衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十七年十一月十一日受領
答弁第七〇号

  内閣衆質一六三第七〇号
  平成十七年十一月十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員長妻昭君提出共謀罪に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出共謀罪に関する質問に対する答弁書



一について

 犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(以下「本法案」という。)による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)第六条の二第一項に規定する「団体の活動」とは、「団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するもの」をいい、その「団体」とは、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」をいう。
 また、同項に規定する「組織により行われるものの」における「組織」とは、「指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体」をいい、「当該行為を実行するための組織」とは、同項各号に掲げる罪に当たる行為を実行することが構成員の結合関係の基礎となっている組織であり、「団体」そのものとは異なる言わば犯罪実行部隊のようなものを指すと解されている。

二について

 お尋ねのような集団が、本法案による改正後の組織的犯罪処罰法第六条の二第一項に規定する「団体」に該当するか否かは、個別具体的な事実関係の下で、当該集団が、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」に該当すると認められるか否かにより決せられることとなるものと考えており、また、同項に規定する「団体の活動として」に該当するか否かは、個別具体的な事実関係の下で、共謀に係る死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪(以下「重大な犯罪」という。)に当たる行為が、「団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するもの」として行われるものに該当すると認められるか否かにより決せられることとなるものと考えている。

三について

 お尋ねのような者らが、本法案による改正後の組織的犯罪処罰法第六条の二第一項に規定する「団体」に該当するか否かは、個別具体的な事実関係の下で、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」に該当すると認められるか否かにより決せられることとなるものと考えている。

四について

 本法案による改正後の組織的犯罪処罰法第六条の二の罪(以下「組織的な犯罪の共謀罪」という。)は、重大な犯罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの等の遂行を共謀した場合に成立し、この場合、「共謀」とは、犯罪を遂行することについて、具体的かつ現実的な合意をすることをいうと解される。
 したがって、お尋ねのような場面での話について組織的な犯罪の共謀罪が成立するか否かは、個別具体的な事実関係の下で、このような具体的かつ現実的な合意がなされたと認められるか否かにより決せられることとなるものと考えている。

五について

 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)が定める犯罪のうち、重大な犯罪としては、信号機の操作等による道路における交通の危険を生じさせる罪(同法第百十五条)及び交通事故の場合の救護義務違反の罪(同法第百十七条)がある。
 そして、これらの罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの等の遂行を共謀した場合に、組織的な犯罪の共謀罪が成立することとなる。
 この場合、「団体」とは、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」をいい、「団体の活動」とは、「団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するもの」をいい、「組織」とは、「指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体」をいうものであり、個別具体的な事実関係の下で、道路交通法上のこれらの罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの等を遂行することについて、二人以上の者が具体的かつ現実的な合意をしたと認められる場合には、組織的な犯罪の共謀罪が成立することとなるものと考えている。

六について

 組織的な犯罪の共謀罪は、重大な犯罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの等の遂行を共謀した場合に成立する。
 したがって、お尋ねのような事例について、組織的な犯罪の共謀罪が成立するか否かは、個別具体的な事実関係の下で、お尋ねのような集団が、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」に該当すると認められるか否か、共謀に係る重大な犯罪に当たる行為が、「団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するもの」として行われるものに該当すると認められるか否か、二人以上の者によりこのような犯罪に当たる行為を遂行することについての具体的かつ現実的な合意がなされたと認められるか否か等により決せられることとなるものと考えている。
 また、いったん組織的な犯罪の共謀罪が成立した場合には、その後に共謀に係る犯罪を実行しないこととしたとしても、組織的な犯罪の共謀罪の成立には影響しないものと考えている。

七について

 組織的な犯罪の共謀罪は、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成十一年法律第百三十七号)の別表に掲げる罪に当たらないが、同法の規定により通信傍受を実施する場合において、組織的な犯罪の共謀罪に関する証拠が得られることもあると考えている。
 今後、通信傍受の対象犯罪を拡大するか否かは、各種の犯罪に関する捜査の実情等を踏まえて検討すべきものと考えている。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.