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平成十九年十月九日受領
答弁第六四号

  内閣衆質一六八第六四号
  平成十九年十月九日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員前原誠司君提出国際海上コンテナの陸上輸送における安全対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員前原誠司君提出国際海上コンテナの陸上輸送における安全対策に関する質問に対する答弁書



一について

 平成十七年十二月二十八日付けで国土交通省ほか六省庁により取りまとめられた「国際海上コンテナの陸上における安全輸送ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)の実効性を高めるため、国土交通省自動車交通局長からトラック事業者を始めとして荷主、船社、海貨事業者及びターミナルオペレーターの関係団体に対して、平成十九年三月二十日付けで周知徹底のための通知を発出するとともに、同年四月から六月までの間に、これらの団体及び当該団体に所属する事業者に対して説明会を実施したところである。
 また、ガイドラインにおいては、トラック事業者や運転者への情報開示や伝達についても定めているところである。
 今後とも、ガイドラインについての説明会の実施等を通じて、その内容の周知徹底に努めていく考えである。

二について

 国際海上コンテナの陸上輸送における安全確保については、受荷主、船社、ターミナルオペレーター、トラック事業者等の各主体がコンテナ内における貨物の積付け状況等の情報を共有し、連携して取り組むことが重要であることから、各主体の役割分担を明らかにしているガイドラインの確実な実施を図っていくことが必要であると考える。
 御指摘の「片荷、過積載などの不具合のある国際海上コンテナを公道に出さない措置」については、ガイドラインにおいて、ターミナルオペレーターが国際海上コンテナの偏荷重、過積載等を把握した場合には、関係法令に抵触しないようにするために必要な措置が講じられるよう、この情報を船社、トラック事業者等に伝達することとしている。それに加え、国土交通省においては、ターミナルオペレーターが国際海上コンテナの偏荷重、過積載等をより的確に把握できるようにするため、平成十九年度からコンテナターミナルにおける偏載監視施設の整備を推進するための支援制度を設けている。これらの取組を通じて、国際海上コンテナの陸上における安全輸送が図られるよう適切に対応してまいりたい。

三について

 荷主による国際海上コンテナの陸上における安全輸送に向けた取組は重要であると認識しており、経済産業省及び国土交通省が連携して、改めて荷主に対するガイドラインの周知徹底に努めてまいりたい。

四について

 国際機関における国際海上コンテナ輸送の安全対策に関する基準としては、その海上における輸送に係る部分の作成については、国際海事機関において千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約(昭和五十五年条約第十六号)に基づく国際海上危険物規程等の基準が設けられており、我が国も同条約を締結し、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)に基づく危険物船舶運送及び貯蔵規則(昭和三十二年運輸省令第三十号)等においてこれを担保している。一方、その陸上における輸送に係る部分の作成については、我が国におけるガイドラインへの取組の状況を踏まえつつ、その必要性を把握してまいりたい。

五について

 運輸省(当時)では、国際標準化機構の定める規格(以下「ISO規格」という。)の四十フィート及び二十フィートの国際海上コンテナが、最大積載できずに輸送されている実態を解消し、国際物流の円滑化を図るため、平成十年に当該コンテナを最大積載した車両の通行を可能とする規制緩和を行った。
 一方、最大積載したISO規格の二十フィートの国際海上コンテナを、それまで使用されていた車軸が二軸ある、被けん引自動車(以下「トレーラ」という。)に積載した場合には、当該トレーラの車軸の重量が、車両制限令(昭和三十六年政令第二百六十五号)に規定する基準を超えること、及び当該コンテナの重量が道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)に基づく最大積載量を超えることから、当該コンテナの輸送に対応した車軸が三軸あるトレーラに積載して通行する必要があるが、関係団体からの要望を踏まえ、既存の車両の更新時期に合わせて計画的に新たな車両の購入がなされるよう、平成十年四月から平成二十年三月までの十年間、安全上必要な措置を講じた車軸が二軸あるトレーラに、最大積載した国際海上コンテナを積載して通行することを認める経過措置(以下「経過措置」という。)を講じたものであり、これらの規制緩和措置及び経過措置は適切なものであると考える。
 なお、トラック事業の経営への支援については、国土交通省において、輸送効率の向上や環境・安全対策の充実を図るため、従来から車両の買換えに対する補助、税制上の特例措置及び低利融資並びに無担保融資を行っている。
 また、トラック協会による運輸事業振興助成交付金を活用した支援措置が講じられていると承知している。

六について

 国土交通省の保有する自動車登録ファイルに登録されている、けん引自動車(以下「トラクタ」という。)及びトレーラの台数を集計したところ、平成十九年三月末現在において、最大積載したISO規格の国際海上コンテナに対応したトラクタは七千四百四十台、最大積載したISO規格の国際海上コンテナに対応したトレーラは五千七百八十七台である。また、御指摘の社団法人全日本トラック協会が平成十八年度に行った調査については、承知している。
 国土交通省としては、引き続き社団法人全日本トラック協会への指導を通じて、物流に大きな支障を来さないようトラック事業者のISO規格の国際海上コンテナに対応したトレーラ等への買換えを促進していくとともに、トラック事業者を含め関係者により法令が遵守されるよう、都道府県、都道府県警察、地方運輸支局等からなる過積載防止対策連絡会議の活用や、関係者に対してのガイドラインの内容の周知徹底を図ってまいりたい。
 また、国際海上コンテナの陸上輸送における安全対策に係る施策については、コンテナの国際規格化の動向の把握や社会の要請を踏まえるとともに、トラック事業者の意見を聴取しながら、関係省庁の密接な連携の下、実現に向け総合的に取り組んでいくことが必要と考えている。

七及び九について

 トラック事業者の車両の更新時期に合わせた計画的な買換えがなされることにより、事業者の負担が軽減されるよう、関係団体からの要望を踏まえ、十年間の期限を設けて経過措置を講じていることから、国土交通省としては、さらに、お尋ねの助成措置を講ずることは考えていない。
 また、お尋ねの経過措置を二年程度延長する措置については、平成二十年四月に向けて既にISO規格である国際海上コンテナの最大積載に対応したトレーラを準備している事業者との公平の観点から、適当ではないと考えている。
 なお、トラクタ及びトレーラの買換えについては、トラック協会による近代化基金融資制度を活用した支援措置が講じられていると承知している。

八について

 国土交通省では、平成十五年九月に国際物流の円滑化を図るため、ISO規格の二十フィートの国際海上コンテナであって最大積載にした重量が三十・四八トンであるものの輸送を可能とするよう、車両総重量規制の緩和措置等を講じたところである。
 本措置について、違法状態が生じないよう、都道府県単位で設置されている過積載防止対策連絡会議の活用や、関係者に対してのガイドラインの内容の周知徹底を図ってまいりたい。

十及び十一について

 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十七条の二第一項の許可(以下「特殊車両通行許可」という。)は、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊なため、道路管理者がやむを得ないと認めたときは、車両の大きさ及び重量等が最高限度を超えるため道路の通行が禁止又は制限されている車両であっても、道路の構造の保全及び交通の危険防止上必要な条件を付して当該車両の通行を許可するものである。特殊車両通行許可違反が生じないよう、都道府県単位で設置されている過積載防止対策連絡会議の活用や、荷主を含めた関係者に対してのガイドラインの内容の周知徹底を図ってまいりたい。
 特殊車両通行許可に違反するか否かについては、通行経路、通行時間等の道路管理者が付した条件に違反して車両を通行させている事実の有無で判断するものであり、当該車両を実際に通行させている者及びその者を直接監督する法人に対して違反の責任を問うものであることから、運送依頼をした荷主に対して違反の責任を問うことは困難と考える。

十二について

 国土交通省では、港湾等と大規模物流拠点間における効率的な物流ネットワークを構築する観点から、ISO規格である長さ四十フィート、高さ九フィート六インチ、最大総重量三万四百八十キログラムの国際海上コンテナを積載した車両(以下「国際標準コンテナ車」という。)の通行を可能とすべき幹線道路ネットワークを選定しており、同ネットワークにおいて、橋梁の強度等の問題により国際標準コンテナ車が通行できない区間については、橋梁補強、バイパス整備等により早急に解消を図るほか、三大都市圏環状道路等の高規格幹線道路の整備を推進することとしている。



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