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平成十八年十二月二十二日受領
答弁第二四七号

  内閣衆質一六五第二四七号
  平成十八年十二月二十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員岡本充功君提出感染症予防に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員岡本充功君提出感染症予防に関する質問に対する答弁書



一について

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(平成十八年法律第百六号。以下「一部改正法」という。)による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「新感染症法」という。)の施行の際、現に二種病原体等を所持している者は、一部改正法の施行の日から三十日を経過するまでの間に厚生労働大臣に対し所持の許可を申請しなければ、引き続き所持を行うことはできないものとされていることから、新感染症法施行の三十日後には、申請の数により適法に二種病原体等を保有しようとする施設の数を把握できると考えている。

二について

 新感染症法第六条第十六項において「「病原体等」とは、感染症の病原体及び毒素をいう。」と規定するとともに、同条第十九項において「一種病原体等」は同項の各号に掲げる病原体等をいうと規定しており、「一種病原体等」の「等」は「感染症の毒素」をいうものである。
 一種病原体等については、強い感染力等を有し、十分な治療法も存在しないことから、仮に広域な範囲に発散された場合には、その適正な管理が不可能となるばかりでなく、不特定又は多数の人の生命、身体又は財産に重大な危害を及ぼすおそれがあることから、新感染症法第六十七条第一項又は第二項に規定する罪(以下「発散罪等」という。)を新設したところであるが、これは、殺人罪や殺人未遂罪では、殺意を持って人の生命に対する現実的危険性のある行為を開始しなければ処罰の対象とならないため、一種病原体等の発散による危険防止として必ずしも十分とは言えないためである。
 発散罪と殺人罪又は殺人未遂罪(以下「殺人罪等」という。)との関係については、殺意を持って発散罪等に該当する行為を行った場合には殺人罪等が成立する場合が多いと考えられるが、例えば動植物等の器物を損壊する意図で、殺意を持たずに発散罪等に該当する行為を行ったときは、殺人罪等が成立しない場合であっても、発散罪等が成立し得、また、新感染症法第六十九条第二項に規定する罪が成立する場合に、行為者が行った行為の具体的内容や故意、目的といった主観的要素等の事実関係によっては殺人予備罪が成立する場合もあり得ると考えられる。
 殺人未遂罪と発散罪等の罪数関係については、殺人未遂罪と発散罪等が併合罪となる場合も考えられるが、殺人未遂罪及び発散罪等の罪名に触れる行為が、刑法(明治四十年法律第四十五号)第五十四条第一項にいう「一個の行為」に該当する場合には、いわゆる観念的競合の関係に立ち、科刑上一罪として処理されることになるものと考えられる。いずれにせよ、個別具体的な事案に即して判断されるものであると考える。

三について

 痘そうワクチンの備蓄量を公表することにより、痘そうウイルスの悪用を試みようとする者に対してもその情報が明らかとなり、我が国のテロ対策の観点から適切でないことから、政府として、備蓄量について現在公表しておらず、また、今後も公表する考えはないが、現時点においては、テロ対策及び生物兵器対策として十分な備蓄を行っているものと考えている。

四について

 政府としては、狂犬病予防のための取組として、旅行者等に対する狂犬病予防対策の周知のほか、特に狂犬病発生の多い地域の渡航者に対するワクチン接種等の事前対応及び狂犬病の発生地において動物に咬まれるなどにより受傷した場合における暴露後のワクチン接種等の発症予防措置について、適切な対応が行われるよう対応要領を作成し、これを「狂犬病の流行地域より帰国し、当該疾病への感染が疑われる患者の診療等に関する周知の徹底について」(平成十八年十一月十六日付け健感発第一一一六〇〇三号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)により、地方自治体及び医師会等関係団体に対して通知しているところである。

五について

 新感染症法における規制は、生物テロを含む人為的な感染症の発生を未然に防止するためのものであるが、テトロドトキシンは、感染症の病原体によって産生される物質でなく、感染症を発症させるものではないことから、新感染症法の規制の対象とはしていない。
 また、感染症の病原体によって産生される物質に該当しないものについて生物テロ対策として他の法令等で規制することは、現時点においては考えていない。

六について

 インフルエンザ(H五N一)については、インフルエンザ(H五N一)を指定感染症として定める等の政令(平成十八年政令第二百八号)により指定感染症に指定し、迅速なまん延防止対策をとれるよう法的に体制を整備しているところである。新感染症法上の位置付けを今後どのようにするべきかについては、二年以内を目途に科学的知見を踏まえて十分に検討し、その結果を踏まえて対応してまいりたい。

七について

 プリオン病は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成十年厚生省令第九十九号)第一条において、クロイツフェルト・ヤコブ病として五類感染症に位置付けられているが、一部改正法施行後においても同様に五類感染症に位置付けることとしている。なお、クロイツフェルト・ヤコブ病の原因と考えられているプリオンについては、その感染力や潜伏期間等に照らし、また、米国疾病管理センターの危険度優先分類等の対象からも外れていることなどを総合的に勘案し、新感染症法の規制対象としない予定である。
 また、急性灰白髄炎については、新感染症法においても二類感染症に分類され、その病原体であるポリオウイルスは、国際的に危険物輸送の規制の対象となっており、その適切な取扱いや安全管理が必要であること等から、四種病原体等として規制対象としているところである。
 今後新たな病原体等が出現した際には、生物テロを含む人為的な健康被害の可能性、病原体等の適切な取扱いや安全管理の必要性等を考慮し、さらに病原体等が引き起こす感染症の感染力、重篤性や国際的な規制の動向を総合的に勘案して判断し、政府として、その都度、適時適切に対応してまいりたい。

八について

 新感染症法に基づく入院措置等の結果として生ずる損失に対する補償を行うことについては、新感染症法に基づく入院措置等が、周囲の者に感染症をまん延させることを防止するためのものであること、その期間はまん延を防止するため必要な最小限度のものであること、当該入院措置等は本人の健康回復のためにも資すること等から、一般に必要最小限の措置として個人が受忍可能な範囲を超えているとは考えていない。
 また、新感染症法第二十四条の二に規定する苦情の申出に対しては、都道府県知事が、誠実に処理し、その結果を申出をした者に通知する義務を負っており、当該苦情の内容についても、必要に応じ、都道府県において適切に処理されるものと考えている。

九について

 一類感染症については、現在のところ国内における発生実績はないが、感染症の国内への侵入を防ぐための検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)に基づく各般の措置を行うとともに、一部改正法による改正前の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「旧感染症法」という。)に基づく迅速な情報の把握、発生時の患者の医療等の措置を講じているところである。また、新型インフルエンザ対策としては、昨年十一月に鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議において了承された「新型インフルエンザ対策行動計画」に基づき各般の取組を進めているところであり、本年六月には、インフルエンザ(H五N一)を指定感染症に指定し、迅速なまん延防止対策をとれるよう法的に体制を整備するとともに、九月には、内閣官房が中心となり、関係省庁新型インフルエンザ対応机上訓練を実施するなど、発生時に向けた体制整備に努めているところである。
 感染症の患者の搬送については、旧感染症法第十条の規定により各都道府県が策定する予防計画に基づき、患者の迅速かつ適切な移送のための体制の整備を行ってきたところであり、その体制の整備が順調に行われてきているものと考えている。また、搬送に伴うアイソレーター等の機器や感染予防のためのマスク等についても、都道府県等が所要量を確保できるよう国がその経費の一部を負担しているところである。なお、新型インフルエンザ発生時における患者の移送の体制については、厚生労働省に設置されている新型インフルエンザ専門家会議において検討を行っているところであり、その結果を踏まえ、一層の充実を図っていくこととしている。
 また、第一種感染症指定医療機関のない都道府県については、未指定で、かつ、指定の見込みが立っていない都道府県に対して個別にヒアリングを行うとともに、第一種感染症指定医療機関の指定事例等を収集・分析するなど、指定が推進されるよう必要な対応をとることとしている。指定時期の見込みについては、指定を行う主体が都道府県知事であることや、各地域において感染症指定医療機関としての機能を担える病院の設置状況に差があること等から、政府として確定的な時期の見込みを示すことは困難であるが、感染症の医療を含む地域の医療を担う都道府県において、その実情に応じ早急に指定が行われるよう促していくこととしており、現時点においては、特段の新たな取組又は法令の整備を行うことが必要とは考えていない。
 パンデミック時の入院患者の受入医療機関の確保については、「新型インフルエンザに係る医療を提供する体制の確保について(要請)」(平成十七年十二月十六日付け健感発第一二一六〇〇一号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)により都道府県に対し要請しているほか、現在、新型インフルエンザ対策行動計画に基づき、各般のガイドラインの整備を進めているところである。政府としては、都道府県に対し、第一種感染症指定医療機関を含む病床の確保等についてより具体的な医療提供体制整備の方針を示しつつ、既に確保した医療提供体制についてリストの作成を要請し、都道府県における整備状況を把握することにより、各都道府県における受入病床数についても、把握できるものと考えている。



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