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答弁本文情報

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平成十五年二月四日受領
答弁第三六号

  内閣衆質一五五第三六号
  平成十五年二月四日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員金田誠一君提出インフルエンザワクチンに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出インフルエンザワクチンに関する質問に対する答弁書



一の(一)について

 薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第七十七条の四の二に基づき医薬品の製造業者等が厚生労働大臣に行う報告(以下「製造業者等報告」という。)及び「医薬品等安全性情報報告制度への御協力について(お願い)」(平成九年五月十五日付け薬発第六百三十三号厚生省薬務局長通知)に基づき医療機関等が厚生労働大臣に行う報告(以下「医療機関等報告」という。)によれば、平成十二年度及び平成十三年度におけるインフルエンザワクチンの副作用の症例数と各症例ごとに見られる症状の合計件数は、それぞれ八十二例百五十八件及び八十七例百四十八件である。これらの各症例に係る患者の年齢、症状及び予後については、平成十二年度は別表第一、平成十三年度は別表第二のとおりである。なお、これらの症例は、製造業者等報告及び医療機関等報告の双方を通じて重複して報告されることがあり得る。また、患者の年齢については、特定の個人が識別され、個人の権利利益が害されるおそれがあるため、概数でお答えしている。

一の(二)について

 製造業者等報告及び医療機関等報告を通じて、インフルエンザワクチンの副作用によりギラン・バレー症候群を発症したと疑われるものとして厚生労働省に報告のあったお尋ねの六例に係る患者の年齢、症状及び予後は、別表第三のとおりである。なお、患者の年齢については、特定の個人が識別され、個人の権利利益が害されるおそれがあるため、概数でお答えしている。

二の(一)について

 米国疾病対策予防センター(CDC)のホームページによれば、平成十四年四月十二日に同センターが発表した最新の報告において、月齢六月から二十三月までの乳幼児については、インフルエンザにり患した際に症状が悪化する可能性が高いことが明らかになってきたため、症状の悪化の防止に有効であるインフルエンザワクチンの予防接種を奨励するとともに、その予防効果と副反応の危険性を勘案した評価に関する情報を更新していく旨が述べられている。

二の(二)について

 厚生労働科学研究費補助金による平成十年度以降の乳幼児等に対するインフルエンザワクチンの接種に関する研究としては、平成十年度から平成十二年度までの間に行われた「予防接種の効果的実施と副反応に関する総合的研究」(以下「予防接種効果的実施研究」という。)、平成十一年度に行われた「幼児等に対するインフルエンザワクチンの有効性・安全性に関する基礎的研究」(以下「幼児等ワクチン有効性・安全性研究」という。)、平成十二年度から行われている「乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果に関する研究」(以下「乳幼児ワクチン効果研究」という。)及び平成十三年度から行われている「安全なワクチン確保とその接種方法に関する総合的研究」があり、最終的な報告書が取りまとめられている予防接種効果的実施研究及び幼児等ワクチン有効性・安全性研究については、国立保健医療科学院のホームページにおいて、これらの概要を公表しているところである。また、残りの研究についても、最終的な報告書が取りまとめられ次第、当該ホームページに掲載される予定である。

二の(三)について

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)をインフルエンザによる発熱に対して使用することに関する安全対策としては、平成十年十二月、アスピリン等のサリチル酸系医薬品は原則として十五歳未満のインフルエンザの患者に投与しないこと、平成十二年十一月、ジクロフェナクナトリウムはインフルエンザ脳炎・脳症患者に対する投与を禁忌とすること、平成十三年五月、ジクロフェナクナトリウムは原則として小児のウイルス性疾患の患者に投与しないこと、同月、メフェナム酸は原則として小児のインフルエンザに伴う発熱には投与しないこと等を、各医薬品の製造業者等に対し、使用上の注意に追記するよう指導した。また、平成十四年三月には、社団法人日本医師会、社団法人日本薬剤師会等の関係団体を通じ、関係者に対して、インフルエンザ流行期におけるジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸等の解熱鎮痛剤等の慎重な使用について注意喚起を行ったところである。
 小児救急医療体制の整備及び充実については、平成十一年度から、二次医療圏単位で、小児救急に対応することが可能である病院が当番制によって救急患者を受け入れる体制を整備する「小児救急医療支援事業」を、平成十四年度からは、二次医療圏単位ではこのような体制の整備が困難である地域において、小児救急に常時小児科医により対応することが可能な病院が複数の二次医療圏からの救急患者を受け入れる体制を整備する「小児救急医療拠点病院運営事業」を、それぞれ国庫補助事業として創設するなど、全国的な体制の整備に取り組んでいるところである。
 インフルエンザワクチンの接種とインフルエンザ脳炎・脳症との関係については、厚生労働科学研究費補助金により平成十二年度から「インフルエンザの臨床経過中に発生する脳炎・脳症の疫学及び病態に関する研究」が進められているが、現時点では最終的な結論は得られておらず、科学的知見が明らかでないことから、インフルエンザワクチンの接種とインフルエンザ脳炎・脳症との関係について広報を行う状況にはないと考えている。

二の(四)について

 御指摘の記述が含まれている乳幼児ワクチン効果研究の報告書は、研究途中の段階で取りまとめられたものであり、現時点では最終的な結論が得られていないと承知している。なお、同報告書には、インフルエンザワクチンを接種した者が三十九・〇度以上の発熱を伴うインフルエンザ様疾患にり患する比率は、非接種者の比率のおよそ〇・七八倍となり、このうち、一歳以上の幼児に限定した比率は、接種者は非接種者の〇・七二倍になることが記載されており、インフルエンザワクチンの接種の効果がないことのみが記述されているわけではないと承知している。また、厚生労働科学研究費補助金による研究においては、その研究が国民の生命、健康に重大な影響を及ぼすと考えられる場合に、主任研究者は厚生労働省に対して健康危険情報を通報することとなっているが、乳幼児ワクチン効果研究の主任研究者から健康危険情報の通報はない。
 このため、現時点において、乳幼児へのインフルエンザワクチンの予防接種を控える旨の勧告を出すことは適切ではないと考えているが、今後の乳幼児等に対するインフルエンザワクチンの予防接種の在り方については、本年四月に取りまとめられる予定の乳幼児ワクチン効果研究の最終的な報告書等を参考として、検討を行ってまいりたい。
 また、厚生労働省の監修により作成している「予防接種ガイドライン」及び「予防接種と子どもの健康」については、御指摘のインフルエンザ予防接種の対象年齢に係る記述を含め、現在、改訂を検討しているところである。

三について

 高齢者に対するインフルエンザワクチンの接種の効果等については、厚生労働科学研究費補助金により、平成十四年度から三年間の計画で、「インフルエンザ予防接種のEBMに基づく政策評価に関する研究」が行われているところである。


別表第一(1/5)


別表第一(2/5)


別表第一(3/5)


別表第一(4/5)


別表第一(5/5)、別表第二(1/6)


別表第二(2/6)


別表第二(3/6)


別表第二(4/6)


別表第二(5/6)


別表第二(6/6)、別表第三


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