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答弁本文情報

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平成十四年二月五日受領
答弁第二七号

  内閣衆質一五三第二七号
  平成十四年二月五日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員金田誠一君提出「戦争」、「紛争」、「武力の行使」等の違いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出「戦争」、「紛争」、「武力の行使」等の違いに関する質問に対する答弁書



一について

 憲法第九条第一項の「国権の発動たる」とは「国家の行為としての」という意味であり、同項の「戦争」とは伝統的な国際法上の意味での戦争を指すものと考える。したがって、同項の「国権の発動たる戦争」とは「国家の行為としての国際法上の戦争」というような意味であると考える。
 もっとも、伝統的な国際法上の意味での戦争とは、国家の間で国家の行為として行われるものであるから、「国権の発動たる戦争」とは単に「戦争」というのとその意味は変わらないものであり、国権の発動ではない戦争というものがあるわけではないと考える。

二について

 憲法第九条第一項の「戦争」とは、伝統的な国際法上の意味での戦争、すなわち、国家の間で武力を行使し合うという国家の行為をいうのに対して、同項の「国際紛争」とは、国家又は国家に準ずる組織の間で特定の問題について意見を異にし、互いに自己の意見を主張して譲らず、対立しているという状態をいうと考える。

三の1について

 憲法第九条第一項の「国際紛争」とは、国家又は国家に準ずる組織の間で特定の問題について意見を異にし、互いに自己の意見を主張して譲らず、対立している状態をいうと考える。

三の2及び4について

 国際連合憲章(以下「国連憲章」という。)第二条第三項及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)第一条の「国際紛争」とは、一般に、国家などの間で特定の問題について意見を異にし、互いに自己の意見を主張して譲らず、対立している状態をいうと考える。

三の3及び5について

 国連憲章第六章及び平成九年九月二十三日に日米安全保障協議委員会において了承された日米防衛協力のための指針(以下「指針」という。)「U.基本的な前提及び考え方」の「紛争」とは、一般に、当事者間で特定の問題について意見を異にし、互いに自己の意見を主張して譲らず、対立している状態をいうと考える。

三の6について

 平成八年度以降に係る防衛計画の大綱(平成七年十一月二十八日閣議決定)「T 策定の趣旨」の「紛争」とは、国際政治の安定を確保するための我が国の外交努力の対象となってきた争いをいうと考える。

三の7について

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号。以下「テロ対策特措法」という。)第二条第三項の「国際的な武力紛争」とは、国家又は国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いをいうと考える。

四の1について

 憲法第九条第一項の「武力の行使」とは、基本的には国家の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうと考えるが、同項の「国権の発動たる戦争」に当たるものは除かれる。

四の2及び4について

 国連憲章第二条第四項及び日米安保条約第一条の「武力の行使」とは、一般に、国家がその国際関係において行う実力の行使をいい、憲法第九条第一項の「国権の発動たる戦争」に当たるものも含まれるという点を別にすれば、四の1についてで述べたところと本質的には同一のものをいうと考える。

四の3、5及び6について

 国連憲章第五十一条、日米安保条約第五条及び指針「T.指針の目的」の「武力攻撃」とは、一般に、一国に対する組織的計画的な武力の行使をいうと考える。

四の7について

 テロ対策特措法第二条第二項の「武力の行使」とは、基本的には国家の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうと考える。

四の8について

 テロ対策特措法第二条第三項の「戦闘行為」とは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。

五について

 お尋ねの「現在アフガニスタンで行われている戦闘」が具体的にいかなるものを指すのか必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

六について

 憲法第九条第一項は、独立国家に固有の自衛権までも否定する趣旨のものではなく、自衛のための必要最小限度の武力の行使は認められているところであると解されるから、自衛隊が自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十八条に基づいて必要な武力を行使したとしても、憲法第九条で禁止されている「国権の発動たる戦争」には当たらないと考える。
 また、お尋ねの「これによって生じた紛争状態」については、具体的にいかなる状態を指すのか必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

七について

 指針「U.基本的な前提及び考え方」の「国際法の基本原則及び国際連合憲章を始めとする関連する国際約束」とは、指針の下で行われる我が国及びアメリカ合衆国のすべての行為に関連するあらゆる国際法の基本原則及び国際約束をいうが、具体的にいかなるものがこれに当たるかは、両国が実際に活動する場合において個別具体的に判断されることとなると考える。



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