粉等」という。)については、飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令(昭和五十一年農林省令第三十五号)の改正により、飼料として製造し、出荷することが制限されたことから、肉骨粉等の製造及び焼却に係る費用の全額を国庫補助することとしており、一般廃棄物処理施設において肉骨粉等の焼却が行われている。また、化製場から排出される廃肉骨粉を、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第九条の八に基づき一般廃棄物の再生利用に係る特例の対象とすることにより、セメントの原材料として利用することも促進しているところである。
 今後とも、これらの措置を通じて、肉骨粉等の円滑な処理を推進してまいりたい。

十一について

 平成八年三月に牛海綿状脳症のヒトヘの感染の可能性が指摘されたことを踏まえ、同年四月にと畜検査の対象疾病に伝染性海綿状脳症を加えるとともに、本年五月からは神経症状を呈する生後二十四か月以上の牛に対して異常プリオンの有無の調査を行う体制を整備したところであり、その時々の科学的知見に基づき必要な措置を講じてきているところである。
 また、今回の牛海綿状脳症の検査のように、全国の検査機関において多数の検体を検査する中で、陽性の検体を確実に発見する必要がある検査に用いる方法としては、対象物質の検出感度が高いこと、簡便にかつ短時間で検査結果が得られること等が必要であると考えており、専門家の意見を踏まえて、プリオニクス社の検査キットよりもバイオラド社の検査キットの方が適当であると判断したものである。

十二について

 本年九月十日に牛海綿状脳症であることが疑われる牛が発見されて以来、農林水産省と厚生労働省との連携が不十分であったこと等から、対応に混乱を来し、食肉等の安全性に関して国民に不安を与えたことは遺憾である。
 今後は、今回の教訓をいかし、関係省庁が更に密接な連携をとって対応することが肝要であると考えており、食肉等の安全性に対する国民の不安が解消されるよう、また、風評等により大きな被害を受けた生産者や関係業者が一日も早く従来と同様の経営状態に戻ることができるよう、政府全体として積極的な情報の提供に努めつつ、速やかに必要な対策を講じてまいりたい。



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