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平成十九年七月十日受領
答弁第四五三号

  内閣衆質一六六第四五三号
  平成十九年七月十日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員保坂展人君提出日本・フィリピン経済連携協定等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出日本・フィリピン経済連携協定等に関する質問に対する答弁書



一について

 第百六十五回国会において承認された経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(以下「日フィリピン経済連携協定」という。)の交渉においてフィリピン側が当初提示した譲許表案の内容を明らかにすることは、フィリピンとの信頼関係を損ない、また、他国との今後の交渉上不利益をもたらすおそれがあると認められることから、困難である。

二について

 今国会において承認された経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定については、タイ側の公聴会で交渉中のリストが公開されたとは承知していないが、一般論として申し上げれば、仮に経済連携協定の交渉中に提示した譲許表案が公開された場合において、これにより我が国が交渉上の不利益を被ったか否かについて述べることは、他国との今後の交渉上不利益をもたらすおそれがあるため、困難である。

三について

 経済連携協定の交渉開始に先立って譲許表案を説明しなかったのは、これが明らかになることにより、相手国との信頼関係が損なわれ、他国との交渉上不利益を被るおそれが生ずると認められたことによるものである。

四及び八について

 日フィリピン経済連携協定の交渉の結果、譲許表に記載する関税譲許の対象に廃棄物が含まれることとなったのは、日本及びフィリピンの双方が、可能な限り多くの品目について関税を撤廃し、又は削減するとの観点から関税の譲許に努めたことによるものである。
 なお、日フィリピン経済連携協定に基づき関税が撤廃又は削減される品目に属する物品であっても、日本及びフィリピンが締結している有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(平成五年条約第七号。以下「バーゼル条約」という。)上の有害廃棄物に該当するものであれば、当該物品の輸出入はバーゼル条約に基づき規制されることとなる。

五について

 御指摘の北米自由貿易協定(以下「NAFTA」という。)は、我が国が締結しているものではなく、政府としては、NAFTAの譲許表とバーゼル条約の関係についてお答えする立場にはない。

六について

 日フィリピン経済連携協定に基づく関税上の特恵待遇を受けて貨物を輸入するためには、輸入申告の際に当該貨物が日フィリピン経済連携協定に規定する原産品であることを証明する原産地証明書の提出が必要となるが、日フィリピン経済連携協定においては、関税譲許の対象とされることによって貿易手続が簡素化されるといった措置は規定されていない。

七について

 日フィリピン経済連携協定の発効は、バーゼル条約における有害廃棄物の定義やバーゼル条約が規定する輸出入の手続に変更を及ぼすものではない。

九について

 政府としては、経済連携協定の見直しのための交渉を行うに当たっては、相手国との信頼関係が損なわれ、他国との交渉上不利益を被ることとならないよう留意しつつ、適切な情報提供に努めてまいる所存である。

十及び十一について

 中古テレビについては、フィリピンからバーゼル条約第三条1の規定に基づく自国の法令により有害廃棄物であるとの通報がなされておらず、また、バーゼル条約附属書\のB一一一〇において、直接再利用(修理、更新又は改良を含み、主要な再組立を含まない。以下同じ。)を目的として再生利用又は最終処分を目的としない電気部品及び電子部品は、バーゼル条約第一条1(a)に規定する廃棄物に該当しないとされていることから、フィリピンに輸出される中古テレビについては、直接再利用に適するか否かを調べることとしている。その際には、書類審査、貨物の確認等の方法により、税関、環境省及び経済産業省が緊密に連携しつつ、直接再利用に適するか否かを判断することとしており、御指摘のような性能テストを行うこととはしていない。

十二について

 我が国から輸出される中古テレビは、直接再利用に適すると判断された場合にのみフィリピンに輸出されているが、バーゼル条約第九条2の規定によれば、仮に、廃棄物の国境を越える移動が「輸出者又は発生者の行為の結果として」不法取引となる場合には、輸出者、発生者又は我が国が引き取ること又はこれが実際的でないときは、バーゼル条約の規定に従って処分を行うことを確保することとなる。

十三について

 主要な再組立は直接再利用に含まれないことから、主要な再組立が行われることを目的として中古テレビが輸出される場合には、当該中古テレビは、バーゼル条約における有害廃棄物に該当することとなり、その規制対象となるものと考えられる。

十四について

 使用済みテレビのフィリピンでの使用寿命については、承知していない。

十五について

 十及び十一について、十二について、十三について並びに十四についてお答えした趣旨は、使用済みパソコンについても同様である。

十六について

 御指摘の「バーゼル条約崩し」の趣旨は必ずしも明らかではないが、バーゼル条約第十一条では、「二国間の、多数国間の又は地域的な協定又は取決めを締結することができる。」と規定されており、また、仮に、当該協定又は取決めを締結する場合には、「当該協定又は取決めは、特に開発途上国の利益を考慮して、この条約の定める規定以上に環境上適正な規定を定めるものとする。」と規定されている。
 御指摘の調査事業は、アジア域内における資源の有効利用及び環境汚染の防止を図るために、バーゼル条約の規定に基づいてこのような協定又は取決めが満たすべき条件等について明らかにすることを目的として行ったものであり、当該調査事業が「二国間協定による有害廃棄物貿易の推進とバーゼル条約崩しが国の意図であることを明確に示している」との御指摘は当たらないものと考えている。

十七について

 日フィリピン経済連携協定の国会における審議に当たっては、フィリピンの譲許表を含む正文である英語による文書はすべて国会に提出の上、審議されたところである。フィリピンの譲許表等については、技術的かつ専門的な内容であること、相手国独自の商品説明や国内法に基づく表記が見られ、日本語にするとかえって分かりにくくなる場合があること等の理由により、我が国とフィリピンとの間の交渉過程において折衝の対象となった品目及び分野並びに相手国との間の貿易投資関係の実態がある品目及び分野について日本語の抄訳を作成し、参考資料としてすべての国会議員に配布することとしたものである。

十八について

 バーゼル条約の改正については、千九百九十五年九月の採択の後、現在に至るまで発効していない。また、有害廃棄物の再生利用については、環境保全の観点から適切に行われるものであれば、環境面でも経済面でも有効なものであることから、締約国の間で現在引き続き国際的な議論が行われている。我が国が千九百九十五年のバーゼル条約の改正を締結することは、環境保全の観点から適切な再生利用のための輸出を行うことが制限される結果、今後資源需要が増大する国々における再生利用の可能性を減少させるおそれがあるため、国際的な議論の進展を勘案しつつ、慎重に検討していく考えである。



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