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平成二十八年十二月二日受領
答弁第一六六号

  内閣衆質一九二第一六六号
  平成二十八年十二月二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員初鹿明博君提出コムソモリスク検体用日本人遺骨焼失事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員初鹿明博君提出コムソモリスク検体用日本人遺骨焼失事件に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 御指摘の「このような遅い時期に遺骨の収集を行った」及び「今回の調査」とは、厚生労働省が平成二十八年十月十一日から同月二十五日までの日程で、ロシア連邦ハバロフスク地方において実施した遺骨収集(以下「本件遺骨収集」という。)のことを指すと思われる。
 本件遺骨収集を実施した埋葬地においては、同年七月にも遺骨収集を実施したが、終了には至らなかったところであり、政府としては、当該埋葬地における遺骨収集を終了させ、当該埋葬地の戦没者の遺骨のDNA鑑定を早期に開始する必要があったことから、同年十月に本件遺骨収集を実施したものである。
 本件遺骨収集では、同省職員を二人派遣し、一人は派遣団長として現地の作業全般を統括する業務に従事し、もう一人は派遣団長を補助する業務に従事した。また、お尋ねの「ロシア語がきちんと話せる人」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本からは、同省職員のほか、ロシア語通訳一人を派遣団に同行させ、通訳業務に従事させた。なお、「現地で参加」及び「補助員」の意味するところが必ずしも明らかではないため、「現地で参加した領事館員や補助員は何人いたのか」とのお尋ねについてお答えすることは困難である。

三について

 お尋ねの「アルバイト的な作業員以外にロシア側専門家はいたのか」及び「傭員」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省は、コムソモリスク・ナ・アムーレ市から紹介された現地企業(以下「手配業者」という。)に対して、本件遺骨収集における作業員、機材等の手配を依頼しており、当該手配業者が作業監督者一人、作業員十人、警備員一人及び作業用バス運転手一人の合計十三人のロシア人を雇い上げたと承知している。なお、遺骨の鑑定について専門的な知識を有する職員一人を含むハバロフスク地方政府の職員二人が、派遣団に同行した。
 お尋ねの「契約書」が具体的に何を意味するのか必ずしも明らかではないが、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第二十九条の八第一項本文の規定に基づき契約担当官等が作成しなければならないとされている契約書については、契約金額が二百万円を超えなかったため、同項ただし書及び予算決算及び会計令(昭和二十二年勅令第百六十五号)第百条の二第一項第一号の規定に基づき作成を省略した。

四について

 お尋ねの「傭員」の意味するところが必ずしも明らかではないが、本件遺骨収集において、厚生労働省は、手配業者に対して作業員監督者一日当たり二千七百六十三ルーブル、作業員一人一日当たり二千四百五十六ルーブル及び警備員一日当たり三千六百八十四ルーブルの雇上料並びに作業用バス運転手については作業用バス借上料として一日当たり三千七十ルーブルを支払ったところである。政府としては、お尋ねの「待遇に関する不満やトラブル」があったとは承知していない。

五について

 お尋ねの「遺骨収集・調査派遣に要した費用」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

六について

 お尋ねの「旧ソ連からの遺骨収集に要した費用」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、平成二十三年度から平成二十七年度までの一般会計予算の(組織)厚生労働本省(項)戦没者慰霊事業費のうち、旧ソヴィエト社会主義共和国連邦(以下「旧ソ連邦」という。)の地域における遺骨収集に関する予算の総額は、一億九千六十一万七千円である。また、同期間に収容し本邦へ送還した遺骨の総数は八百八柱であり、当該予算の総額を基に計算すれば、当該遺骨一柱当たりの当該予算の金額は約二十三万六千円である。

七について

 お尋ねの「いままでにDNA鑑定した旧ソ連からの遺骨」及び「実際に遺族が見つかった」が何を意味するのか必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、旧ソ連邦の地域で収容された戦没者の遺骨からDNA情報の抽出を行い、当該戦没者と関係すると思われる遺族に呼び掛け、DNA鑑定を実施した結果、平成二十八年十月末現在、八百八十一柱の身元を特定し、遺族のもとへ返還した。

八について

 お尋ねの「現在DNA鑑定に要する費用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、戦没者の遺骨のDNA鑑定において、平成二十八年度現在、一柱の遺骨からDNA情報を抽出する費用は五万円、一人の遺族からDNA情報を抽出する費用は三万円である。

九について

 平成二十八年四月から、個体性のある戦没者の遺骨からDNA情報を抽出することが可能な場合は、そのDNA情報を全てデータベースに登録することとしている。同年十月末現在で、旧ソ連邦の地域で収容された遺骨については、二千四百二十一件のDNA情報が、当該データベースに登録されている。

十について

 政府としては、長年収容されずに戦地に置かれた遺骨を早期かつ丁重に慰霊すべきとの要請に応える等の理由から、収容した遺骨については、DNA検体を保存した上で現地で焼骨し、本邦に送還することとしている。御指摘の「遺骨を現地で焼却せずに帰国させること」については、関係する遺族の意見等も踏まえた慎重な検討が必要であると考えている。

十一について

 政府としては、一柱でも多くの戦没者の遺骨を早期に収容又は本邦に送還し、戦没者の遺族に引き渡すため、国の責務として戦没者の遺骨収集事業を実施しており、御指摘の「遺骨を焼却せずに、現地の墓地を整備してそのまま埋葬し、遺骨の一部とDNA鑑定用の検体のみを持ち帰ること」については、現時点では考えていない。

十二について

 ウズベキスタン共和国については、遺族から遺骨の返還について要望が寄せられており、平成六年以降、政府として、同国での遺骨収集の実施申入れを累次行っているが、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律(平成二十八年法律第十二号。以下「遺骨収集推進法」という。)が施行されたことを踏まえ、平成二十八年八月、厚生労働省から駐日ウズベキスタン共和国大使に対して、遺骨収集推進法の趣旨を説明し、改めて申入れを行ったところである。
 カザフスタン共和国においては、平成七年度から平成二十六年度までに、遺骨収集を八回実施したところである。

十三について

 お尋ねの「確認」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府においては、旧ソ連邦政府等から提出された資料を基に、平成三年度以降、旧ソ連邦の地域において埋葬地調査を実施してきており、平成二十八年十月末現在でこれまでに六百五十七か所の埋葬地を把握している。

十四について

 お尋ねの「判明」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「旧ソ連地域における海外未送還遺骨情報収集事業及び埋葬地現況調査」については、平成二十四年度から平成二十六年度までにかけて、旧ソ連邦政府等から提出された資料等に基づき現地調査を行い、四十四か所の埋葬地の場所を特定した。当該調査では、埋葬地の場所を特定する資料や証言がない埋葬地について、情報を収集し、埋葬地の場所の捜索を行っており、要した費用は、平成二十四年度から平成二十六年度までの三年間の総額で約一億二千六百八十一万円である。

十五について

 旧ソ連邦の地域における遺骨収集について、政府としては、遺骨収集推進法第五条第一項の規定に基づき策定した「戦没者の遺骨収集の推進に関する基本的な計画」(平成二十八年五月三十一日閣議決定。以下「基本計画」という。)において、抑留中死亡者の埋葬地等について、資料調査や民間団体等との連携により有力な証言を得るなど確度の高い遺骨に関する情報を得た上で、関係行政機関間の連携協力を図り、現地調査を実施し、入手した情報に基づいて遺骨収集を推進するものとしている。お尋ねの「今後収集可能な遺骨は、おおよそ何柱か」、「それらの収集・鑑定のために要する費用は全部でいくらくらいと推定するか」及び「収集可能な全遺骨を収集するのにあと何年かかると推測するか」については、確度の高い抑留中死亡者の遺骨に関する情報を入手できるか否か等によるため、具体的にお示しすることは困難であるが、政府としては一柱でも多くの戦没者の遺骨を早期に収容又は本邦に送還し、遺族に引き渡すことができるよう、遺骨収集を推進してまいりたい。

十六について

 お尋ねの「今回の遺骨消失に係る不祥事で失われた損害額」については、その意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。関係者の処分については、現在、事実関係の調査を行っているところであり、当該調査結果に基づいて責任の所在を明確化し、検討したいと考えている。

十七について

 お尋ねについては、政府としては、捕虜収容所に収容されていた者に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定(平成三年外務省告示第三百十一号)に基づき、ロシア連邦政府に対して日本人の抑留中死亡者の名簿及び埋葬地に関する資料の提出並びに死亡者の遺骨の引渡し等に係る協力を求めるなど、引き続き着実な取組を進めてまいりたいと考えている。

十八及び十九について

 戦没者の遺骨の収集については、厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)第四条第一項第百四号の二の規定に基づき、厚生労働省が所掌している。さらに、遺骨収集推進法第三条第三項の規定及び基本計画に基づき、戦没者の遺骨収集については、例えば関係国政府等との協議についての外務省の協力や、東京都小笠原村硫黄島における遺骨収集に係る輸送その他必要な支援等について自衛隊の協力を得るなど、厚生労働省が外務省、防衛省その他の関係行政機関に必要な協力を求めながら実施している。政府としては、引き続き厚生労働省設置法及び遺骨収集推進法並びに基本計画に基づき、戦没者の遺骨収集を推進してまいりたいと考えている。



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