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答弁本文情報

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平成二十七年六月十六日受領
答弁第二五八号

  内閣衆質一八九第二五八号
  平成二十七年六月十六日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員鈴木克昌君提出ホルムズ海峡での機雷掃海に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員鈴木克昌君提出ホルムズ海峡での機雷掃海に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の「マラッカ海峡防衛論」及び「一千海里シーレーン防衛論」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国は、従来から、我が国に対する武力攻撃が発生した場合において、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね千海里程度の海域において、自衛の範囲内において海上交通保護を行い得ることを目標に、海上防衛力の整備を行っているところである。

二の1について

 お尋ねについては、個別具体的な状況によるため、一概にお答えすることは困難である。
 なお、海上自衛隊の掃海艦艇は、機雷に反応しないよう、船体は木又はプラスチックでできており、かつ、機雷処分用の機関銃を除けば、自己防護用の装備さえ持っていない。このため、外部からの攻撃には非常に脆弱である。したがって、このような掃海艦艇による機雷の掃海は、戦闘が現に継続しているような現場では、円滑に実施することは困難であり、掃海活動の現場で他国の部隊と戦闘状態に入るようなことは想定されない。
 また、近年において、機雷の掃海を行ったことを直接のきっかけとして、紛争がエスカレートしたような事例はないものと承知している。

二の2について

 従来から、外国による「武力の行使」の一環として敷設されている機雷を除去することは、「武力の行使」に該当し得るとしてきているが、いわゆる自衛権発動の三要件に該当するものであれば、憲法上許容される。「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)において示された憲法解釈は、憲法第九条の下でも例外的に「武力の行使」が許容される場合があるという従来の政府見解における同条の解釈の基本的な論理を維持し、その枠内で、「武力の行使」が許容される場合として、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみがこれに当てはまると考えてきたこれまでの認識を改め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当てはまるとしたものである。外国による「武力の行使」の一環として敷設されている機雷を除去することは、同閣議決定でお示しした「武力の行使」の三要件(以下「新三要件」という。)に該当する場合の自衛の措置として行うのであれば、憲法上許容される。

二の3について

 お尋ねの「旧帝国憲法下での日本の生命線防衛論」が何を指すのか必ずしも明らかではなく、お尋ねにお答えすることは困難であるが、憲法上許容される「武力の行使」は、あくまでも新三要件に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」に限られる。

二の4について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないため、一概にお答えすることは困難である。
 従来から、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる「海外派兵」は、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないが、他国の領域における武力行動でいわゆる自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動をとることが許されないわけではないと考えてきており、この趣旨は、昭和三十一年二月二十九日の衆議院内閣委員会で示された政府の統一見解によって既に明らかにされているところである。このような考え方は、新三要件の下で行われる自衛の措置としての「武力の行使」にもそのまま当てはまるものと考えられる。

三の1について

 新三要件の第二要件に「これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと」とあるとおり、自衛の措置としての「武力の行使」はあくまでも最後の手段である。御指摘のように、「武力の行使」に先立ち、自給率の改善を図っていくことは当然であり、「エネルギー基本計画」(平成二十六年四月十一日閣議決定)において、「海外の情勢変化の影響を最小化するための国産エネルギー等の開発・導入の促進による自給率の改善」については、「我が国が国産エネルギーとして活用していくことができる再生可能エネルギー、準国産エネルギーに位置付けられる原子力、さらにメタンハイドレートなど我が国の排他的経済水域内に眠る資源などを戦略的に活用していくための中長期的な取組を継続し、自給率の改善を実現する政策体系を整備していくことが重要である。」としている。

三の2について

 政府としては、エネルギーの安定的かつ安価な供給の確保は、日本経済の存立の基盤であり、国家安全保障上の課題でもあることから、資源外交に取り組むことが重要であると認識している。そのため、様々な外交的手段を活用し、主要な資源国との包括的かつ互恵的な関係の強化に努め、供給国の多角化や権益獲得を図る等、戦略的な資源外交を行っている。

四について

 お尋ねの「積極的軍事主義」の意味するところが明らかではないが、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」は、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していくという我が国の国家安全保障の基本理念である。



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