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答弁本文情報

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平成十四年六月七日受領
答弁第五八号

  内閣衆質一五四第五八号
  平成十四年六月七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員岩國哲人君提出喫煙がもたらす被害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員岩國哲人君提出喫煙がもたらす被害に関する質問に対する答弁書



一について

 たばこに係る税が引き上げられ、事業者によりたばこの小売価格が引き上げられる場合には、過去の値上げ時の動向から見てたばこの消費数量は減少する可能性があると考えられるが、税率の倍増による喫煙者の減少、これに伴う死亡者の減少等がどの程度であるかについて正確な試算は困難であると考える。このため、政府としてはお尋ねのシミュレーションについては、実施したことはなく、また、現在のところ実施する予定もない。

二について

 喫煙による本人の健康、医療費及び周囲の者に対する影響等について、厚生労働省において調査、研究又は分析を行ったものとしては、次のものがある。
1 平成八年の「保健福祉動向調査」においては、国民の健康状態、健康維持・増進のための栄養・運動・休養の状況等について調査を行い、他人の喫煙に対して、約六割の者が迷惑であると思っているとの回答を得た。
2 平成九年の「労働者健康状況調査」においては、事業所における労働者の健康状況、健康管理対策の推進状況等について調査を行い、職場での喫煙に関して、約五割の者が不快に感じ、又は体調が悪くなることがあるとの回答を得た。
3 平成九年の厚生白書においては、国内外で行われた喫煙が健康に与える影響に関する調査を紹介しており、喫煙男性は非喫煙男性に比べて、肺がんによる死亡の危険性が四・五倍高くなっているほか、それ以外の多くのがんについても死亡の危険性が増大すること、喫煙男性は非喫煙男性に比べて虚血性心疾患による死亡の危険性が一・七倍高くなっているほか、喫煙は慢性気管支炎、肺気腫等にも関係していること、喫煙している妊婦から生まれた乳児については、その平均体重が非喫煙者から生まれた乳児に比べて軽く、低出生体重児の頻度も約二倍高くなっているほか、喫煙している妊婦は非喫煙者と比べて早産、自然流産及び周産期死亡の危険性が高くなっていること、受動喫煙は喫煙習慣を持たない者にとって不快と感じられるだけでなく、家庭又は職場において肺がん、虚血性心疾患、肺機能障害等の危険性を増大させていること等を報告している。
 なお、厚生労働省に置かれた「喫煙と健康問題に関する検討会」が平成十三年十二月に公表した報告書(以下「報告書」という。)においては、我が国における喫煙による医療費の増加額に関する四種類の試算が紹介されており、一年間で、最小のものが二千五百六十五億円、最大のものが三兆二千億円となっている。

三及び四について

 日本人全員がたばこを吸わなくなった場合の国の財政に与える影響等についての試算は行っていない。
 本人のみならず周囲の者への影響等も含めた喫煙による損失の額(以下「社会的損失額」という。)については、報告書において四種類の試算が紹介されており、一年間で、最小のものが一兆千四百六億円、最大のものが五兆六千億円となっている。
 社会的損失額を試算する場合、損失の範囲、試算の方法等によってその結果が大きく異なると考えられることから、まずは厚生労働科学研究費補助金により、喫煙による社会的損失に係る調査、研究等の知見の集積に努めるとともに、当該知見については、厚生労働省のホームぺージヘの掲載等を通じて、国民に情報を提供してまいりたい。
 厚生労働省においては、喫煙習慣が個人の嗜好の問題にとどまらず、健康にもかかわる問題であることを踏まえ、平成十二年度から推進している「二十一世紀における国民健康づくり運動(健康日本二十一)」においても、喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識の普及、未成年者の喫煙の防止、公共の場及び職場における分煙の徹底及び効果の高い分煙に関する知識の普及並びに禁煙支援プログラムの普及について、それぞれ目標を定めた上で、推進を図っているところである。また、喫煙に係る健康問題に対する取組を含めた国民の健康の増進の総合的な推進を図るための法的基盤を整備するため、今国会に健康増進法案を提出しているところである。
 日本人の平均寿命が一歳増減することによる国民年金及び厚生年金保険の財政に与える影響については、各年齢の死亡率がどのように変化するかによって影響の度合いが異なってくることから、試算することは困難である。
 また、日本人全員がたばこを吸わなくなった場合の平均寿命の伸びや国民年金及び厚生年金保険の財政に与える影響に係る研究事例については、承知していない。



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