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答弁本文情報

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平成二十九年五月十二日受領
答弁第二五八号

  内閣衆質一九三第二五八号
  平成二十九年五月十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員階猛君提出共謀罪の構成要件に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員階猛君提出共謀罪の構成要件に関する再質問に対する答弁書



一について

 お尋ねの「実行に移したとしても犯罪結果が発生し得ないような犯罪計画の合意」の意味するところが必ずしも明らかではないが、先の答弁書(平成二十九年四月十一日内閣衆質一九三第一九三号。以下「前回答弁書」という。)の三についてで述べたとおり、今国会に提出している組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「改正後組織的犯罪処罰法」という。)第六条の二第一項の罪における計画行為とは、同項各号に掲げる罪に当たる行為で、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」を遂行することについての具体的かつ現実的な合意をすることをいうところ、「具体的」な合意とは、漠然としたものにとどまらない具体性を有する合意を意味し、「現実的」な合意とは、計画をした犯罪の実行可能性が認められる合意を意味する。また、同項の罪における計画行為は、「当該行為を実行するための組織により行われるもの」、すなわち当該罪に当たる行為を実行するための「組織」の構成員が指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従い、一体として行動することの一環として行われるものの遂行に係るものであることを要するが、各構成員の任務が計画行為の時点で確定していることは要しないものと考える。

二及び三について

 お尋ねの「「計画」に基づく犯罪の実行に正犯または共犯として関与する意思」及び「「計画」に基づく犯罪の実行または準備行為には関与する意思を持たない者」については、それらの意味するところが必ずしも明らかではなく、一概にお答えすることは困難であるが、改正後組織的犯罪処罰法第六条の二の罪が成立するためには、同条第一項各号に掲げる罪に当たる行為で、「組織的犯罪集団」の「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」又は「組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は・・・組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるもの」の遂行を「二人以上で計画」すること及び「その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われ」ることについて、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十八条第一項に規定する「罪を犯す意思」が必要である。その上で、前回答弁書の五についてでお答えしたとおり、改正後組織的犯罪処罰法第六条の二の罪が成立した後、その計画に基づき犯罪が実行された場合は、計画した者には実行した犯罪の共同正犯が成立すると考えている。

四について

 お尋ねの「集団」が「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織・・・により反復して行われるもの」であって「その結合関係の基礎としての共同の目的」が改正後組織的犯罪処罰法別表第三に掲げる罪を実行することにあるものに該当するのであれば、当該「集団」は、「組織的犯罪集団」に該当することとなる。

五について

 「組織的犯罪集団」は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第二条第一項に規定する団体のうち、「その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるもの」であるから、同項にいう「その目的・・・を実現する行為」とは、「組織的犯罪集団」にあっては、「別表第三に掲げる罪を実行すること」という当該「組織的犯罪集団」の「結合関係の基礎としての共同の目的」を実現する行為を意味し、お尋ねの「当該組織的犯罪集団の共同の目的とされた犯罪の実行行為」又は「当該組織的犯罪集団の共同の目的とされた犯罪の計画行為」若しくは当該犯罪を「実行するための準備行為」は、いずれもこのような「その目的・・・を実現する行為」に含まれ得る。
 また、同項にいう「その・・・意思を実現する行為」にいう「意思」とは、個々の構成員の意思を離れた団体としての意思を意味する。
 その上で、同項にいう「その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織・・・により反復して行われるもの」とは、当該団体の目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が、組織に属する複数の自然人が指揮命令関係に基づいてそれぞれあらかじめ定められた役割分担に従い一体として行動するという形態で反復して行われるという性質を有しているものをいう。

六について

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、改正後組織的犯罪処罰法第六条の二第一項の罪については、計画される犯罪が「組織的犯罪集団」の「団体の活動として」行われることという要件のほかに、一についてで述べた意味で、当該犯罪が「当該行為を実行するための組織により行われるもの」であることという要件を満たす必要がある。

七について

 お尋ねの点については、平成十七年七月十二日の衆議院法務委員会において、大林宏法務省刑事局長(当時)が「「団体の活動として、」という要件を満たすためには、犯罪行為を行うことを共同の目的を有する団体として意思決定することが必要であり、したがって、犯罪行為を行うことがその団体が有している共同の目的に沿うものであることが必要であると考えられます」と答弁しているところである。

八について

 改正後組織的犯罪処罰法第六条の二の罪についての公訴時効は、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百五十三条第二項の規定に従い、その構成要件に該当する行為のうち、「最終の行為が終つた時」から起算される。



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