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平成十六年十二月七日受領
答弁第六三号

  内閣衆質一六一第六三号
  平成十六年十二月七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員小宮山泰子君提出自衛隊のイラク派遣延長に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小宮山泰子君提出自衛隊のイラク派遣延長に関する質問に対する答弁書



1について

 御指摘の答弁は、平成十六年十一月十日の国家基本政策委員会合同審査会における内閣総理大臣の「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である、これがイラク特措法の趣旨なんです。」との答弁を指すものと思われる。
 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「法」という。)においては、法第二条第一項に規定する対応措置を実施する地域について、「現に戦闘行為・・・が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」(同条第三項)ことが求められている。内閣総理大臣の答弁はこの法の趣旨を端的に説明したものであるというのが、内閣としての一致した理解である。

2について

 政府としては、平成十五年三月二十日に衆議院本会議及び参議院本会議において内閣総理大臣が行ったイラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告については、「米国は、このような大量破壊兵器を廃棄する国際的な動きの先頭に立っています。」との部分を含め、その中に事実に反する部分があるとは考えておらず、したがって、これを訂正する考えはない。

3及び4について

 イラクに派遣された自衛隊の部隊の活動について、イラク暫定政府等の要人が、これに対する評価若しくは謝意を示し、又は派遣継続を要請した主な例は、次のとおりである。
(一) 平成十六年六月九日、主要国首脳会議に際して行われた内閣総理大臣とヤーウェル・イラク暫定政府大統領との会話において、ヤーウェル大統領から「自衛隊の人道支援・復興支援活動を高く評価し、感謝する。」旨の発言があった。
(二) 平成十六年九月二十日、ニューヨークにおける日・イラク首脳会談において、アッラーウィー・イラク暫定政府首相から「日本が多国籍軍の一員として活動してくれていることも感謝しており、先般、自分(アッラーウィー首相)がサマーワの有力部族長と会談した際、部族長は日本の自衛隊の活動に対し感謝の意を述べていた。日本と日本人は、イラクで非常に尊敬されている。」旨の発言があった。
(三) 平成十六年十月四日、訪日中のハッサーニ・ムサンナー県知事から外務大臣に対し、「自衛隊がサマーワに派遣されていることは、日・イラクの友好関係強化に資する。」旨の発言があった。
(四) 平成十六年十月五日、訪日中のハッサーニ・ムサンナー県知事から内閣総理大臣に対し、「自衛隊をサマーワに派遣した総理の決定を高く評価する。ムサンナー県の情勢は安定しており、自衛隊の人道復興支援はサマーワの安定に一層寄与するものである。」旨の発言があった。
(五) 平成十六年十月十二日、訪日中のハーフェズ・イラク暫定政府計画開発協力大臣から内閣官房長官に対し、「イラク政府、国民を代表して日本の復興支援に感謝申し上げる。」旨及び「自衛隊の活動に対する謝意を表明する。」旨の発言があった。
(六) 平成十六年十月二十四日付けのアッラーウィー首相から内閣総理大臣にあてた書簡において、「イラク国民の平和的な未来のために行われてきた日本のイラク復興支援部隊を通じた貢献に感謝するとともに、部隊の現存レベルを維持することをお願いする。」旨及び「現在派遣されている部隊は、イラク国民の人道的ニーズ及び復興ニーズを支える上で不可欠な任務を遂行してきている。現行の日本部隊による貢献は、これから訪れるイラクの政治体制移行の重要な期間に必要なモメンタムを維持する上で死活的に重要である。日本の部隊を短期間で撤退させることは、イラク及び国際社会にとり深刻な結果をもたらしかねない。」旨を述べている。
(七) 平成十六年十一月二十二日、エジプトのシャルム・エル・シェイクにおける日・イラク外相会談において、ズィバーリー・イラク暫定政府外相から外務大臣に対し、「サマーワの自衛隊は大変すばらしい働きをしており、日本がイラク国民と共にあることを示す政治的シンボルになっている。政治プロセスが完了するまで自衛隊をイラクにとどめて欲しい。」旨の発言があった。
(八) 平成十六年十二月一日付けのアッラーウィー首相から内閣総理大臣にあてた書簡において、「平和を維持するための貴国の勇敢な部隊がイラクから撤退しないよう、改めて要請したいと考えます。仮に撤退されることになれば重大な影響をもたらし得るからです。」旨を述べている。

5について

 サマーワの治安情勢は、予断を許さないものであるが、イラクの他の地域に比べれば比較的安定しており、また、サマーワ市民の大多数はイラクに派遣されている自衛隊の部隊の活動を支持していると見られる。こうしたことから、平成十六年十二月六日現在、自衛隊の部隊は、宿営地の外での活動を支障なく実施しているところである。
 イラクに派遣された自衛隊の部隊が、人道復興支援活動としての医療に係る活動、給水に係る活動及び学校等の公共施設の復旧・整備に係る活動のすべてを開始したのは平成十六年三月二十六日であり、同日から平成十六年十二月六日までの派遣日数は、二百五十六日である。
 当該派遣日数のうち、自衛隊の部隊が宿営地の外で活動した日数については、現在確認中であり、お答えすることはできない。

6について

 「イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画」(平成十五年十二月九日閣議決定。以下「基本計画」という。)に定める自衛隊の部隊等の派遣期間が終了する平成十六年十二月十四日の後の対応について、現時点では政府として決定しておらず、したがって、お尋ねのオランダ軍が活動を終了した場合の対応については、お答えすることはできない。

7について

 平成十六年十月二十三日に宿営地内で発見されたロケット弾に信管が取り付けられていなかった理由は明らかではなく、お答えすることはできない。

8について

 平成十六年六月二十八日のイラクの完全な主権の回復(以下「主権回復」という。)前については、二千三年六月二十六日に制定された連合暫定施政当局(以下「CPA」という。)命令第十七号において、イラクで活動する「連合の要員」が、イラクの刑事・民事・行政裁判権の免除を享受し、派遣国の裁判権に服するなどの法的地位を有すると規定されており、イラクに派遣された自衛隊員は、「連合の要員」として、その法的地位が確保されていた。御指摘の「CPA指令文書」は、この旨を述べた二千三年十二月十二日付けのブレマーCPA長官(当時)発上村在イラク日本国大使館公使(当時)あて書簡を指すものと思われる。
 CPAにより発出された命令は、主権回復後においても、二千四年三月八日に制定された「移行期間のためのイラク国家施政法」第二十六条の規定により、正当に制定され効力を有する法令によって廃止され、又は修正されるまで効力を有することとされている。CPA命令第十七号は、主権回復に際して、「連合の要員」を「多国籍軍の要員」に改めるなどの改正が行われたが、その後、イラクの法令により廃止も修正もされていないことから、現在も効力を有するものである。
 主権回復後については、イラクに派遣された自衛隊員は、自衛隊が多国籍軍の中で活動していることから、CPA命令第十七号の規定により、「多国籍軍の要員」として、その法的地位が確保されているものである。

9について

 イラクに派遣している自衛隊員の安全確保は、法第九条にも規定されているように、政府の責任として真に重大であると認識しており、現地の治安情勢に応じ、様々な措置を講じて、自衛隊の部隊の安全確保に努めている。また、基本計画においては、自衛隊の部隊等の派遣期間は平成十六年十二月十四日までとされているが、その後の対応については、イラクの復興の状況、現地治安情勢等を総合的に検討して、適切に判断したいと考えている。自衛隊員に被害が生じた場合の責任の在り方については、個別の事案ごとに、具体的な状況に即して判断するべきものと考えている。



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