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平成十八年六月二十二日受領
答弁第三七〇号

  内閣衆質一六四第三七〇号
  平成十八年六月二十二日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員川内博史君提出米国産牛肉の輸入再々開に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員川内博史君提出米国産牛肉の輸入再々開に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉に関する検疫所等における輸入手続を再開する前に、対日輸出認定施設における対日牛肉輸出証明プログラムの遵守について検証するための調査を実施することとしている。調査の結果、対日牛肉輸出証明プログラムの遵守に問題がなかった対日輸出認定施設について、米国産牛肉に関する輸入手続を再開することとしている。

一の(2)について

 農林水産省においては、対日輸出認定施設の調査と同時期に、米国における飼料規制の遵守状況、鶏ふん、養鶏残渣その他の飼料の使用状況等について調査したいと考えている。

一の(3)について

 内閣府及び農林水産省においては、米国における特定危険部位の利用禁止、動物の飼料への利用禁止等を含む飼料規制、サーベイランスの拡大・継続については、食品安全委員会が平成十七年十二月に取りまとめた「「米国・カナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性」に係る食品健康影響評価」(以下「評価書」という。)において議論の過程で問題となった米国への意見等を列挙した「結論への付帯事項」に記載されたものであり、輸入手続の再開の条件であるとは考えていない。

一の(4)について

 農林水産省においては、評価書における「結論への付帯事項」に記載されている米国における飼料規制の強化や十分なサーベイランスの拡大・継続に関するお尋ねの点については、米国政府の検討状況を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと考えている。

一の(5)について

 厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉の輸入手続の再開に当たって実施する現地調査の報告書については、可能な限り国民への説明責任を果たしたいと考えているが、当該調査が米国との合意に基づき行われるものであり、また、公にすることにより、調査対象施設となった者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害する情報を多く含むこととなると想定されることから、米国との信頼関係が損なわれることがないよう、さらには、今後の調査が困難とならないよう、開示に当たっては米国側に対し開示の範囲について確認を行い、了解を得ることが必要になると考えている。

一の(6)について

 御指摘の昨年十二月の査察結果報告書の非開示部分については、更なる開示可能な部分の有無について、米国側に再検討を要請しているところである。

一の(7)について

 厚生労働省及び農林水産省においては、御指摘の昨年十二月の査察結果報告書については、法律に基づき公表しているものではないが、可能な限り国民への説明責任を果たすために公表しているものである。公表することにより、調査対象施設となった者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあること、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあること、今後の調査が困難となるおそれがあることから、米国側に対し開示の範囲について確認を行い、その結果了解が得られたすべての情報について開示したところである。御指摘の検査官及び獣医官の人数については、公にしても競争上の地位等を害するおそれがないと考えられることから情報開示について米国側に再検討を要請している。なお、歩行困難牛や中枢神経症状を有する牛の頭数については、公にした場合には風評被害等当該施設の競争上の地位等を害するおそれがある情報に該当する可能性があると考えている。

一の(8)について

 認定施設に対する調査項目については、現在検討中であり、お尋ねについてお答えすることは困難である。

二の(1)について

 農林水産省においては、消費者の合理的な選択に資するため、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)に基づく加工食品品質表示基準(平成十二年農林水産省告示第五百十三号)において、外国で製造されたすべての加工食品について原産国名の表示を義務付けており、また、本年十月から国内で製造された加工食品のうち原料の品質が製品の品質に大きな影響を与える加工度の低い二十食品群について原料の原産国名を表示することとしている。また、「外食における原産地表示に関するガイドラインについて」(平成十七年七月二十八日付け十七総合第八百八十七号農林水産省総合食料局長通知)により、外食事業者に対し、メニューの主たる原材料等の原産地表示を行う自主的な取組を促しているところであり、引き続き、右に述べた施策を進めてまいりたい。

二の(2)について

 厚生労働省及び農林水産省においては、御指摘の情報は、民間の事業者間の取引に関するものであり、政府の責任において消費者に開示することは考えていない。

三の(1)及び(2)について

 厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等を輸入する場合の検査において、米国側の対日牛肉輸出証明プログラムの遵守状況を検証するため、米国農務省農業販売促進局(AMS)から提供をされる対日輸出施設ごとの輸出できる製品についての情報の活用、当分の間従前から行っている全ロットの製品を開梱して特定危険部位の混入や付着について目視による検査を行う箱の数を増やすことを含め、輸入時の検査の強化について検討している。

三の(3)について

 英国等で既に実施されている特定危険部位の付着検査は、我が国と同様に目視によるものであると承知している。また、厚生労働省及び農林水産省においては、御指摘の検査キットについては、検査精度の確保が困難なことなど課題が多く、現時点において米国産牛肉等を輸入する場合の特定危険部位の付着の検査等に導入することは困難であると考えている。

四の(1)について

 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(以下「vCJD」という。)と、アルツハイマー病等他の若年性認知症は、一部の症状が共通することがあるものの、異なる疾病であり、臨床症状、脳波又は磁気共鳴画像の所見が異なることから、両者を誤認する可能性は少ないと考えられる。したがって、厚生労働省においては、御指摘の「若年性認知症の登録と検査を義務化」が、何を指すのか必ずしも明らかではないが、vCJDの症例を把握する手段としては有効とは言えないと考えている。

四の(2)について

 院内感染症対策としては、日常診療における発生の可能性又は集団発生の可能性が高い院内感染に関する対策の充実・強化を図るため、厚生労働省において、平成十四年七月から「院内感染対策有識者会議」(以下「有識者会議」という。)を開催し、平成十五年九月に同会議において報告書が取りまとめられたところである。また、平成十七年一月に、院内感染の専門家から成る「院内感染対策中央会議」を設け、有識者会議の報告書の提言を踏まえた院内感染対策に関する技術的検討を行っているところである。さらに、クロイツフェルト・ヤコブ病(以下「CJD」という。)を対象とする院内感染対策について検討するため、「CJD二次感染予防に関する対策検討会」(仮称)を設置することとしている。

四の(3)について

 厚生労働省においては、歯科治療における感染予防対策について、平成五年度から歯科医師に対する感染症対策予防講習会を社団法人日本歯科医師会に委託して実施し、歯科医師の資質の向上を図ってきたところであり、平成十年度からは、歯科衛生士及び歯科技工士についても併せて講習を行い、より安全な歯科治療の提供の促進を図っているところである。
 さらに、歯科診療を含む医療行為を介したCJDの感染防止対策としては、「医療機関におけるプリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病を含む)感染防止対策の推進について」(平成十六年九月十四日付け医政指発第〇九一四〇〇一号厚生労働省医政局指導課長・健疾発第〇九一四〇〇一号厚生労働省健康局疾病対策課長連名通知)及び「医療機関におけるプリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病を含む)感染防止対策の一層の推進について」(平成十八年二月十七日付け健疾発第〇二一七〇〇一号厚生労働省健康局疾病対策課長通知)により、医療機関等に対する周知徹底を行っているところである。
 また、真空採血管及び針の周辺部分がディスポーザブルタイプでない採血用穿刺器具の感染対策については、それぞれ「真空採血管等における使用上の注意等の追加等について」(平成十七年一月四日付け薬食安発第〇一〇四〇〇一号厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)及び「採血用穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)の取扱いについて」(平成十八年三月三日付け薬食安発第〇三〇三〇〇一号厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)により、添付文書における使用上の注意の改訂等を製造販売業者に指示するとともに、医療機関に対し注意喚起を行う等周知徹底に努めているところである。

四の(4)について

 厚生労働省においては、御指摘の十九品目の医薬品のうち、リツキシマブについては、平成十八年四月二十五日以降に出荷されたものから、米国産の牛由来の原材料をオーストラリア産又はニュージーランド産の牛由来の原材料に切り替えた旨の報告を受けている。なお、当該十九品目の医薬品のうち、イミグルセラーゼについては同月十日以降に、オクトコグアルファについては同月十二日以降に、乾燥濃縮人活性化プロテインCについては同月二十六日以降に出荷されたものから、米国産の牛由来の原材料を植物由来の原材料等、他の原材料に切り替えた旨の報告を受けている。
 厚生労働省においては、現時点において、米国産の牛由来の原材料が使用されている残りの十五品目の医薬品についても、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)に基づく生物由来原料基準(平成十五年厚生労働省告示第二百十号)において医薬品への使用が認められている国を原産国とする原材料への切替えや、牛由来の原材料以外の原材料への切替えを指導しているところであるが、これらの医薬品については、原材料の切替えに際して、安定的な原材料の供給確保や、原材料の変更による医薬品の品質、有効性及び安全性に変化が生じないことの確認等に時間を要していること等から、切替えがなされていない旨の報告を受けている。

四の(5)について

 衆議院議員川内博史君提出BSE問題に対する答弁書(平成十七年十一月十八日内閣衆質一六三第四三号)三の(7)についてでお答えしたとおり、厚生労働省としては、御指摘のエタネルセプト製剤については、その治療上の効果がリスクを上回るものと判断し、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いた上で、平成十七年一月十九日に薬事法に基づく輸入承認を行ったところであり、また、当該輸入承認後、海外におけるエタネルセプト製剤投与中のCJD発症例に関する報告について薬事・食品衛生審議会伝達性海綿状脳症対策調査会において検討を行った結果、国内での販売を見合わせる必要はないとの結論を得たところである。その後も、エタネルセプト製剤の安全性等について問題となる新たな知見は得られていないことから、現時点においても、その治療上の効果は、リスクを上回るものと考えている。

四の(6)について

 御指摘の「タミフル」に用いられているカプセルの原材料となるゼラチンについては、我が国における発売当初は米国産の牛由来のゼラチンが使用されていたが、厚生労働省においては、平成十六年十月十八日以降に出荷されたものから、オーストラリア産、ニュージーランド産、アルゼンチン産又はインド産の牛由来のゼラチンに切り替えた旨の報告を受けている。

四の(7)について

 世界保健機関が、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄を促すとともに、ノイラミニダーゼ阻害剤が治療に効果的であるとの見解を示していることにかんがみ、厚生労働省においては、ノイラミニダーゼ阻害剤のうち、国内の流通量が多く、使用期限が長い「タミフル」を備蓄することとしたものである。
 また、四の(6)についてで述べたとおり、「タミフル」に用いられているカプセルの原材料については、平成十六年十月十八日以降に出荷されたものから、米国産の牛由来のゼラチンは使用されていない旨の報告を受けており、国及び都道府県において備蓄している「タミフル」のほとんどは同日以降に出荷されたものである。
 厚生労働省の調査によれば、同日前に出荷されたものについては、六府県において、極めて少数が備蓄されているが、同日前に出荷された「タミフル」に使用されているゼラチンについてもアルカリ処理がなされていることから、通常使用される範囲では、公衆衛生上のリスクは回避されていると考えている。

四の(8)について

 牛乳及び乳製品については、国際獣疫事務局のBSEコード第2.3.13.1において、「輸入又は経由を承認するに当たって、獣医当局は、輸出国、地域又はコンパートメントにおける牛群のBSEリスクに係るステータスにかかわらず、BSEに関連したいかなる条件をも要求すべきではない」とされており、我が国において御指摘の輸入の規制は行っていない。
 成長ホルモン剤については、食品の安全性を確保する観点から規制の必要性があると判断したものについては、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第十一条第一項及び第三項に基づき、厚生労働大臣が食品等の成分につき規格等を定めており、当該規格等に合わない牛乳については、その販売等が禁止されているところである。
 牛乳の過酸化脂質が健康に与える影響については、厚生労働省において、現時点では承知していない。なお、牛乳については、食品衛生法第十一条第一項に基づく乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二十六年厚生省令第五十二号)において牛乳の成分に関する規格等を定めることにより、公衆衛生の確保を適切に図っているところである。

四の(9)について

 旧独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所プリオン病研究センターが平成十七年度において、北海道の協力を得て実施したエゾシカについてのシカの慢性消耗病(以下「CWD」という。)の検査によると、CWDのエゾシカの存在は確認されていない。また、CWDが人に伝達するかどうかについては、現時点では、科学的に明らかになっていないと承知している。このため、現時点において「食品安全委員会のリスク評価」を行う考えはない。

五の(1)について

 御指摘の前委員については、あらかじめ食品安全委員会事務局から再任の打診を行っており、本人から辞退の意向が示されたため、再任を行わなかったものである。

五の(2)について

 非定型の牛海綿状脳症に関する科学的評価は、現時点で定まっていないと承知しており、御指摘の「「米国型BSE」が存在する可能性」のお尋ねについて、お答えすることは困難である。
 また、評価書の中では、食品安全委員会プリオン専門調査会において、伝達性ミンク脳症のBSEリスクについて検討されたことが記述されている。このため、現時点において「食品安全委員会での評価」を行う考えはない。

五の(3)について

 厚生労働省においては、タウリンの主な原材料である牛肝臓及び胆汁については、特定危険部位とされておらず、現時点においては、タウリンの使用の制限が必要であることを示す知見については承知していないため、御指摘の検討等を行うことは考えていない。

五の(4)について

 食品衛生法第十九条の規定に基づき、厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、食品等に関する表示の基準を定めている。輸入が認められている食品の原産地については、食品に起因する公衆衛生上の問題と直接結びつくものではないと考えられることから、公衆衛生の見地から、すべての牛関連材料の原産地表示を義務付けることは、現時点において必要はないと考えている。医薬品における牛由来原材料の使用については、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、薬事法第四十二条に基づき生物由来原料基準を定めるなどその安全確保措置を講じていることから、すべての牛由来原材料の原産地表示を義務付けることは、現時点において必要はないと考えている。



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