答弁本文情報
平成二十六年六月二十七日受領答弁第二五七号
内閣衆質一八六第二五七号
平成二十六年六月二十七日
衆議院議長 伊吹文明 殿
衆議院議員小池政就君提出在外自国民の保護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員小池政就君提出在外自国民の保護に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、国際法上は、領域国の同意に基づく在外自国民の保護及び救出といった活動の本質は、領域国の同意に基づいて、領域国の警察当局等の機関がその任務の一環として行うべき治安の回復及び維持のための活動の一部を補完的に行っているものと観念され、このように観念される活動は、国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号)第二条第四項で禁止されている「武力の行使」には当たらず、したがって、国際法上自衛権の行使に当たること又は国際連合安全保障理事会の決定に基づくことを理由とする違法性の阻却を論ずる必要はないと考えられている。このような国際法上の考え方と政府の国際法に関する理解との間に相違はない。
憲法第九条第一項の「武力の行使」とは、基本的には、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいい、この「国際的な武力紛争」とは、「国家又は国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争い」をいうものと考えており、同条の下においては、このような「武力の行使」は、いわゆる自衛権発動の三要件が満たされた場合以外は禁じられているものと解してきており、御指摘の平成三年三月十三日の衆議院安全保障特別委員会における大森内閣法制局第一部長(当時)の答弁は、この趣旨を述べたものである。
お尋ねの「在外自国民の保護、救出」の具体的な内容等が明らかではないので、憲法との関係について一概にお答えすることは困難であるが、一般論として、いわゆる自己保存のための武器使用等を超える「在外自国民の保護、救出」のための武器使用については、このような武器使用を国家又は国家に準ずる組織に対して行った場合には、同条の禁ずる「武力の行使」に当たるおそれがあるという問題がある。