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答弁本文情報

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平成十九年七月十七日受領
答弁第四六七号

  内閣衆質一六六第四六七号
  平成十九年七月十七日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員長妻昭君提出「消えた年金」問題の安倍総理の不作為責任等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出「消えた年金」問題の安倍総理の不作為責任等に関する質問に対する答弁書



一の1について

 年金記録の問題については、昨年の暮れから今年の初めにかけて、厚生労働省から内閣総理大臣官邸に報告があり、その際、この問題の重要性にかんがみ、安倍内閣総理大臣より、年金記録の実態把握等に努めるよう指示があった。その後、衆議院厚生労働委員長に対し、「国民年金・厚生年金の納付した保険料の記録が消滅する事案等に関する予備的調査(松本剛明君外四十二名提出、平成十八年衆予調第四号)についての報告書」が提出され、社会保険オンラインシステムによって管理している基礎年金番号が付されていない又は基礎年金番号に統合されていない年金手帳記号番号に係る記録(以下「未統合の記録」という。)が約五千万件あることが報告され、この報告について、実態を詳しく精査するよう、安倍内閣総理大臣から厚生労働省に対して指示があった。また、こうした実態把握を踏まえ、従来にない大がかりで抜本的な対策を講じる必要があると判断し、平成十九年五月下旬に、パッケージとして具体的な対策をまとめるよう、重ねて指示があったところである。

一の2の@及びCについて

 御指摘の安倍内閣総理大臣の発言は、年金記録の問題の重要性を認識した上での答弁であり、この問題の具体的実態やパッケージとしての解決方策を示すことなく緊急事態宣言を出すといったことは問題があるとの考えを示したものであり、方針は転換していない。

一の2のA及びBについて

 政府としては、平成十九年七月五日に年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会において取りまとめた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」に基づき、「ねんきん特別便」として、すべての国民年金又は厚生年金保険の受給権者又は被保険者(以下「受給権者等」という。)に対して、国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間の加入履歴(以下「加入履歴」という。)をお知らせすることとしている。
 具体的には、受給権者等に係る記録及び未統合の記録の名寄せ(以下「名寄せ」という。)の結果、まず、未統合の記録を基礎年金番号へ統合することができると思われる受給権者等に対して、平成十九年十二月から平成二十年三月までを目途に、その旨と加入履歴をお知らせすることとしている。次に、名寄せの結果、当該お知らせの対象とならなかった受給権者等についても、加入履歴をお知らせすることとし、そのうち、現に年金を受給している者については、同年四月及び五月を目途に優先してお知らせし、それ以外の者については、同年六月から十月までを目途に、順次お知らせすることとしている。

一の3について

 御指摘の安倍内閣総理大臣の発言は、年金記録の問題の重要性を認識した上で、年金記録相談の特別強化体制における相談窓口での記録の確認のうち、既に基礎年金番号に統合済みであったものが八十五パーセントを超え、これを含めてその場で確認できたものが九十八パーセントを超えていること等を踏まえ、大部分の方の記録が真正である旨答弁したものであるが、今後、平成十九年七月五日に年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会において取りまとめた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」に基づき、「ねんきん特別便」として、すべての受給権者等に対して加入履歴をお知らせすること等により、すべての受給権者等が本来受け取ることができるはずの年金を受け取ることを実現することとしている。

一の4について

 御指摘の安倍内閣総理大臣の発言は、年金記録の問題の重要性を認識した上での発言であり、政府として国民に年金に対する不安を与えることのないよう努力をしなければならない旨を示したものである。

二の1について

 国民年金の被保険者台帳のうち、特例納付記録、前納記録、一部未納記録等を記録した台帳(以下「特殊台帳」という。)以外の台帳(以下「普通台帳」という。)については、昭和五十九年のオンライン化により磁気ファイルによる管理に切り替えることとしたため、磁気ファイルに収録した記録と被保険者台帳の記録の突合せ及び補正を行った上で廃棄することとしたものであるが、普通台帳の全体数が把握できていないため、現存する普通台帳の普通台帳全体に占める割合については、お答えすることができない。
 また、現存する普通台帳については、その保管状況等の調査を行い、現在、その結果を精査中であるため、現時点でその件数をお答えすることは困難である。

二の2について

 普通台帳は、二の1についてで述べたとおり、磁気ファイルに収録した記録との突合せ及び補正を行った上で廃棄することとしたものであり、廃棄命令については、その突合せ及び補正が正確に行われることを前提に行ったものである。
 なお、御指摘の通知に係る決裁の経緯については、現在、確認中である。

二の3について

 特殊台帳のマイクロフィルム化については、特殊台帳の検索を容易にし業務処理の効率化を図ること、紙の破損又は摩耗による記録の消失を防止すること、業務を行う場所を確保することなどを目的に昭和六十年度から六十三年度にかけて実施したものであるが、昭和五十九年のオンライン化の際に、磁気ファイルに収録した記録とオンライン化時点における加入者に係る被保険者台帳の記録との突合せ及び補正を行ったこと等を踏まえ廃棄することとしたものであり、廃棄命令については、その突合せ及び補正が正確に行われること等を前提に行ったものである。

二の4について

 国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合では、現役組合員、年金受給権者等の加入記録については、すべて組合員原票等を保管することとされており、その一部についてマイクロフィルム化しているが、マイクロフィルム化した原票等を廃棄した事例は承知していない。
 組合員原票等については、国家公務員共済においては、昭和三十三年十月十一日に施行された国家公務員共済組合法施行規則(昭和三十三年大蔵省令第五十四号)に基づき、その処理の終わった翌事業年度から起算して十年間保存することとされている。
 地方公務員共済においても同様に、昭和三十七年十二月一日に施行された地方公務員等共済組合法施行規程(昭和三十七年総理府・文部省・自治省令第一号)に基づき、その処理の終わった翌事業年度から起算して十年間保存することとされている。
 これに対し、国民年金の被保険者台帳については、共済年金と比べてその件数が膨大なものであるため、業務処理の効率化や業務を行う場所の確保等の観点から、二の1について及び二の3についてで述べたとおり、磁気ファイルに収録した記録と被保険者台帳の記録の突合せ及び補正等を行った上で、当該台帳を廃棄することとしたものである。

三について

 厚生年金保険の被保険者名簿及び被保険者原票(以下「名簿等」という。)のマイクロフィルム化については、当該名簿等の検索を容易にし業務処理の効率化を図ること、紙の破損又は摩耗による記録の消失を防止すること、業務を行う場所を確保することなどを目的に、昭和五十一年から平成四年にかけて実施し、その後、当該名簿等については廃棄されたところであるが、これに係る通知や規定の存在については現時点において確認することができない。

四の1について

 政府としては、一の2のA及びBについてでお答えしたとおり、平成十九年十二月から平成二十年三月までを目途に、未統合の記録について名寄せを実施し、未統合の記録を基礎年金番号へ統合することができると思われる受給権者等に対して、その旨と加入履歴をお知らせすることとしている。
 また、社会保険庁のマイクロフィルムの記録や市町村(特別区を含む。)が保有する国民年金被保険者名簿等の記録と社会保険オンラインシステムにおいて管理する記録の突合せ作業については、計画的に実施し、進捗状況を半年ごとに公表することとしている。
 いずれも、現在、その実施に当たっての具体的な手法等について検討しているところであり、現時点でお尋ねの「人・モノ・カネ」についてお答えすることは困難である。

四の2の@について

 一の2のA及びBについてでお答えしたとおり、平成十九年十二月から平成二十年三月までを目途に名寄せを実施し、これにより基礎年金番号への統合を進めることとしているが、未統合の記録を基礎年金番号へ統合するには、本人等の確認が必要であることなどから、その具体的な終了時期をお答えすることは困難である。

四の2のAについて

 名寄せを行った結果、未統合の記録を基礎年金番号へ統合することができると思われる受給権者等が既に死亡していた場合は、遺族年金の受給者にお知らせを送付し確認をとるなどの方法により、基礎年金番号への統合を進めることとしているが、その具体的な終了時期をお答えすることは困難である。

四の3について

 政府としては、一の2のA及びBについてでお答えしたとおり、平成十九年十二月から平成二十年三月までを目途に名寄せを実施し、その結果、未統合の記録を基礎年金番号へ統合することができると思われる受給権者等に対し、その旨と加入履歴をお知らせすることとしている。また、今般成立した厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(平成十九年法律第百十一号)を円滑に施行することとしている。このような取組等を進めることにより、すべての受給権者等が、年金記録の訂正により増額した年金の受給権について消滅時効が完成した場合も含め、本来受け取ることができるはずの年金を受け取ることを実現してまいりたい。

四の4の@について

 お尋ねのビラの内容については、政府としてお答えする立場にない。

四の4のAについて

 御指摘の質疑の翌日に、当該質疑の内容について自由民主党に連絡を済ませたところである。

五について

 お尋ねのケースについては、障害年金等の受給権者について、厚生年金保険の記録が一部判明し、その結果、年金額の計算の基礎となる平均標準報酬月額が当初裁定した際の額よりも低額となった場合に生じる可能性はあり、この場合においても、本人の申請等により、本人の記録を訂正した上で正しい年金額を決定することとなる。

六について

 現時点では、お尋ねのような事例は承知していない。

七について

 社会保険オンラインシステムによって管理している記録において、お尋ねの氏名が収録されていない記録が存在することは承知している。この場合においても、本人の生年月日や職歴等を確認すること等により、基礎年金番号への統合を行うことができたものもある。
 また、未統合の記録のうち、氏名が収録されていない件数については、今後、統合作業を行う中で把握することとしている。

八の1について

 「年金記録問題検証委員会」(以下「検証委員会」という。)については、その運営方針に基づき、委員会を非公開とし、議事録は公表しないこととされている。また、「年金記録確認第三者委員会」(以下「第三者委員会」という。)については、「年金記録確認中央第三者委員会運営規則」(以下「運営規則」という。)に基づき、会議を非公開とし、議事録は公開しないこととされている。

八の2及び5について

 検証委員会については、その性質上、その議事の過程を公表することが率直な意見の交換や意思決定の中立性を損なうおそれがある等の理由から、検証委員会の判断として、非公開とされたものである。なお、検証委員会の議事については、座長が、検証委員会開催後に原則として記者会見を行うとともに、議事要旨により公表することとされている。
 また、第三者委員会については、個別事案を基に検討している過程を公表することが率直な意見の交換や意思決定の中立性を損なうおそれがあることから、運営規則において、会議及び議事録を非公開とすること、議事要旨を作成し公開することとされている。

八の3及び4について

 検証委員会及び第三者委員会を非公開とすることは、いずれも、それぞれの委員会の合議で決定されたものである。

八の6について

 検証委員会において公表することとされているのは、議事要旨である。また、配付資料についても座長が公表すると判断したものは公表することとしている。
 第三者委員会において公表することとされているのは、議事要旨である。また、運営規則において「この規則に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、それぞれ委員長が定める」と規定されており、配付資料についても、委員長が差し支えないと判断したものは公開することとしている。

八の7について

 検証委員会及び第三者委員会において非公開とされた書類名や審議の概要については、非公開とされた趣旨に反するのでお示しすることはできない。

八の8について

 八の1についてで述べたとおり、検証委員会及び第三者委員会は、非公開とされている。

八の9について

 検証委員会については、八の1についてで述べたとおり、委員会は非公開とし、議事録も公表しないとされている。また、第三者委員会については、八の1についてで述べたとおり、委員会は非公開とし、議事録も非公開とされている。仮に、これらの議事録について行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)等に基づく開示請求が行われた場合には、同法等の規定に基づき開示の可否等を判断することとなる。



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