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答弁本文情報

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平成二十二年八月十日受領
答弁第一三号

  内閣衆質一七五第一三号
  平成二十二年八月十日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員塩川鉄也君提出薬物依存症者の治療・社会復帰の支援の充実強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員塩川鉄也君提出薬物依存症者の治療・社会復帰の支援の充実強化に関する質問に対する答弁書



一について

 刑の一部の執行猶予制度の導入及び保護観察の特別遵守事項の類型に社会貢献活動を加えるための法整備に関する要綱(骨子)(平成二十二年二月二十四日法制審議会答申。以下「要綱(骨子)」という。)に記載されている「薬物使用者に対する刑の一部の執行猶予制度」は、薬物使用者の再犯防止を図るため、刑の一部を保護観察付執行猶予とすることにより、刑事施設における処遇に引き続き、相応の期間の社会内処遇の実施を可能とするものであると考えるところ、その導入に向けた検討に当たっては、御指摘の点も踏まえ、薬物使用者の処遇の充実を図ってまいりたい。

二について

 要綱(骨子)においては、「善良な社会の一員としての意識のかん養及び規範意識の向上に資する地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動」を社会貢献活動としているところであり、例えば、公共の場所での清掃活動、福祉施設における介護補助活動等がこれに当たると考えている。
 また、厚生労働省としては、薬物依存症者に対する地域における取組は重要なものであると認識しており、平成二十一年度から都道府県等を主体として地域依存症対策推進モデル事業(以下「モデル事業」という。)を実施し、地域において薬物依存症者等への支援を行っている自助グループ等の活動を支援しているところである。また、保護観察所においても、薬物依存のある保護観察対象者については、必要に応じ、薬物依存症者への支援を行う関係機関・団体との連携に引き続き努めることとしている。

三及び十について

 お尋ねの民間団体としては、薬物依存に関する自助グループであるダルク等を想定している。また、お尋ねの具体的活動支援としては、今年度、依存症回復施設職員研修事業を創設し、ダルク等の職員を対象として依存症に関する基礎的な知識、薬物の身体への影響、依存症患者が利用可能な支援内容等について研修を行うことを予定している。当該事業については、現在実施団体の選考等も含め準備を進めているところである。

四について

 未決拘禁者については、未決の者としての地位を考慮する必要があるため、強制的に指導を受けさせることはできないが、希望する者に対しては、御指摘の情報を提供することも含めて、薬物乱用防止について有効な情報の提供に努めてまいりたい。

五について

 お尋ねの薬物依存離脱指導については、薬物に対する依存がある受刑者であれば、薬物事犯者ではなくとも受講の対象としている。

六について

 薬物事犯者の家族等を対象とした引受人会については、矯正施設被収容者に対する生活環境の調整の一環として、各保護観察所が、各管内の実情に応じて開催しているところであり、薬物事犯者の社会復帰に有益であることから、薬物依存症者への支援を行う関係機関等との連携を強化するなどして、より一層の充実を図ってまいりたい。

七について

 お尋ねの公共職業安定所以外に連携する機関としては、例えば、都道府県雇用政策担当部局、地域の経済団体、刑務所出所者等の就労支援を行っている民間団体等を想定している。
 また、お尋ねの「地域生活定着支援センター」については、高齢であり、又は障害を有する矯正施設被収容者が、出所後に福祉サービスを円滑に受けられるようにするための支援を行う機関として、平成二十一年度から、各都道府県に対し、その整備を依頼しているところである。薬物事犯者であることのみをもって、同センターの支援の対象とすることはできないが、その者が高齢であり、又は障害を有することにより出所後に福祉サービスを受けることが必要と認められる場合には、同センターの支援の対象となり得る。

八について

 お尋ねの点については、平成二十三年度に都道府県等において行うこととしているモデル事業の検証結果を踏まえ、検討してまいりたい。

九について

 御指摘のSMARPPについては、今年度から三か年の予定で実施される厚生労働科学研究の中で検証が行われることとなっており、厚生労働省としては、その結果を踏まえ、SMARPPの普及の必要性や方法を検討していくこととしている。

十一について

 薬物依存症者の治療や回復の過程では、精神科病院、精神保健福祉センター、自助グループ等において、依存症の症状等に応じ、適切な対応を行うことが必要であると考えており、今後とも、薬物依存症者の社会復帰支援や家族支援の充実を目指し、依存症の治療法の確立のための研究や、支援団体の職員等に対する研修等を通じ、薬物依存症者及びその家族への支援の充実に取り組んでまいりたい。

十二について

 お尋ねの薬物依存の理解を深める資料・教材については、小冊子を作成し、平成二十一年度、全国の保護観察所、児童自立支援施設等に対し、約二万部配布したところである。また、薬物乱用対策推進会議のホームページについては、平成二十一年八月から平成二十二年七月までの一年間、約一万二千件のアクセスがあったところである。このような小冊子の配布やホームページの開設は、薬物依存症者の家族等の知識の向上に寄与し、薬物の再乱用防止に役立っているものと考えている。
 今後とも、薬物乱用防止戦略加速化プラン(平成二十二年七月薬物乱用対策推進会議決定)に基づき、薬物依存の理解を深めるための啓発・情報提供等を、積極的に推進してまいりたい。

十三について

 御指摘のとおり、薬物依存症者は自殺のリスクが高いものとされており、自殺対策の観点からも薬物依存症に対する取組が重要であると認識している。このため、二について、三及び十について並びに八についてでお答えしたとおり、モデル事業を実施するとともに、今年度中に依存症回復施設職員研修事業の実施を予定しているところである。
 また、厚生労働省においては、自殺時にいわゆる向精神薬の過量服薬を行っていた例が多く認められたとの研究結果があることも踏まえ、本年六月に、地方公共団体及び医療関係団体に対し、通知を発出し、自殺傾向が認められる患者に向精神薬等を処方する場合には、個々の患者の状況を踏まえ、投与日数や投与量に注意を払うなど、一層の配慮を行うよう医療機関に対する周知を依頼したところである。



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