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答弁本文情報

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令和元年七月五日受領
答弁第三〇三号

  内閣衆質一九八第三〇三号
  令和元年七月五日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員柚木道義君提出「百年安心」の年金制度及び「老後に年金では二〇〇〇万円足りない」という金融審議会報告書に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員柚木道義君提出「百年安心」の年金制度及び「老後に年金では二〇〇〇万円足りない」という金融審議会報告書に関する質問に対する答弁書



一の1について

 公的年金制度については、制度の長期的な持続可能性を確保するために、平成十六年の年金制度改正において、将来の保険料水準を固定する一方、おおむね百年間の収支を均衡させる期間の終了時において給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金を保有しつつ、当該期間にわたって財政の均衡を保つよう年金の給付水準を調整していくマクロ経済スライドを設けたところである。御指摘の安倍内閣総理大臣の答弁は、同年の年金制度改正以来、公的年金制度が、こうした仕組みとなっている旨を答弁したものである。

一の2について

 御指摘の「「安心の年金」ということを示すべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和元年に行われる財政検証(国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第四条の三第一項及び厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第二条の四第一項に規定する国民年金事業及び厚生年金保険事業の財政の現況及び見通しをいう。以下同じ。)については、現在作業中であり、必要な検証作業が終わり次第、公表することを予定している。

二について

 お尋ねの「現在と将来の生活不安の解消」の意味するところが必ずしも明らかではないが、総合合算制度については、低所得者に配慮する観点から、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)第七条第一号イにおいて、給付付き税額控除等の施策と並び、その導入について総合的に検討する旨が規定されていたが、「平成二十八年度税制改正の大綱」(平成二十七年十二月二十四日閣議決定)において消費税の軽減税率制度を導入することとしたことに伴い、消費税率引上げに伴う低所得者対策としては実施しないこととしたところである。

三の1について

 お尋ねの「今年の現役世代の平均収入」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和元年度の所得代替率(国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号。以下「平成十六年改正法」という。)附則第二条第一項第一号に掲げる額と同項第二号に掲げる額とを合算して得た額の同項第三号に掲げる額に対する比率をいう。以下同じ。)は、令和元年に行われる財政検証においてお示しする予定である。

三の2及び3について

 御指摘の「新規裁定者のモデル受給額」及び「現役世代の平均収入」並びに「モデル年金受給額(新規裁定者)」及び「現役世代の平均年収」の意味するところが必ずしも明らかではないが、@平成十六年改正法附則第二条第一項においては、所得代替率が百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとされていること及びA次の財政検証が作成されるまでの間に所得代替率が百分の五十を下回ることが見込まれる場合には、同条第二項の規定により調整期間の終了について検討を行い、その結果に基づいて調整期間の終了等の措置を講ずるとともに、当該措置を講ずる場合には、同条第三項の規定により給付及び費用負担の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずるものとされていることから、現行法上、所得代替率が百分の五十を下回ることは想定されないと考えている。

三の4について

 マクロ経済スライドは、将来世代の負担を過重にしないため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付水準を調整する仕組みとして導入されたものであり、このような仕組みは、基礎年金を含めた公的年金制度全体に共通する考え方であるため、御指摘の「基礎年金のみ受給する低年金受給者」も含め、全ての年金受給者を対象にマクロ経済スライドによる年金給付水準の調整を行うことが適当であると考えている。
 なお、政府としては、低所得や低年金の高齢者への対策としては、年金の受給資格期間の短縮、年金生活者支援給付金の創設等の措置を社会保障制度全体で総合的に講ずることとしている。

四の1について

 平成三十一年四月十二日の金融審議会市場ワーキング・グループにおいて金融庁が示した試算は、ワーキング・グループの議論の参考として、一律に必要な資産形成額を示すものではないことを前提に、退職後の支出と収入について一定の仮定を置いた上で、想定される資産形成の水準について例示を行ったものであり、政府として、「老後は年金の他に一五〇〇万円から三〇〇〇万円の生活費が必要」、「老後に年金では三〇〇〇万円不足する人もいる」という趣旨で試算を行ったものではない。

四の2について

 御指摘の建議は、財政制度等審議会から財務大臣に述べられた意見であり、専ら同審議会の委員及び臨時委員(以下「委員等」という。)による審議を経て取りまとめられたものである。
 建議における文言の変遷については、委員等による率直な意見の交換や建議の中立性が損なわれるおそれがあることから、従来、議事録の公開によるほか、公にしていないところである。このため、特定の文言の変遷を前提としたお尋ねには、お答えを差し控えたい。

五について

 年金の受給開始時期は、国民年金法等の規定に基づいて、受給権者からの請求により、原則として六十歳から七十歳までの間で個人が自由に選べる仕組みとなっている。仮に六十五歳に到達した受給権者が請求を行わない場合に、御指摘のように「自動的に年金支給開始が七十歳からになる」ものではなく、当該者が六十五歳から七十歳までの希望する時期に請求を行うことにより、受給開始時期を請求を行った翌月からとすることができるほか、六十五歳からの未受給期間分の一括受取を選択することもできることとなっている。なお、年金請求書及びその説明資料の記載内容については、より分かりやすいものとなるよう、改善に努めているところである。

六について

 麻生国務大臣は、例えば、令和元年六月二十一日の記者会見において、高齢社会においては、海外の事例などを踏まえて、資産運用の仕方を考えるなど個々人が自らの人生設計を考えなければいけないこと、また、高齢顧客保護の在り方につき、金融関係者のみならず、皆で考えていかなければいけないことを述べるなど、これまでも度々国民の老後の収支や資産形成、資産管理についての考えを述べており、御指摘は当たらない。



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