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答弁本文情報

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平成十六年四月十三日受領
答弁第五〇号

  内閣衆質一五九第五〇号
  平成十六年四月十三日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員今野東君提出国際刑事裁判所と北朝鮮による日本人拉致事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員今野東君提出国際刑事裁判所と北朝鮮による日本人拉致事件に関する質問に対する答弁書



一について

 北朝鮮による拉致の問題は基本的には日朝間の交渉を通じて解決されるべきものであること、さらには、北朝鮮は現在国際刑事裁判所に関するローマ規程(以下「規程」という。)を締結しておらず、国際刑事裁判所による捜査に協力する義務を負っているわけではないこと等をも踏まえ、また、現在、日朝間でこの問題の解決に向けた交渉を行っていくことで一致していることからも、現時点ではこの問題を国際刑事裁判所に付託する考えはない。いずれにせよ、この問題の解決に向け、いかに取り組んでいくかについては、引き続き、その事実関係を究明していく中で、いかなる対応が可能であり、また、問題解決のため最も効果的かという観点から対処していくべきであると考える。
 なお、規程の締結については、現在、規程の内容や各国における法整備の状況を精査するとともに、国内法令との整合性について検討を行っているところである。

二について

 お尋ねの国際刑事裁判所への付託に際しての条件が何を意味するか必ずしも明らかではないが、規程第五条は、国際刑事裁判所が管轄権を行使できる対象犯罪、すなわち付託の対象となる犯罪について定めており、規程第十二条は、第五条に定める犯罪について、問題となっている行為が締約国の領域において行われた場合など一定の条件が満たされる場合に、国際刑事裁判所が管轄権を行使し得る旨定めている。また、規程第十三条は、国際刑事裁判所への付託そのものについて定めており、規程第十四条は、締約国による国際刑事裁判所の付託に当たって必要とされる手続について定めている。すなわち、規程第十三条(a)及び第十四条は、規程の締約国は、国際刑事裁判所の管轄に属する一又は二以上の犯罪が行われた疑いがある事態につき、検察官に対し、一又は二以上の特定の者が当該犯罪について有罪とされるべきか否かを決定するため、当該事態を捜査することを要請することができ、その際には、可能な限り、関連する状況を特定し、かつ、事態を付託する国にとって利用可能な裏付けとなる文書を添付しなければならない旨及びその場合に国際刑事裁判所が管轄権を行使できる旨規定している。また、規程第十三条(b)は、国際刑事裁判所は、その管轄に属する一又は二以上の犯罪が行われた疑いがある事態が、国際連合憲章第七章の下で行動する国際連合安全保障理事会により、検察官に付託された場合に、管轄権を行使することができる旨規定している。

三について

 規程第十一条1は、国際刑事裁判所は、規程が効力を生じた後に行われる犯罪についてのみ管轄権を有する旨規定している。お尋ねの規程の発効以前に起こった事件で現在も継続しているものが仮にこの条文上規程が効力を生じた後に行われた犯罪に該当するものであれば、国際刑事裁判所は、その犯罪について管轄権を有すると考えられるものの、我が国は規程の締約国ではなく、また、国際刑事裁判所は、個々の事態につき、お尋ねのようなことが問題となる場合に、規程に従って、各犯罪が規程が効力を生じた後に行われた犯罪に該当し得るものか否かを判断することになると思われるので、同条1の具体的な適用につき、確定的に申し上げることは困難である。

四について

 現在、規程の内容や各国における法整備の状況を精査するとともに、国内法令との整合性について検討を行っているところであり、我が国が規程を締結するに際して整備することが必要となる国内法の数及びその具体的内容を現段階で特定することは困難である。



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